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サウジアラビアの記事

しばらく注目記事をアップできなかったので、少し前のものだが、サウジアラビアについてわかりやすく特集しているのでありがたい。 

 

https://www.nhk.or.jp/kokusaihoudou/archive/2017/11/1115.html より引用

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巨額のオイルマネーに支えられる中東の大国、サウジアラビアで今、異変が起きています。
国家収入の実に7割以上を占める石油に依存しない経済を目指す、産業の大転換。
主導するのは、今年(2017年)6月、新たな王位継承者に任命された、ムハンマド皇太子です。


サウジアラビア ムハンマド皇太子
「極端な教義につきあい、次の30年をむだにしない。」


一方でムハンマド皇太子は、政財界に強い影響力を持つ王族など200人以上を、汚職の疑いで一斉に摘発
強権的とも見える姿勢に、海外で波紋が広がっています。
王国の内部で今、何が起きているのか。
サウジアラビアの光と影に迫ります。

サウジアラビア 「脱石油依存」改革の光と影

増井
サウジアラビアでは今月(11月)、政財界に強い影響力を持つ王子など、200人以上が一斉に逮捕されました。
汚職や横領などに使われた資金の総額は、日本円にして11兆円規模に上ると見られています。」

花澤
汚職摘発の先頭に立っているのが、サルマン国王の息子、ムハンマド皇太子です。」

松岡
「そのムハンマド皇太子は、現在32歳。
副皇太子時代から、国の経済政策を決定する役職や国防相を兼務してきました。
国家収入の7割以上を石油に依存するサウジアラビアでは、医療や教育は無料で提供され、労働人口の3分の2は、公務員や国営企業などで働いています。
しかし、長引く原油価格の低迷が財政を圧迫。
さらに年々、人口が増加していることから、こうした『ばらまき政策』は、すでに限界を迎えています。
そこで、ムハンマド皇太子が去年(2016年)立ち上げたのが、経済改革『ビジョン2030』です。
若者の雇用を生み出し、女性の就業を促進することが、その大きな柱となっています。」


石油依存から なぜ脱却

増井
「スタジオには、ゲストをお呼びしています。
日本エネルギー経済研究所研究理事で、サウジアラビア情勢に詳しい、保坂修司さんです。」

花澤
「まず、今なぜ、サウジアラビアが石油収入への依存から脱却するという判断をするんでしょうか?」


日本エネルギー経済研究所 研究理事 保坂修司さん
「やはりキーワードになるのは、こちらだと思います。
普通の国へ』と、こういうことで、サウジアラビアは石油に依存して、高度な福祉国家を築き上げたんですけれども、ご承知の通り、石油は有限の資源ですので、いずれ枯渇します。
さらには、枯渇する前に使われなくなるだろうというのが、ほぼ共通の理解になっているわけですね。
従って、石油にずっと依存するわけにはいかないということ。
それから、もう1つ大きなポイントは、石油価格に財政が大きく左右されているという点。
石油価格が上がれば、財政収入は高まりますけれども、石油収入が下がると、一気にまた下がってしまう。
これでは、長期的な展望に基づく経済運営、政治運営はできないわけで、こういったことから脱却するということが、サウジアラビアにとっては、非常に大きな課題になっていたと思います。
それから、もう1つ重要なのは、こうした石油収入によって、ある意味、ぬるま湯のような生活に慣れた若者たちが、非常に増えてしまっていると。
面倒くさい仕事は、ほぼ外国人労働者に任せて、自分はどちらかというと、公務員、あるいは楽な仕事に就くと。
こういった若者たちが置かれた状況を何とか打破するためには、大胆な改革が必要だということになると思います。」

増井
「そういった、石油ではなく、若者が社会を支える経済改革とは、一体どのようなものなのでしょうか。
改革の現場を取材しました。」


サウジアラビア 「脱石油依存」改革の光と影

先月(10月)サウジアラビアの首都リヤドで開かれた経済フォーラム。
IMFのラガルド専務理事や、アメリカのムニューシン財務長官など、各国の政府や金融機関から、総勢3,500人が参加しました。
日本からは、ソフトバンク孫正義社長の姿も。
その規模から「砂漠のダボス会議」とも呼ばれた、この催し。

主催したのは、ムハンマド皇太子です。
ふだん、めったに公の場に姿を見せない皇太子が、この日は、次世代を担う若者たちに力強いメッセージを訴えました。

サウジアラビア ムハンマド皇太子
サウジアラビア国民の7割は、30歳未満だ。
率直に言って、極端な(イスラム教の)教えにつきあい、次の30年をむだにしたくない。
そうした考えは今すぐ打破する!
私たちは普通の人生を送りたい。」

サウジアラビア政府は今、日本円でおよそ8兆円を投じ、若者のための産業育成など、構造改革を進めています。

その先駆けとなっているのが、こちらの大学。
欧米流の教育システムを導入し、「中東のマサチューセッツ工科大学とも呼ばれています。
民間企業の活動を活性化しようと、大学が今、力を入れているのが、ベンチャー企業の育成です。

ベンチャー企業の共同設立者 アハマド・デフワさん
「こちらがセンサーです。
(各地の詳細な)情報を収集できます。」

この企業は、豪雨などの災害時に、道路の状況をリアルタイムで把握するシステムを開発。
事業は去年、法人化され、本格的なビジネスにつながりました。
アメリカの自治体も関心を示す、このビジネス。
軌道に乗れば、国内に工場を建設し、サウジアラビアの若者を雇う計画です。

ベンチャー企業の共同設立者 アハマド・デフワさん
「ここでは新たな産業が開拓されていきます。
われわれは多くのプロジェクトの手本の1つです。」

ムハンマド皇太子が進めるもう1つの改革が、女性の社会進出です。
これまで事実上、禁止されてきた女性の運転が解禁されることを受けて、新たな試みが始まっています。

「(女性ならではの)良いサービスで顧客を増やしましょう。」

スマートフォンを利用した配車サービスを運営する会社が主催したセミナー。
若い女性に、自家用車を使って乗客を送迎するビジネスに加わるよう、進めています。

参加者
「運転できない女性たちを助け、しかも働くことができることも魅力です。」

ムハンマド皇太子は改革を進める一方で、今月、世界有数の投資家とされるワリード・ビンタラール王子をはじめ200人以上を、汚職の疑いで一斉に逮捕。
逮捕容疑や逮捕者の氏名を明らかにしない、強権的な姿勢に、海外で波紋が広がっています。
中東でのビジネスに詳しい企業コンサルタントは、今回の逮捕劇が海外からの投資に影響を与えかねないと指摘しています。

企業コンサルタント ロビン・ミルズ氏
「大企業や有力投資家ほど、(皇太子の支配体制が)透明性が高いものなのか、見極める必要がある。」

一方、サウジアラビアの有力紙の編集長は、「皇太子の改革は、長期的には経済にプラスだ」と肯定的に評価しています。

アラブニュース編集長 ファイサル・アッバス
「(皇太子の対策は)わが国が真剣に汚職対策を行っているということであり、“新しいサウジアラビアになる”というメッセージなのです。」

サウジアラビアは、どこに向かうのか。
その動きに今、世界の注目が集まっています。


汚職事件 最新情報は

増井
「ここからは、サウジアラビアのリヤドで取材を続ける吉永支局長に聞きます。
多数の王子らが一斉に逮捕された事件、全体像は見えてきたんでしょうか?」


吉永智哉支局長(ドバイ支局)
「検察当局は『201人が捜査対象になっている』としているものの、逮捕者の氏名や、詳しい逮捕容疑は依然、公表していません。
王子らは現在、リヤドのホテルに収容されていると伝えられています。
このホテルが来年(2018年)の1月末まで予約できなくなっていることから、事件の捜査が長期化するとの見方が出ています。
私は今日(15日)こちらで、サウジアラビア政府が主催する、世界各国のビジネス関係者を招いたイベントを取材していたのですが、政府関係者は事件について一切触れず、『改革は順調だ』と口々にアピールするばかりでした。
事件の真相は、今も闇の中です。」


皇太子の改革 今後どうなる?

花澤
ムハンマド皇太子が推し進める改革、この先、うまく行くのでしょうか?」

吉永支局長
「女性の運転解禁などの歴史的な決定を矢継ぎ早に打ち出したムハンマド皇太子に対して、若者たちが期待感を抱いているのは事実です。
若者に話を聞きました。」

学生(22)
「大きな変革をもたらし、若者が生産の担い手になります。
石油に頼らない国に変わります。」

吉永支局長
「しかし、改革を前に進めるためには数十兆円単位の投資が必要で、海外のパートナーをないがしろにはできないというのが実情です。
しかし今回の逮捕劇を受けて、海外の投資家の間では『サウジアラビアでは、一体誰と組めば安全なのか』という疑問が沸き、今後、投資が冷え込む恐れも指摘されています。
また、こうした急進的な改革や、汚職の摘発が従来からの既得権益層である王族の反発を招かないとも限りません。
海外からの投資の冷え込みと、国内の政治的な反発。
ムハンマド皇太子は、大きなリスクを伴う賭けに出ています。
以上、サウジアラビアのリヤドからお伝えしました。」


皇太子の“強権的”手法 どう見る?

花澤
「王子や閣僚の大量の摘発、かなり強引な手法のようにも見えます。
そして一般には、これはムハンマド皇太子が権力基盤を強化するのが目的だと言われていますが、保坂さん、どうご覧になりましたか?」

日本エネルギー経済研究所 研究理事 保坂修司さん
「確かに、その可能性は非常に大きいと思います。
ただ、現実問題として、ムハンマド皇太子は今現在、サウジアラビア国内のほとんどの権力を手中に収めているわけですね。
その意味でいうと、捕まった王子たち、あるいは閣僚たちも含めて、とても彼のライバルになるとは思えないわけです。
従って、もうちょっと別の理由も考えられるのかなというふうに思っています。
1つは、一部報道などによりますと、捕まった人たちの財産を没収して、国庫に入れることによって、財政の足しにするのではないかと、こういうことも言われていますし、また今回、既存の伝統的な枠組みの中で、大きな利益を得ていた、不正な利益を得ていたとされる人々が逮捕されることによって、伝統的な枠組の中で、どちらかというと落ちこぼれたというか、不満を持っている若者たちに、自分たちが正しいことをしているんだということをアピールする、そういう狙いもあったのではないかと思います。」

花澤
「財政面と国民の支持を得るという、この2つもあるんじゃないかと?」

日本エネルギー経済研究所 研究理事 保坂修司さん
「改革を進めるためには、やっぱり国民全体の支持が必要ですので、それを固めるという意味もあったんだと思います。」


皇太子はなぜ強硬な外交姿勢?

増井
「それでは続いて、外交の話に移ります。
ムハンマド皇太子は、外交の世界でも強硬路線で知られています。
特に国際社会が懸念を深めているのが、スンニ派サウジアラビアと、シーア派のイランの対立です。

その舞台となっているのが、こちらのレバノン
レバノンでは、イランが支援するシーア派組織ヒズボラが影響力を増していることから、サウジアラビア政府が自国民に渡航の自粛を呼びかけるなど、圧力を強めています。
また、レバノンのハリリ首相が今月、滞在先のサウジアラビアで突然辞意を表明したまま帰国していないことも、対立の先鋭化を示唆しています。」

花澤
「今回の措置、国際社会にも懸念が広がっているわけですが、こうした強硬な外交政策ムハンマド皇太子、なぜ今、進めているんでしょうか?」

日本エネルギー経済研究所 研究理事 保坂修司さん
「この地図を見ていただけると分かると思いますけれども、今、イランが例えば2003年のイラク戦争以降、シーア派政権が続いているイラク、それからイランと仲のいいアサド政権がいるシリア、そしてヒズボラレバノンという具合に、影響力がちょうどサウジアラビアの北側を覆うような形になっているわけですね。
それにプラスして今、イエメンが、まさにイランの影響を受けたフーシ派というグループ、シーア派のグループが、サウジアラビアと直接、軍事対立しているわけです。


見ていただくと分かりますけれども、やっぱりシーア派サウジアラビア全体が囲まれている状況、われわれ『シーア派の三日月』という言い方をするんですけれども、これはサウジアラビアの安全保障上、大きな脅威であると。
どこに行ってもイランの脅威があるということで、イランとの対立が非常に先鋭化していると、こういうことになるんだと思います。」

花澤
「基本的には、まずイラン、シーア派に対する警戒があると。」

日本エネルギー経済研究所 研究理事 保坂修司さん
「そうですね。
もちろん、宗教的な理由だけではなく、むしろ中東におけるイランの影響力の拡大を、サウジアラビアが恐れているということは言えると思います。」

花澤
サウジアラビアそのものもスンニ派の盟主、中東の盟主として、さらに影響力を広げたいという思惑も指摘されていますが、この点はどうなんでしょうか?」

日本エネルギー経済研究所 研究理事 保坂修司さん
「もちろん、それはあると思います。
実際、サウジアラビアは、例えば対テロ戦争を関しましても軍事同盟を結んで、率先して役割を果たそうとしているわけです。
ただ、その中には、もちろんイランは入っていないわけですね。」


イランとの対立 今後どうなる?

花澤
「そうしますと、このイランとサウジアラビアの対立、今後どうなっていくんでしょうか?」

日本エネルギー経済研究所 研究理事 保坂修司さん
「正直なところ、先が見えないというのは、現状だと思います。
イエメン問題もなかなか出口が見つかりませんし、また、カタールサウジアラビアは国交を断絶しているんですけれども、そこにも、やはりイランとの関係が見え隠れしているわけですね。
今現在、恐らく、出口の見えない、こう着状況ということが言えると思います。
そこにレバノン情勢が加わって、一触即発という危機に陥っています。
仲介するグループが出てくれば、状況は変わるかもしれませんけれども、今現在、その仲介に出てくる国がなかなか見つからないというのも現状です。」

花澤
「当面はこう着した状況が続いて、ともすると小競り合い、あるいは軍事衝突に発展する可能性もあると?」

日本エネルギー経済研究所 研究理事 保坂修司さん
「これまでは、イエメンが非常に大きな焦点だったんですけれども、ここに来て、レバノンという新しい要素が加わってしまいましたので、ますます不安定といいますか、先が見えないという状況だと思います。」

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韓流の時代劇では軍を誰が掌握するかが常にポイントになって権力の座に就くわけだが、実際の国家も同様で、ムハンマド皇太子も「副皇太子時代から、国の経済政策を決定する役職や国防相を兼務」とあるように、カネと軍を握っていたのでこれができた。

我が国の三島由紀夫自衛隊が蜂起することを訴えてクーデターを起こそうとしたのであった。

今後の推移を注目したい。

 

 


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