原理講論を読む

日常生活の中で 考える糸口を求めて

アルバート・フィニー「クリスマス・キャロル」  人に与えられ感謝する人 人に与えて感謝する人

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ロナルド・ニーム監督による1970年制作の映画「クリスマスキャロル」は、イギリスの文豪の小説をミュージカル仕立てに作られた作品です。

映画の原題は主人公の名をとって「Scrooge」と言います。

この英語は、「守銭奴・けちんぼう」を意味する言葉です。

物語は晩年のエブニザー・スクルージのクリスマスイブの出来事から始まります。

イブですから町には讃美歌が流れています。

「天使が歌う 新しい王の誕生を

地上には平和を 神は罪人に慈悲を」

子供達は一軒一軒の玄関に立ってクリスマスキャロルを歌い

そのの住人から小銭をもらう習慣がありました。

昔の日本のでは獅子舞が一軒一軒訪問して家庭に福が来るように舞いおひねりを頂いたようなものでしょうか。

だが、スクルージの家の前で歌っても子供達は毒づかれ追い出されてしまいます。

スクルージは高利貸しの仕事をしていました。

金の亡者で金を数えることが唯一の人生であるかのような彼にとっては、人々が貧しさに打ち負かされて救済の施設に行こうが、犯罪に手を染めて刑務所に行こうが、のたれ死にしたとしても、人口増加の問題を解決するではないかとすら考えていました。

部下には事務員としてボブ・クラチットを雇っていましたが、不況とはいえ8年間も昇給をしませんんでした。そんな雇い主に対してもクラチットは善意を抱き、子だくさんで大変慎ましやかな生活をしていましたが、与えられたすべてに感謝して、貧困の生活の中でも妻や子供達に希望的な人生の受け止め方を、ごく自然に見せて語り、ささやかだが幸福な家庭を築いていました。

甥もこのスクルージを案じて訪問します。

何かこのひねくれ者で心がすさんでしまったスクルージに愛の手を差し伸べたいと考えてのことでした。明日のクリスマスに我が家へ食事にどうぞと誘ったのでした。

何故って、は一年で一度のクリスマスですから、すべての人に神の恵みが現されなければならない尊い日だからです。

それでもスクルージにとっては人の幸不幸には一切お構いなく、ただ昨日より今日の方が1シリングでも多く手にすることができることが全てであり、集められた一枚一枚の硬貨を数えるために生まれてきたかのようでした。

 

さて、この映画の魅力は何と言ってもスクルージを演じたアルバート・フィニーの演技です。34才でこの老人を演じたのです。あまりにも上手いので子供の頃は本当の老人だとばかり思っていました。

また、スクルージの旧友であり今は死んで幽霊になったマーレイを名優のアレック・ギネスが演じています。

なんとも不思議な地に足の着かないような動作で幽霊の雰囲気をうまく出しています。

その後、リメイクでいくつか映画ができどれも評判のようですが、どうでしょう?私には他のクリスマスキャロルはありません。

 

クリスマスイブなのに借金の回収に町に出かけて帰ってきたスクルージ

家のドアにある獣のノッカーがジェイコブ・マーレイの顔に変わっていることに驚きます。

彼は昔のよしみで地獄からスクルージの元にやって来たのでした。

俺のような人生を生きたらお前もとんでもなく太く大きい鎖に繋がれ、重いオモリをつけられてあの世の生活をしなければならない。

生きていた時に人を思いやる心がなかったからだと。

これから過去・現在・未来のクリスマスの幽霊が3人お前を訪問する、いいかお前は俺の二の舞になるなというわけです。

「わたしは冥界を彷徨う宿命だ。過去を悔やみながら・・・警告したことを忘れるな」

 

最初に訪問してきたのは、過去のクリスマスの幽霊で女性でした。マーレイは半ば透明で不気味でしたが、この女性は彼よりずっと正しく生きてきたせいか実在の人と同じようにはっきり見えます。

彼女はスクルージが子供だった頃は家族に冷たくされていてひとりぼっちでした。また青春のただ中にあって一人の女性を深く愛したものの、次第に互いの心がすれ違って悲しい別れが来たことを、幻影を通してスクルージに見せます。自分は一体何ものだったのでしょうか?と、スクルージの確認が始まります。

自分は何を大切に思ってきて、いつからそれとは別のものを大切に思うようになり、こんな自分になっていったのかを第三者であるかのように見たのでした。

自分のことを深く愛してくれた妹や、恋人がいました。みんなに楽しみを与えてくれたフェズウィグ親方の娘さんでした。

思えばスクルージは彼ら大切な人々から、遥かに遠くへ来てしまっていたのでした。

 

二番目は、現在のクリスマスの幽霊です。

彼はスクルージのことを悪どい奴だと聞いていたが、会ってみればまさにその通りだと言うが、スクルージはいや違う気高い信条と寛大な心の持ち主だと言い張る。

そこでわからせてあげようと幽霊は言うのだが、スクルージにこの世のものとは思えない美酒?である「思いやりのミルク」を飲ませてあげた。

別の人生があることを諭すためでした。人生は楽しく素晴らしいと幽霊は歌うが、スクルージは人生が嫌いでした。人生が彼を嫌っていると思っていたからでした。

そこで幽霊はスクルージに一緒に歌わせることにします。

「人生が好き、人生は私を好き・・・」

歌いながら二人は窓ガラスをぶち空けて大空高く飛び上がって、空中遊泳を楽しみます。ところが墜落して雪の中に・・・

そこはクラチットの家の前でした。

窓を通してみるクラチット家は幸せそのものでした。

そこで病弱なティムがかわいらしい声でみんなの前で歌います。

メリー クリスマス!

クラチットが本心で自分を好いているのを知ったスクルージは、一見幸せそうなこの家庭が病気を持った子供という十字架を背負っていることを幽霊に指摘され気づかされ、かれの眠っていた何かが動き始めるのです。

 

また、優しい心を持った妹が形見のように残した子供が甥の

そこで集まっている多くの人々の前で、甥が言いました。

「ここでエブニザー伯父の健康と長寿を願ってカンパイ」

ところが金の亡者に毎年感謝してカンパイするのは御免だ理解ができないという友達がでてきた。そこで彼は語り始めます。

「答えは簡単。確かに伯父は守銭奴だ。想像もつかないほど。僕は伯父のためにクリスマスを祝う。ケチを絵にかいた鼻つまみの者のために。そうすれば善人の気持ちを味わえる。僕は伯父が好きだ。僕は感じるんだ。御老体の心の奥深くから、別の人間が出ようともがいている。」

だから祝うんだと。

さて幽霊は「人生は短く、突然死が訪れる」と警告して去っていく。

 

 

三番目は、未来のクリスマスの幽霊。

これからスクルージに起こる出来事を知らせに来たのです。

スクルージは死んでいました。

そこには多くの人々が集まり喜んでいます。

借金の証文を破り捨てていき、スクルージの棺を馬車に載せて、町中を大行進が始まります。棺の上に靴で乗られて「サンキュウ・ベリーマッチ」の歌が群衆と共に歌われていきます。自分の死 を喜んでの歌と行進でしたが、スクルージの中に眠っていた本性が目を覚まします。

感謝されるのは、わしの方じゃない。君たちの方だ!

その歌がトップにある動画です。

中学英語崩れのへた訳を以下に施しました。

 「rumty-tumty」の意味がわからなかったのでそこだけは英文のままです。

ご了承ください。

 

 

 Tom Jenkins
Ladies and gentlemen

紳士淑女の皆さん
On behalf of all the people who have assembled here

ここに集まった皆さんの代表として
I would merely like to mention if I may

こう申し上げたいのです
That our unanimous attitude

我々の気持ちは一つに集約され
Is one of lasting gratitude

尽きることのない感謝の気持ちで満たされたと


For what our friend has done for us today

我々の友が今日この日にしてくれた恩に
And therefore I would simply like to say

それゆえ ただこう言いたい



Thank you very much!

どうも有り難うございます!
Thank you very much!

どうも有り難うございます!
That's the nicest thing that anyone's ever done for me

誰がこんなに素敵なことをしてくれたことがあっただろう?
I may sound Double-Dutch

ダブルダッチの縄跳びのように心は弾む
But my delight is such

ともあれこんなにも嬉しい
I feel as if a losing war's been won for me

まるで負け戦にでも勝ったかのようさ
And if I had a flag I'd hang my flag out

旗があれば掲げてたなびかせたものを
To add a sort of final victory touch

決定的な勝利の手応えを表して
But since I left my flag at home

でもここに旗がなくたって
I'll simply have to say

ただ率直に言わせてもらおうじゃないか
Thank you very, very, very much!

どうも、どうも、どうも有り難うございます

Company
Thank you very, very, very much!

どうも、どうも、どうも有り難うございます

Tom Jenkins
Thank you very much!

どうも有り難うございます!
Thank you very much!

どうも有り難うございます!
That's the nicest thing that anyone's ever done for me

誰がこんなに素敵なことをしてくれたことがあっただろう?
It sounds a bit bizarre

なんだかちょっと変だけれども
But things the way they are

これがありのままの事実なんだ
I feel as if another life's begun for me

まるで全く新しい人生が始まったかのようだ

Company
And if I had a cannon I would fire it

もし大砲を持っていたなら
To add a sort of celebration touch

祝砲を空にぶっ放してやるところさ
But since I left my cannon at home

残念だけどここにはないからね
I'll simply have to say

ただ率直に言わせてもらおうじゃないか

Scrooge
Thank you very, very, very much!

どうも、どうも、どうも有り難うございます!

Company
Thank you very, very, very much!

どうも、どうも、どうも有り難うございます!

Thank you very much!

どうも有り難うございます!
Thank you very much!

どうも有り難うございます!
That's the nicest thing that anyone's ever done for me

誰がこんなに素敵なことをしてくれたことがあっただろう?


It isn't everyday

こんなことは滅多にありはしない

Good fortune comes my way

希望の未来が見えてきたぞ

I never thought the future would be fun for me

そんなことは夢にも思わなかったのに

And if I had a bugle I would blow it

軍隊ラッパがあれば勝利を告げて吹き鳴らすところさ
To add a sort of 'ow's-your-father touch

親父さんは元気かいと言う具合にね
But since I left my bugle at home

でもここにはラッパがないから

I'll simply have to say

ただこう言わせてもらおうか
Thank you very, very, very much

どうも、どうも、どうも有り難うございます

Scrooge
No, my friends, it is I who should be thankful to you!

そうじゃないだろ、友よ わしこそ君たちにありがとうと言わせてくれたまえ!

Company
For he's a jolly good fellow

彼は愛すべきいい奴だから
For he's a jolly good fellow

彼は愛すべきいい奴だから

Scrooge
For I'm a jolly good fellow

そうだ 私は愛すべきいい奴なんだ

Company
And so say all of us

そして我々全てがそう思っている

Thank you very, very much

どうも有り難うございます
(Tom Jenkins: Thank you very much!)

(どうも有り難うございます)
Thank you very, very much

どうも有り難うございます
(Tom Jenkins: That's the nicest thing that anyone's ever done for me)

(誰がこんなに素敵なことをしてくれたことがあっただろう?)


Thank you very, very much

どうも、どうも、どうも有り難うございます
(Tom Jenkins: The future looks all right)

(希望の未来が待っている)
Thank you very much

どうも有り難うございます

(Tom Jenkins: In fact it looks so bright)

(実のところぴかぴかさ)
Thank you very much

どうも有り難うございます
(Tom Jenkins: I feel as if they're polishing the sun for me)

(まるで太陽を磨いたみたいさ)
Thank you very much

どうも有り難うございます
Thank you very much

どうも有り難うございます
Thank you very, very, very, very much
どうも、どうも、どうも有り難うございます
And if I had a drum I'd have to bang it!

ドラムがあったなら叩いてみせるものを
To add a sort of rumty-tumty touch


But since I left my drum at home

ここにはドラムがなくてもこう言いたいのさ
I'll simply thank you very, very, very much!

どうも、どうも、どうも本当に有り難う

Thank you very, very, very much! 

どうも有り難うございます

 

さて、スクルージはクラチットの息子のティムが病気で死んだことを知ります。

また、自分の未来を訪ねると地獄に突き落とされ、そこで再びマーレイに会うことになります。彼は特大の鎖がスクルージの為に作られていると告げ、いよいよそれが運ばれました。地獄の亡者達にその鎖を体中にぐるぐる巻にされ助けてくれと悲鳴を上げていたら、目が覚めてベッドから落ちた自分の首に毛布がからまりついているのを見ました。だが、彼はもう今までの経験が夢ではないと悟りました。

そして、素晴らしい回心を神の前に捧げました。

人生の最後が肝腎です。

彼はそのことを今一度我々に示してくれました。

 

さて、善は急げ。人生は短い。

スクルージはどうしたのでしょうか?

映画はクライマックスに突入していきます。

「Thank you very much」

を繰り返し繰り返し声に出して歌い、

大勢の人々のその声を聞くと、

不思議な力が湧き上がってきます。

 

人は誰かのために生きる時、本当の幸せを得ることができるのでしょう。

スクルージの周りの人々は

彼に与えられて感謝しましたが、彼はそれらの人々の感謝の声を聞いて

彼らに与えることができ、彼らに役に立った自分を見て幸せになりました。

奪う人間から与える人間に変身することができました。

 

過去のどこかで道を踏み違えることがあっても

現在が本当に悲惨な状態であっても

明日を切り開いていく自由が私たちにはあります。

 

クリスマスの日に、

スクルージが多くの貧しい人々の借金を帳消ししてあげたように

イエス・キリストが我々の罪を一身に背負って贖罪の十字架の道を行かれました。

エス様の血の代価によって、我々の負債は精算され新しい命と新しい命を

我々は得ることになりました。

 

世に 人に与えられて感謝する者は多い。

世に 自分の最も大切なものを隣人に与えていながら

感謝できる人は少ない。

あなただったら、どちらの道を行きますか?

 

誰かに感謝されたなら

スクルージのようでありたいと思う。

 

友よ わしこそ君たちにありがとうと言わせてくれたまえ!

 

皆様に神の祝福と加護と導きがありますように!

アージュ。 

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次にも、もう一つクリスマス映画をご紹介いたします。

 

 

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