国際社会との対話路線の継続を訴えたロウハニ大統領が再選を果たした背景には、反米の保守強硬派が再び政権を担うことへの
有権者の強い不安があったと見られます。
保守強硬派の
アフマディネジャド前政権は核開発問題などをめぐって、アメリカと鋭く対立して厳しい
経済制裁が科されたため、イランでは
物価上昇率が一時40%に達するなど、国民の暮らしが急激に悪化しました。
今回の選挙で、ロウハニ大統領はアメリカなどとの核合意によって関連する
経済制裁が解除され、経済状況が改善したことをアピールし、「二度とイランを孤立させない」などと訴えたことで、多くの
有権者の心をつかんだものと見られます。
一方、反米の保守強硬派のライシ師は制裁が解除されても、国民の暮らしは悪化しているなどとして、
貧困層への支援拡大などを訴えるとともに、最終盤には有力候補の一本化に成功し、追い上げを図りました。
しかし、アメリカのトランプ政権がイランへの圧力を強めようとする中、イラン側にも強硬派の大統領が誕生すれば、国際社会との対立が深まり再び庶民の暮らしを直撃するのではないかという
有権者の不安を十分払拭(ふっしょく)できなかったものと見られます。
また、ライシ師は保守強硬派が音楽コンサートを反
イスラム的だとして、何度も中止に追い込んだことなど、自由を制限する動きを強めてきたことが若者層の反感を招いてきたことも響いたものと見られます。