その法律とは、1995年に連邦議会の上下両院が圧倒的多数で可決し、大統領の署名を得て成立させた「エルサレム大使館法」だ。この法律は、米国政府がエルサレムイスラエルの首都だと公式に認め、テルアビブにある米国大使館を1999年までにエルサレムに移転することを明記していた。

だがクリントン、ブッシュ、オバマ各政権はその法執行を延期する道を選択してきた。パレスチナなどイスラム勢力側の反発を懸念し、毎年回、半年ごとに法執行の延期書に署名してきたのだ。トランプ大統領はその延期を停止したのである。

 

 実は、トランプ大統領は今年6月、エルサレム大使館法の執行延期書にサインしていた。それに対して議会側は、上院で同大統領に同法の即時執行を求める決議案を「90対0」という全員一致で可決した。同大統領はその議会の意思に従っただけともいえる。

何度も強調していた選挙公約

 このように歴史の流れを少しでもたどってみると、トランプ大統領の今回の措置は民意の流れに沿った動きであることが分かってくる。

 そうした現実を踏まえて、トランプ大統領があえてこの時期にエルサレムを首都として認める宣言をした要因をまとめてみよう。

 第1は、これまで述べてきたような米国の世論への同調である。

 中東での紛争や和平交渉に対して、国際的には反イスラエル、親イスラム、親パレスチナの傾向が強い。だが米国は一貫して親イスラエルである。22年前に成立したエルサレム大使館法も、その姿勢の表れといってよい。議会は、法律成立以降、時の政権に対して同法の早期の執行を迫る決議案や法案をたびたび提出してきた。その最新の動きが今年6月の上記の上院決議である。トランプ大統領は、今回の措置を早く実施するよう、議会から超党派で求められていたのだ。

 第2は、トランプ大統領自身の選挙公約である。

トランプ氏は2016年の大統領選挙キャンペーン中から、エルサレムイスラエルの首都として公式に認め、米国大使館を同地に移すことを何度も公約として強調していた。ユダヤ系米国人の団体への演説でも、その点を確約していた。大統領に就任して1年という時期が迫り、その公約が未達成のままでは困るのだろう。

 オバマ前大統領のイスラエルへの態度は冷たかった。歴代大統領が力説してきたようなイスラエルとの「民主主義国家同士の連帯」を説くことは少なかった。だからイスラエルのネタニヤフ首相との関係も険悪となった。トランプ氏はそんな状態を完全に巻き戻そうとした。だから、この公約の達成は重要なのである。

 第3の要因は、トランプ大統領の中東問題全体への自信であろう

 エルサレム首都宣言がイスラム側の激しい反発を引き起こすことは、トランプ大統領は当然予測していたはずだ。だが、それでも対処できるという自信があったのだろう。

 その理由は、まずテロ組織「イスラム国」との戦いに勝利したことである。トランプ大統領は対外政策の最優先課題をイスラム国撲滅としてきた。それがいま、ほぼ実現した。

 また、トランプ大統領は今年5月、サウジアラビアを訪れ、中東のイスラム系の国家や民族の代表約50人を集めて演説し、好評を得ているサウジアラビア、エジプト、さらにはトルコなどとの関係も改善を果たした。中東関係でのこうした成果によって、エルサレム問題でたとえ反発を受けても十分に対処可能だと判断したのだろう。この判断が果たして正しいかはまだ分からない。だが、大きな決断の要因だったことは確実とみられる。

 トランプ大統領の今回のエルサレム首都宣言の背後にはこうしたいくつもの大きな要素や流れが存在することを知っておくべきである。

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大変重要な記事なので多くの方が読まれることを希望いたします。

わたしはこの決断と実行がもしかしたら神の摂理ではないかと意識している。

まだそのような背景は読み取れないのだが、アメリカの国内事情がこのようであるとは驚きであった。

一体アメリカにいるメディアの滞在員はどんな仕事をしているのだろうか?

 

 

 


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