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カトリックが性犯罪組織である可能性を示唆する記事の紹介

1000件以上黙殺されていた神父による児童への性的虐待 | 大場正明 | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト より引用

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2016年04月01日(金)16時15分
1000件以上黙殺されていた神父による児童への性的虐待

カトリック教会が組織ぐるみで隠蔽してきたスキャンダル。1000人以上が被害を受けたとされるその罪は、なぜ長年にわたって黙殺されてきたのか。Photo by Kerry Hayes (C) 2015 SPOTLIGHT FILM, LLC

 アカデミー賞で作品賞と脚本賞に輝いたトム・マッカーシー監督スポットライト 世紀のスクープは、地元ボストンのカトリック教会が、神父による児童への性的虐待を組織ぐるみで隠蔽してきたスキャンダルを、ボストン・グローブ紙の記者たちが暴いた実話に基づく社会派ドラマだ。地域に根ざした巨大権力に挑んだのは、独自取材の特集記事欄「スポットライト」を担当する4人の記者たち。彼らが様々な困難を乗り越え、真相に迫っていく緊張に満ちたドラマは、あの『大統領の陰謀』を彷彿させる。だが、主人公たちが向き合うのは、必ずしも現在が重要な位置を占める問題ではない。

2002年の報道後、神父による性的虐待が次々と明らかになった

 この映画には、1976年冬のボストン警察署を舞台にしたプロローグがある。そこにはゲーガンという名の神父が勾留され、別の部屋では取り乱している子連れの母親に司祭が言葉をかけている。警察官は彼らの間でどんな駆け引きが行なわれているかわかっていながら、目をつむっている。

 そして2001年7月、新聞社ボストン・グローブに新しい編集局長が赴任する。彼は、ゲーガンという神父が30年の間に80人もの児童に性的虐待を加えていたという疑惑が、小さなコラムでしか扱われていないことに疑問を持ち、「スポットライト」で追究するよう指示する。ユダヤ系でボストンとは無縁の彼は、地元出身者がタブー視するカトリック教会の権威にひるむことはなかった。そこで4人の記者たちが調査に乗り出すことになる。

 この導入部の流れは、ゲーガン神父が聖職に留まり、罪を重ねていたことを物語るが、別な意味も読み取ることができる。「スポットライト」チームは2002年1月から報道を開始し、その後、全米の都市や海外でカトリック教会の神父による性的虐待の事実が次々と明らかになった。それからこの映画が作られるまでには、この問題について様々な検証が行われている。

85年までに11000件を超える事件が発生していた

 たとえば、『Sexual Abuse in the Catholic Church: A Decade of Crisis, 2002-2012』に取り上げられているデータは興味深い。カトリック教会の性的虐待事件で、1950年から2002年までにアメリカ国内で発生した事件のうち93パーセント以上が1990年以前に起こり、70年代をピークとして65年から85年までの20年間に集中していた。その要因としては、カトリック教会という閉鎖的な組織の体質や、霊性を重視して人間形成を蔑ろにしてきた神学校の教育方針、離婚、麻薬、犯罪などの増加と連動するアメリカ社会の変化などが挙げられているが、ここで確認しておきたいのは、事件が歴史的な問題になっているということだ。

 1976年を背景にしたこの映画のプロローグは、性的虐待のピークを示唆してもいる。「スポットライト」チームは、その歴史に踏み込んでいくことによって、個人ではなく教会の罪を明らかにする。その衝撃の大きさはデータが物語っている。85年までに11000件を超える事件が発生していたが、その時点までに教区に報告されていたのはわずか840件だった。これに対して、スクープの年である2002年だけで、事件全体の三分の一が明らかにされることになった。

 ただし、「スポットライト」の報道以前に、この問題が注目されることがなかったわけではない。前掲書によれば、80年代半ばから90年代にかけて第一の波が起こっていた。被害にあった子供の両親が司教たちに訴え、メディアも関心を持った。しかし、あくまで個別の相互に関連のない事件として扱い、教会が組織的に隠蔽しているとは考えなかった。「スポットライト」チームの記者たちもインタビューで、2001年に調査に乗り出す前には、神父による性的虐待をあくまで個人的な事件だと思っていたと語っている。

 

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では彼らは、どうして歴史に踏み込むことができたのか。この映画で印象に残るのは、「スポットライト」チームとフィル・サヴィアノやリチャード・サイプという実際に重要な役割を果たした人物との関係だ。サヴィアノは性的虐待の被害者で、被害者団体のメンバーとしてチームのオフィスに招かれ、驚くべき証言をする。さらに彼らに、リチャード・サイプの著書『Sex, Priests, and Power: anatomy of a crisis』を見せる。サイプは、問題のある神父が送られる療養施設で働いていた元神父で、30年以上も神父の性犯罪を研究してきた心理療法士だった。そのサイプは、チームとの電話のやりとりを通して声で登場するだけだが、貴重な情報源となり、『大統領の陰謀』の"ディープ・スロート"のように、チームを導いていく。

見逃されていた虐待事件

 このサヴィアノやサイプという存在はなにを意味しているのか。マッカーシー監督は、「スポットライト」チームを単純にヒーローとして描いているわけではない。サヴィアノは以前にもグローブ紙に情報を提供していたが、信頼できる情報源とはみなされなかった。サイプは60年代から神父の性犯罪を追い、サヴィアノがチームに見せた著書を95年に出版していた。チームの編集デスクであるロビーは、その他にもグローブ紙が虐待事件の情報を得ていながら見逃していたことに責任を感じる。

 もし身近なところにある手がかりに気づいていれば、アウトサイダーの編集局長の登場を待つ必要はなかったかもしれない。さらに言えば、第一の波が起こったときに、勘や想像力を働かせるジャーナリストがいたら、被害者が30年も沈黙を強いられたり、事件が歴史的な問題になることはなかったかもしれない。この映画を観たら、誰もがジャーナリズムの重要性についてあらためて考えざるをえなくなるだろう。

 

《参照/引用文献》
"Sexual Abuse in the Catholic Church: A Decade of Crisis, 2002-2012"by Thomas G. Plante Ph.D. (editor), KathleenL. McChesney (editor) (Praeger, 2011)

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実在した記者やマイケル・キートンが話しています。

 

 

すでに各報道からアメリカのペンシルベニアでのカトリック聖職者301人による性犯罪のニュースはお聞きであるかと思います。

アイルランド、ベルギー、ドイツ、オーストラリア、チリなど世界各国で今世紀ん入り性犯罪が暴露され続けてきたカトリック

教皇自体が大規模な性犯罪の事実を知りながらも積極的な改革どころか隠蔽工作や赴任地の変更の裏技で対処してきたことが明るみになってきている。

もうこうなっては性犯罪組織と言われても止む終えまい。

しかも被害者の数も半端ではない。

 

キリスト教系の新聞にもあります。

聖職者の性的虐待問題で米ペンシルベニア州検察当局が事実公表 2018年8月21日 | キリスト新聞社ホームページ より引用

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 米ペンシルベニア州検察当局は8月14日、州内の6カトリック教区の内部資料を2年間調査した結果、1940年代から70年にわたり未成年者約1000人に性的虐待を加え、教団が組織的に隠そうとした事実が明らかになったと発表した。

 英紙『テレグラフ』は、「犯罪が起きた時期が古いため、聖職者2人だけが起訴された」と報道。問題の聖職者301人のうち約100人はすでに亡くなっており、その他も多くが引退したり行方が分からないという。

 これを受けてバチカンローマ教皇庁)のグレッグ・バーク報道官は8月16日、「遺憾の意」を表明。報道官は声明で「報告書に記載されている虐待は犯罪で、道徳的に非難に値する」と指摘。

 バーク報道官は同日、バチカンのニュースサイトを通じて発表した声明で、「教皇は弱者に対する性的虐待を断固非難する。加害者は犠牲者の尊厳と信仰心を踏みにじって裏切った」「報告書に記載されている虐待は犯罪で、道徳的に非難に値する」と言及した。

 米カトリック司教協議会(UCCCCB)は教皇庁に対し、早急に調査を実施するよう求めている。USSCCB会長のダニエル・ディナルド枢機卿は、「教会としての指導力に落ち度があった」と述べた。

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しかし、その後のニュースで産経が以下の内容を伝えている。

301人もの聖職者による性犯罪というものは、明らかに組織的な風土があるということを示している。

桁違いの数です。

宗教組織は性犯罪がこの世の組織に比べて圧倒的に少ないようでなければならない。

勿論ゼロが望ましいことは明らかです。

 

 

「法王が性的虐待疑惑を黙殺」 カトリック大司教が非難 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News より引用

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「法王が性的虐待疑惑を黙殺」 カトリック大司教が非難

2018年8月27日 9:49 発信地:ダブリン/アイルランドアイルランド バチカン市国 ヨーロッパ 米国 北米 ]

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「法王が性的虐待疑惑を黙殺」 カトリック大司教が非難  
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アイルランドのダブリン城で話すローマ・カトリック教会のフランシスコ法王(2018年8月25日撮影)。(c)Tiziana FABI / AFP

【8月27日 AFP】米首都ワシントンの枢機卿による性的虐待疑惑を報告したにもかかわらず黙殺されたとして、ローマ法王庁バチカン)の駐米大使を務めたカルロ・マリア・ビガノ(Carlo Maria Vigano大司教がフランシスコ(Francis)法王を非難している。疑惑は最近明るみに出たが、大司教は5年前に法王に伝えていたという。法王は26日、この件についてコメントを拒んだ。

 疑惑は、ワシントンのカトリック教会のセオドア・マカリック(Theodore McCarrick枢機卿が過去に未成年に性的虐待をしていたというもの。枢機卿は先月、辞任に追い込まれている。

 ビガノ大司教カトリック新聞ナショナル・カトリックレジスター(National Catholic Register)紙に掲載された書簡の中で、疑惑について2013年に法王に報告したが、法王は前任のベネディクト16世Benedict XVI)が同枢機卿に科していた制裁を解除したと告発。

 フランシスコ法王について「少なくとも2013年6月23日からは、マカリックが性犯罪を繰り返す者だと知っていた」とし、マカリック氏が「堕落した人物」だと分かっていたのに最後までかばったと批判している。

 法王は26日、訪問先のアイルランドからバチカンに戻る機内で書簡について記者団に問われると「それについては一言も言うつもりはない」と答えた。(c)AFP/Joseph Stenson and Catherine Marciano

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 関連記事には次のようなものがあります。

リンク先で詳細は見ることができます。

 

www.afpbb.com

 

www.bbc.com

 

www.afpbb.com

 

宗教改革当時、ルターが聖職者の妻帯を提案していたことは、正解でしたね。

 

 


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