ワシントンにある、キリスト教福音派が通う教会です。
日曜の礼拝の参加者からは、トランプ大統領の発言を支持する声が相次ぎました。
「トランプ大統領が公約を守り、決断したことにとても感謝してます。」
「承認するかどうかはアメリカが決めることです。
本当はとっくの昔にやるべきだったんです。」
アメリカ国民のおよそ3割を占める「福音派」。
大統領選挙で、トランプ氏が勝利した背景の1つには福音派の支持をとりつけたことがあるとの見方もあります。
福音派は、政権内にも影響力を広げています。
ペンス副大統領も敬けんな福音派で、エルサレムを首都と認めるべきだと主張したといわれています。
リポート:澤畑剛支局長(エルサレム支局)
争点となっている聖地エルサレム。
アメリカの福音派の中でも一部の強硬なグループが、イスラエルとの結びつきを深めています。
澤畑剛支局長(エルサレム支局)
「福音派は、ここエルサレムにも事務所を構えています。」
アメリカの福音派を中心とするこの団体は、エルサレムはイスラエルの首都だと主張するため、団体名にあえて「大使館」と名付けています。
この団体の副代表、デビッド・パーソンズさん。
90年代前半、団体のロビイストとしてアメリカの大使館をエルサレムに移すよう、アメリカ議会に働きかけてきました。
その後、パーソンズさんはエルサレムに移り、イスラエルの要人と緊密な関係を築いてきました。
信仰に従って、イスラエルとアメリカの橋渡しをするためです。
福音派の団体 副代表 デビッド・パーソンズさん
「私たちは神がユダヤ人を愛していると気付いたのです。
神はユダヤ人を約束の地に戻したのです。
聖書に書かれていることを守らなければならず、神の教えに逆らうわけにはいきません。」
文化交流や観光を通じて、イスラエルとアメリカの関係強化を図るグループもあります。
代表のマイケル・エバンスさんです。
エバンスさんが、2年前にエルサレムに建てた博物館です。
アメリカから訪れる福音派の観光客や地元イスラエルの人々に、福音派がイスラエルを支援することの正当性をアピール。
エバンスさんは、イスラエルがエルサレムの支配を強めることが神の教えに沿ったものであり、支援すべきだと主張します。
マイケル・エバンスさん
「エルサレムはユダヤ人国家の首都です。
首都を分割するなどありえません。
ここは(ユダヤ教の預言者)アブラハムに始まるイスラエルの歴史が刻まれた土地なのですから。」
さらに福音派の中には、独自のテレビ局を運営し、エルサレムに支局を置いているところもあります。
放送では、今回のトランプ大統領の決定を歴史的な瞬間だと伝えています。
“イスラエル指導者は(決定を)賞賛し、福音派の指導者は、歴史的であり神の教えに沿った決定だとたたえている。”
さらに、歴史番組も数多く制作。
古代の歴史にさかのぼり、現在のイスラエルの占領政策を正当化するねらいがあるとみられます。
“エルサレムの街の名前は、イスラム教の聖典コーランには一度も出てきませんが、一方で、ユダヤ教の聖書には600回以上も出てきます。”
福音派テレビ局 エルサレム支局 ミッチェル支局長
「私たちはほかのテレビ局より、福音派の視聴者から厚い信頼を得ていると思います。
きちんと聖書の教えに沿った報道をしているからです。」
長年、イスラエルとの関係強化に取り組んできた福音派団体のパーソンズさん。
こうしたさまざまな活動が、今回のトランプ大統領の判断につながったと受け止めています。
福音派の団体 副代表 デビッド・パーソンズさん
「多くの福音派の指導者たちが、トランプ大統領に大使館の移設を直接働きかけました。
大統領の決定に感謝します。」