ヘッセの「クヌルプ」
The Littlest Hobo Japanese Opening song 名犬ロンドン
動画はさすらいのワンちゃんです。
行く街で、人々がささやかな幸せに与るよう助けて、
また別の 街へと、知らぬ間に旅立っていくんです。
小学生の自分にはヒーローでした。
懐かしい方だけどうぞ。
私はキリスト教圏の世界で生まれ育つことができませんでしたから、異国の文学によって随分教えられたことがありました。
ヘルマン・ヘッセのクヌルプもその一つでした。
クヌルプというのは、女遊びをするという意味ではありませんが、まあ遊び人です。
気質の生活に入ってはいけず、さすらいの生活をしています。
結婚して家庭を持ち定職につくタイプではありませんでした。
言ってみれば『名犬ロンドン』みたいなものです。
ロンドンと違うのは、過去を引きずって生きているということです。
わたしは小学生の自分には小学生向きにアレンジされた小説をいくらか読んだものですが、中学以降は宿題以外はほとんど読みませんでした。
小学生の時も動物が好きですから、シートン動物記とか、伝書鳩アルノーとか、そんなのは読みましたが、普通の小説は苦手でした。
だいたい文字がいっぱいあるのが、大嫌いなんです。
なんでもっと圧縮しないんだと。
なんで俳句みたいにしないんだと。
要点を言え!と。でもそこが小説の面白いところなんでしょう。
ですから、思い起こせばだいたい人から薦められて読んだ本しかないんです。
そして、いい加減なもんです。
自分が美味しいというところだけよく読んでいて、あとは急行列車が駅を飛ばして行くような、へんちくりんな読み方です。
そこでクヌルプもそんな感じでした。
高橋健二の訳でした。
好き勝手に生きてきた主人公が、吹雪の中を歩いているんですが、自分の人生は果たしてこれでよかったのだろうかと。
まあ、『素晴らしきかな人生」の主人公のように思い悩みます。
わたしたち男性はね、女性に比べると意気地がないところがありますね。
案外女々しいものです。
スカーレット・オハラみたいにかっこ良く覚悟を決めたらいいものですが・・・
クヌルプも過去を精算できず、引きずっていました。
死が近づき、凍えつくような吹雪の中で。
クヌルプは神様に話しかけるんですよ。
これが実に美しいんだ。
自分の人生はこんなはずじゃなかったと。
クヌルプは神様に問いかけます。
神様とクヌルプの間でいくらかのやり取りがあって
彼は納得して静かに雪に中で眠りにつくんです。
わたしは、この話を読んで、神様は自分の良いも悪いも、うまく行ったこともしくじったことも、すべてまるごと受け入れてくださる方だと、いっそう確信いたしました。
残念ながら高橋健二のはありませんでしたが、別の方が訳されておられました。
関心がある方はお読み下さい。
以下にございます。
神様が出てくるあたりだけでも
ご覧になられれば幸いです。
漂泊の人 - ヘルマン・ヘッセ/芳賀檀訳 - Google ブックス
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