家庭連合のブログ村から3月下旬時点での3回分の韓半島情勢をまとめて引用させてもらいます
家庭連合のブログ村から「マルコの手紙」より以下に引用します。
第二次朝鮮戦争の危機が迫っているにもかかわらず、日本も韓国もその緊急性が実感されていない。そのため国家としての対策も取られていない現状を憂い、せめて各自が備えをするように警告を発する。
1、文在寅従北政権
①韓国の文在寅政権が、従北左翼政権であることは、すでに何度も述べた。
文在寅政権を誕生させたいわゆる386世代(30代で、80年代に大学生であり、60年生まれ)の現代史認識は「反日民族主義史観」で、…韓国現代史を‟汚れた親日派との戦い“という単純な善悪二分法で描き、親日派の対極にいるのが抗日武装闘争を行ったとされる金日成と韓国内親北勢力だとする親北歴史観につながる。[i]
彼ら386世代は「民主化」の主役となり、金大中・盧武鉉大統領が政権を執った約10年の間、国会議員をはじめ、行政・司法・立法などの主要な地位は従北派が占めるようになった。…従北派の狙いは「韓国の内部崩壊」「日韓・米韓関係の悪化(反日・反米)」であり、「中国への従属(親中)」である。[ii]
②文在寅氏は、盧武鉉元大統領の秘書室長だった。盧政権のナンバー2だった文氏は、北朝鮮への大規模支援を決めた2007年の南北首脳会談をサポートした。[iii]
その南北首脳会談で、盧武鉉氏が金正日氏に対し行った発言が、「従北左翼」の本質を表している。
「自分(盧武鉉)は、北の立場で米国と戦ってきたし、国際舞台でも北朝鮮の立場を弁護してきた。私は北朝鮮側のスポークスマン、あるいは弁護人の役割を果たし、時には顔を赤くして怒ったこともある。」[iv]
「(金正日)委員長は、お前らが何をしているのかと仰いますが、我々も頑張っています。在韓米軍が首都圏から移転することになっており、戦時作戦権も米国から返還されるようになっています。最近の世論調査によれば、我々(韓国)の安保に最も脅威的な国として米国が指目され、二番目が日本、三番目が北朝鮮です。10年前は想像もできなかったことです。これは自主外交と民族共助を熱心にやった結果です。」[v]
一国の大統領(盧武鉉)が、仮想敵国の指導者にヘリ下り、「我々はあなたの願い通りやっていますよ。韓国の左傾化と日韓・米韓関係の悪化は進んでいますよ。褒めてください」と言わんばかりだ。
盧氏が言うように、2005年の世論調査では、米国と北朝鮮が戦争した場合、北朝鮮に味方するとの回答が65%に達し、米国側に付くとした28%を大きく上回った。[vi]まさしく、従北左翼勢力の社会浸透の結果、韓国は米国よりは北朝鮮に親近感を持つようになっていたのだ。
③昨年5月に大統領となった文在寅氏も同じだ。
「朝鮮半島での軍事行動は大韓民国の同意なくして誰もできない」(8月15日)と米国の先制攻撃に反対し、「戦時作戦統制権を早期に米国から韓国に移す」(9月28日)と演説、北朝鮮のICBM発射直後には「米国が先制攻撃を念頭に置く状況にならぬよう防がねばならない」(11月29日)と米国をけん制した。[vii]
他方では、「平昌に北朝鮮選手団が参加すれば、人類の和解と世界平和促進という五輪の価値実現に大きく寄与する。北朝鮮の応援団も参加し、南北和解の転機となれば望ましい」(6月24日)と述べて、平昌冬季オリンピックを利用して北朝鮮に救いの手を伸べた。さらに、北朝鮮が嫌う米韓合同軍事演習も、平昌オリンピックの平和的開催を口実に延期を検討すると発表した。[viii]
これを受けて北朝鮮の金正恩委員長は、今年1月1日に「冬季五輪は民族の地位を誇示する良い契機となり、我々は成功裏に開催されることを心より願う。我々は代表団を含め、必要な措置を取る用意がある」と述べた。すると翌日の閣議で文大統領が、南北対話の早期開催と平昌五輪参加の具体的段取りをどうするか関係部署に指示した。待ってましたと言わんばかりの反応だった。[ix]
④南北首脳が示し合わせて行った北朝鮮選手の合同チーム参加や美女応援団だったが、今回は、故金日成主席に似ているとして物議を醸した「美男仮面」を除けば韓国ではほとんど話題にならなかった。[x]合同チームも「無理してやる必要がない」とする意見が72.2%にのぼった。また、20~30代の若年層は、合同チームに「反対」する回答が82%を占めた。[xi]
これまでの2回の南北首脳会談は、韓国と北朝鮮の双方が合意すると日米は反対できなかった。そこで、南北双方は、マイク・ペンス米副大統領と金正恩委員長の妹、与正氏との米朝対話が実現すれば、南北首脳会談に踏み切れると考えたが失敗した。今回は日米が「対話のための対話はしない」「非核化に向かう一歩でない対話はしない」と対話の条件のハードルを上げた。[xii]また、ペンス副大統領自身「(北朝鮮に対する)戦略的忍耐の時代が終わったというメッセージを伝えに(平昌に)行く」と演説していた。[xiii](結果的に)北朝鮮はペンス・与正会談の2時間前に突然拒否した。[xiv]
このまま国連や米国、日本による制裁が続けば、今年後半から北朝鮮は危機に直面する。そうした事態に陥らないよう、6月までに南北首脳会談を実現し、米韓合同軍事演習を中止させ、開城工業団地を再開し、韓国からの支援を受け、制裁を緩和させたいと考えていた金正恩委員長にとって、「北朝鮮五輪外交は大敗北」だったわけだ。[xv]
2、追い詰められた北朝鮮と南北首脳会談
①北朝鮮内部の事情を見てみよう。
父親の金正日総書記は、軍人と軍部に多くの権限と利権を与える先軍政治を進めた。陸上は陸軍が開発権を握り、海上は海軍が握っていた。石炭はもとより鉄鉱石、希少金属、金鉱山などの収入を、軍の資金源として兵器の購入や兵站、ミサイル開発、核開発に使ってきた。…金正恩国防委員長は、軍の長老である呉克烈と李勇武の二人の国防副委員長を更迭し、国防委員会も廃止してしまった。(そして)軍部から利権を引きはがし、金委員長の財布(宮廷経済)に入るようにした。[xvi]
韓国の国家情報院(国情院)傘下の国家安保戦略研究院は、昨年発行した白書で「金正恩政権の5年間で銃殺されたり粛清されたりした人は340人に達する」と指摘した。[xvii]粛清によって、軍をはじめとする不満分子を抑えつけてきたのだ。
(その影響で)北朝鮮人民軍で作成された内部文書には、兵士らによる民間人を巻き込んだ殺人や強盗、脱営など「各種の非行(犯罪)が爆発的に進んでいる」と具体的に列挙されており、金正恩氏が「人民軍部隊は無法天地だと厳しく指摘した」と危ぶむ発言も記述されている。[xviii]
ところが最近は、中国まで国連制裁に加わってしまった影響で、金委員長の宮廷経済を支えてきた金や亜鉛、石炭などの輸出が中断し、事実上のまひ状態になってしまっている。これに無駄な箱物建設まで重なった影響で、各国に駐在するエリート外交官たちは本国からの資金上納の圧力に耐えられなくなり、最終的に脱北を選択するに至っているのだ。[xix]
北朝鮮が、金正恩委員長の身辺保護のため、従来から警護を担当してきた護衛司令部とは別に二つの旅団規模の側近警護部隊(党中央委員会護衛隊、最高司令部護衛隊)が、2月8日の建軍70周年記念軍事パレードに登場した。韓米連合軍の斬首作戦や「鼻血」攻撃を、金正恩委員長が恐れている[xx]といわれているが、同時に、北朝鮮内部の「クーデター」を恐れていることを意味しているのであろう。
②平昌オリンピック後の北朝鮮の狙いは、「米韓合同軍事演習の中止」、「米朝直接交渉による制裁の緩和」である。その北朝鮮に手先として利用されるのが韓国の文在寅政権である。
文正仁大統領特別補佐官(統一・外交・安全保障担当)は、今年2月27日、ワシントンで「韓米合同軍事演習は米国が一方的に指示はできない問題だ。…戦争をするかしないかは韓国の大統領が決めること。韓国の大統領が在韓米軍に出ていけと言ったら、出ていかないといけない」とまで語った。[xxi]文在寅従北政権の「反米親北」姿勢は、変わっていないどころか一層強固になっているようである。それは、追い詰められた北朝鮮を救おうとする必死さなのかもしれない。
(案の定)平昌オリンピックの閉会式に出席した北朝鮮の金英哲統一戦線部長が「非核化」への言及なしに「米国と対話する用意がある」と表明し、文大統領も米国に「北朝鮮との対話のハードル(非核化要求)を低くしてほしい」と要請した。これに対し、米国のマーク・ナッパー駐韓代理大使は、「北朝鮮は、対話の機会を核・ミサイル開発のための時間稼ぎに活用してきた。『非核化』といった真剣な立場なしに対話は難しい」と、文大統領の要請を、事実上拒絶した。[xxii]
米朝は、北朝鮮の国連代表部があるニューヨークを常時接触窓口として利用している。…ナッパー代理大使の発言は、同盟国たる韓国がこれ以上、米国と核挑発国たる北朝鮮の間に立って仲裁するようなことはしないでほしい、という意向も込められている。[xxiii]
(しかし今後も)北朝鮮の意を受けた文政権は、南北首脳会談の実施に68.8%が賛成という世論[xxiv]を背景に、北朝鮮に特使を派遣し、南北融和ムードを盛り上げる。その上で南北和解に水を差すものとして、米側に「韓米合同軍事演習」の中止、あるいは縮小を求めるだろう。
③(これに対し)元在韓米軍司令官だったバーウェル・ベル氏は「(米側が)軍事的対応に出る場合、在韓米軍の運用には米韓双方の承認が必要だが、仮に(韓国が)拒否した場合、米国は国際法に従い、韓国に駐屯していない(オフショア)軍事資産によって北朝鮮を攻撃することができ、これには韓国の承認・協力を必要としない」と述べた。…ジョージタウン大学戦略安全保障研究センターのデービッド・サーマン氏も「北朝鮮が米国の領土を攻撃するとみられる場合、国家と国民を防衛する必要があると判断されれば、米国は韓国が反対したとしても行動するだろう」と述べている。[xxv]
3、米韓合同軍事演習と第二次朝鮮戦争
①米国のギャラップ社が2月19日に公表した世論調査によると、米国人の過半数(51%)が北朝鮮を「最大の敵」と考えている。これはイラク戦争直前の2001年に、「イラクが最大の敵」と回答した38%以来の高い数値だという。つまり米国人は「北朝鮮といつ戦争が起こってもおかしくない」と考えていることがわかる。[xxvi]CNNも昨年10月の世論調査結果として、米国人の圧倒的多数である86%が北朝鮮を「深刻な脅威」と考えていると報じた。[xxvii]
②米外交専門誌「ナショナル・インタレスト」は、「選択肢は予防戦争しかない」という衝撃的なレポートを発表した。レポートでは、北朝鮮対応の選択肢を「核抑止」と「予防戦争」の2択だと指摘する。「核抑止」とは、北朝鮮と米国が互いに核兵器を持つことで戦争を回避する考え方(相互確証破壊)だ。一方の「予防戦争」とは、北朝鮮が核弾頭搭載の弾道ミサイルを実戦配備するなど核兵器による攻撃能力を持つ前に、軍事的攻撃で核を無力化しようというものだ。[xxviii]
冷戦時代、米国とソ連は核抑止の状態にあったが、危機一髪の事態を何度も経験している。警報システムの誤作動という技術的問題、あるいは軍事的な状況の誤認、またヒューマンエラーなどが偶発的核戦争の原因となる。「信頼性工学」によれば、偶発的な米ソ核戦争の発生確率は「年間2%」だが、相手が北朝鮮の場合は「偶発的な核戦争が起こる可能性ははるかに高い」。[xxix]
(さらに)近く北朝鮮を攻撃し戦争が始まった場合の死者は約140万人だが、開戦を回避してもいずれ「偶発的核戦争」が起こり、5.5倍の約770万人が犠牲になる恐れがあるという。(だから)北朝鮮の核を認めての「核抑止」に「賭けるのは無謀で愚か」であり、「米国の選択肢は予防戦争しかない」という。[xxx]
日本でも、ある安保関係者は、「今から考えれば、94年の段階で武力攻撃に踏み切っていれば、有事の被害はまだ少なく抑えられた。もしも北朝鮮の核戦力の増強を今後10年以上放置し、その後で米軍が武力行使に踏み切れば、想定される被害は千万というケタに膨らんでしまいかねない」と危機感を募らせる。[xxxi]
③目下の焦点は、北朝鮮が恐れている米韓合同軍事演習である。米韓両国は毎年2~3月に合同軍事演習「キー・リゾルブ」と合同野外機動訓練「フォール・イーグル」を実施してきたが、今年は平昌五輪・パラリンピックの期間中は行わないことで合意した。…米国のナッパート駐韓大使代理は、2月28日、合同軍事演習について「さらなる延期の可能性はない」と強調した。[xxxii]
(実は)平昌五輪を理由に軍事演習を延期することは、「時間を稼ぐ」という意味で米軍にとっても「渡りに船」だったという。というのは、パラリンピック終了後であれば、原子力空母ロナルド・レーガンも整備を終えて投入が可能になる。現在、中東に展開する空母セオドア・ルーズベルトが米西海岸に帰投する途中に朝鮮半島周辺に立ち寄り、さらに同空母の交代で中東に向かう空母(ジョン・C・ステニス)も回せば、昨年秋と同様に空母打撃軍を3つ同時に半島周辺に展開して北朝鮮に圧力をかけられるからだ。[xxxiii]
④朝鮮人民軍の指揮・統制施設や、核・生物・化学兵器&弾薬の貯蔵施設といった軍事中枢は、地中深くに会って分厚い岩盤+べトン(コンクリート)に鎧われ、坑道も十重二十重に掘られている。[xxxiv]
(だから)米軍の先制奇襲攻撃では、地下深くの攻撃目標を破壊するために開発されたGBU-57大型貫通爆弾(MOP最大60mのコンクリートを貫通した後に爆発し目標を破壊する)を使用する必要がある。巨大なMOPを搭載できる爆撃機は、B-52戦略爆撃機とB-2ステルス爆撃機のみである。すでにグアム島アンダーセン米空軍基地に、3機のB-2ステルス爆撃機(1月8日)と6機のB-52H戦略爆撃機(1月16日)が到着している。[xxxv]
米軍による「予防戦争」の戦端を開くのは、ICBMを中心とする核・弾道ミサイル関連施設に対する米空軍爆撃機部隊、戦闘攻撃機部隊によるピンポイント猛爆撃であり、それとタイミングを合わせて着弾するように米海軍艦艇からも大量の長距離巡航ミサイルが発射される。引き続いて、空軍爆撃機部隊の第二波爆撃と共に、海軍や海兵隊の戦闘攻撃機による爆撃も実施され、韓国内からも巡航ミサイルや長射程火砲による砲撃が実施される。[xxxvi]
北緯38度線の非武装地帯(DMZ)には北朝鮮が多連装ロケットなどを配備しており、こうした火砲を瞬時に無力化しなければソウルは「火の海」になるからだ。米国が武力行使する条件はもう整っている。[xxxvii]
⑤昨年9月に北朝鮮東方沖に飛来したB1B戦略爆撃機を、北朝鮮のレーダー設備が古いため捉えられず、北朝鮮国内で米軍の爆撃が本当にあるのではないかという恐怖心が広がっている。…「うちの国は滅びる」「金正恩だけ殺してくれればいいのに」というような流言飛語が広がっているという。[xxxviii]
(このため、内部崩壊を恐れる)北朝鮮が先手を打つ恐れも否定できない。双方が衝突を意図していないにもかかわらず、兵士の脱走などを引き金に偶発的に戦闘が始まってしまう展開もある。[xxxix]
(しかし)北朝鮮軍は弾薬や食糧不足などから戦闘能力は「数日間」しか持続せず、一気に決着をつけようと、最初の数時間で南北非武装地帯周辺や在韓米軍駐屯地、日本の海空防衛施設にミサイルで集中攻撃をかけてくる。北朝鮮は約2500~3000㎥のサリンやVXガスなどの化学兵器、炭そ菌などの生物兵器を保有し、これらをミサイルに搭載して米韓の空軍基地や補給ルートに撃ち込み、米韓の作戦遂行や兵力の移動能力の減衰を図る可能性が高い。同時に北朝鮮のサイバー部隊121局が米韓の銀行や韓国の送電施設にサイバー攻撃を展開。停電や通信遮断による社会混乱への対処で米韓軍や警察が人員を割かれる状況となる。[xl]
⑥米中央情報局(CIA)のポンペオ長官も、昨年10月「北朝鮮が核で米本土を攻撃できる能力を持つまで6カ月(今年の3月)ほどしか残っていない」と発言した。米国のマティス国防長官は、1月23日にインドネシアを訪問し、「3月末以降、韓半島(朝鮮半島)情勢が緊迫するだろう」と閣僚に耳打ちしたという。[xli]
米軍の「予防戦争」は、奇襲攻撃でなければならない。一挙に北朝鮮の指揮・統制施設や非武装地帯の火砲を無力化しなければソウルが「火の海」になってしまうからだ。それを可能にするのは、今回の米韓合同軍事演習時だ。軍事演習は2カ月間に及ぶ。その間、金正恩氏は首をすくめて地下壕に閉じこもるか、耐えきれず先制攻撃を仕掛けてくる可能性が大きい。
そのため、北朝鮮の意を受けた文在寅政権は、必死に米韓合同軍事演習を中止、あるいは縮小しようとしている。最近も、韓国の文正仁大統領特別補佐官(統一・外交・安全保障担当)は、「(模擬指揮所演習の)キーリゾルブは変えることができないが、イーグルは南北間・米朝間対話が行われれば、一定の調整が可能」と述べ、兵力と武器が実際に動く野外機動演習であるイーグル演習を中止・縮小させようとしている。[xlii]
⑦米軍が北朝鮮を攻撃する場合、約26万人といわれる在韓米国人の非戦闘員退避作戦(NEO)が問題となる。韓国国内には長期・短期あわせると約5万7000人の日本人もいる。…
(しかし)開戦前2週間ほどになれば、一切の情報が外部に漏れない「インフォメーション・ブラックアウト」となる。米国は日本に情報を提供する義務はない。[xliii]
日本の経済産業省幹部が、昨年12月中旬、ひそかにソウルを訪問し、韓国にオフィスを置く日本企業に、「早めの避難」を心がけるよう呼び掛けて回った。在韓米国人、日本人だけならいいが、在韓中国人が100万人いる。民間航空機や船舶は避難する中国人であふれ、使えなくなると懸念しているのだ。[xliv]
2018年3月3日
韓国でも「異なる方向を向く韓米、『平昌後』が心配だ」[i]との声があったが、文在寅政権は、さっそく特使団を北朝鮮に派遣した。彼らは3月5日、金正恩委員長と会い、8日には金氏の米朝首脳会談提案のメッセージをトランプ大統領に届けた。するとトランプ氏は即座に受諾、5月末の米朝首脳会談が現実味を帯びてきた。その背景と、今後の行方を考えてみよう。
4、金正恩氏の恐怖心
①今回の急展開は北朝鮮が仕掛けてきた。金正恩氏の1月1日の「新年の辞」が契機だが、これほど急ぐ理由は何なのか。(1)国際包囲網の制裁による困窮(2)核ミサイルの完成(3)米軍事オプションへの危機感-などが挙げられているが、決め手は最高指導者、金正恩氏の恐怖とみられる。[ii]
米韓軍は2年前から(北朝鮮)首脳部を攻撃する「斬首作戦」の訓練を本格化した。金正恩氏はこれに敏感に反応し、以来、地上や地下居所を日替わりで転々としてきたとされる。…米側は、斬首作戦に使う長距離空対地ミサイル「タウルス」の動画も公開し、仮想の北朝鮮人民武力部を撃破する刺激的な映像まで流して北朝鮮を牽制した。米軍は岩盤の多い北朝鮮の地形に合わせ、通常型地中貫通爆弾(バンカーバスター)だけでなく小さな核爆弾(ミニ・ニューク)も投入する。[iii]
地中貫通核爆弾B-61タイプ11の爆発威力を抑えれば、地下での起爆であり、一般国民の住む地上の被害を抑え、核汚染被害も局限できる。地下に蓄えられる朝鮮人民軍の生物・化学兵器も、核爆発力を抑えた「小さな核爆弾=ミニ・ニューク」が発する熱波で蒸発→無害化に一定程度貢献しよう。届く先は金正恩委員長が震えながら閉じこもる「地下のお住まい」だ。[iv]
米軍は「金正恩氏の居場所は日々把握している」との情報を北朝鮮側に流す心理戦も仕掛けてきた。こうしたなかで、金正恩氏の恐怖は昨年来、急激に高まっていた。[v] いくら身辺警護部隊を増やしても、ミサイル攻撃を防ぎきれないからだ。
(また)4月から開始される米韓合同軍事演習に対応するため、北朝鮮は全軍に準戦時体制をとらせることになる。戦車や戦闘機を動かし、部隊に物資を支給するなど備えなければならない。そのような体力がもはやない。もう一つは、米ブルームバーグ通信によると、北朝鮮の外貨保有はこの秋に底をつくという。現在、北朝鮮は国家運営に必要な最低限の物資すら調達が難しくなっている。今手を打たないと国内で混乱が生じる。[vi]
昨年(2017年)9月には、北朝鮮東方沖に飛来したB1B戦略爆撃機を、北朝鮮のレーダー設備が古いため捉えられず、北朝鮮国内で米軍の爆撃が本当にあるのではないかという恐怖心が広がっている。…「うちの国は滅びる」「金正恩だけ殺してくれればいいのに」というような流言飛語が広がっていたという。[vii]
普通の人はもちろん労働党の幹部も米国の空爆を恐れ、動揺が広がっていた。ここで嘘でもいいから「米国は非核化の要求を降ろした」つまり「戦争はない」と宣伝しないと体制が持たない。[viii]
②(そのため)北朝鮮の「五輪工作」の目的は、⑴南北首脳会談⑵米韓合同軍事演習中止⑶制裁の緩和―であった。(北朝鮮は)金正恩(キム・ジョンウン)委員長の妹・与正(ヨジョン)氏を送り、マイク・ペンス米副大統領との「準首脳会談」を計画したが、先回述べたように、北朝鮮はこの会談を直前に拒否した。この外交大敗北を収拾するために、工作の責任機関である統一戦線部の金英哲(ヨンチョル)部長・党副委員長が、訪韓せざるを得なくなった。[ix]
その金英哲氏と会談した文在寅大統領は、北朝鮮側が米朝協議の条件として出した2条件を公表しなかった。その条件とは「核保有国の地位で対話する」「米韓合同軍事演習が行われたら対話は受け入れない」との主張だった。[x]
すなわち、北朝鮮は、米朝協議を餌に「米韓合同軍事演習」を中止させよと、文在寅政権に指示を与えたわけである。
5、北朝鮮の指示で動く韓国政権
①韓国の文在寅政権は、単なる「親北政権」ではなく、北朝鮮の指示で動く「従北左翼政権」であることを知らなければ、文政権の動きの真意を理解できないだろう。
まず、文在寅政権の大統領秘書官26人中、秘書室長をはじめとする10人が従北左翼主義者だ。この従北左翼主義者とは、北朝鮮の思想「主体思想」を妄信するグループで、彼らの内部文書によれば、「金正日国防委員長(今は金正恩氏)が北の民衆だけの指導者ではなく全朝鮮の指導者だと信ずる。連邦制は徹底的に(北朝鮮の)主体思想に基づいて、わが民族同士が自主的に、平和的に統一しようという方案だ」[xi]と考えている。
②彼らは、政権を握ると、早速「積弊清算」(長い間に積もり重なった害悪の清算)の名の下に保守政治の業績を次々につぶしている。その一つが、韓国の情報機関、国家情報院(国情院)の解体だ。国内部門を廃止して北朝鮮と外国の情報収集に集中するほか、北朝鮮がらみの捜査権限も剝奪するという。…文在寅政権になって国情院内で「北朝鮮に対する一切の工作活動を禁じる」という指令も出された。[xii]
韓国統一部(省に相当、以下同じ)が3月5日に発行した統一教育教材「北朝鮮理解」最新版も、北朝鮮の挑発に関する章が丸ごと取り除かれ、北朝鮮の人権に関する部分は大幅に縮小されている。北朝鮮の体制を規定する各種の表現の中でも、「独裁」「世襲」は姿を消すか、別の単語に置き換えられた。[xiii]
全て削除された「(北朝鮮の)対南挑発」の章の場合、昨年版までは6・25(朝鮮戦争)での南侵、アウンサン廟(びょう)爆弾テロ(ラングーン事件)、延坪海戦、哨戒艦「天安」撃沈、延坪島砲撃挑発などの事実が記載されていた。12ページあったものが3ページにまで削られた「人権状況」の部分は、これまで記されていた公開処刑や政治犯収容所関連の内容が全て削除された。[xiv]
国会憲法改正特別委員会の諮問委員会は、左傾的内容の憲法改正案草案を作っている。憲法前文などで国家体制の根幹をなしている「自由民主的基本秩序」という言葉を外した。「自由市場経済」の代わりに「平等な民主社会」が強調され、市場経済優先の原則が消え、国家介入が強調されている。国家社会主義的で危険な改憲案だ。[xv]
③北朝鮮の指示を受けた文政権は、喜び勇んで金正恩氏に直接命令を受けるための特使団を派遣した。興奮の面持ちで金正恩氏と会った特使団は、帰国後、金正恩委員長は「率直で大胆なスタイルだ」と礼賛した。(これを保守系の)朝鮮日報などは、「金正恩氏は高射銃で人間の体を粉々にし、火炎放射器で完全に燃やし尽くしただけでなく、自らの腹違いの兄を他国の国際空港で化学物質を使い毒殺した人物だ。このような行動もその『大胆さ』故に行われたのだろうか」と皮肉っているが。[xvi]
ちなみに、北朝鮮や米国への特使団に外交部関係者は一人も含まれなかった。金正恩の提案を知る人物は北朝鮮への特使団5人だけだ。[xvii]つまり従北仲間だけで、金正恩氏に拝謁にいったわけだ。
特使団の報告を受け、韓国の連合ニュースが「南北首脳会談4月末開催で合意=北『米と非核化対話の用意』」と報じ、[xviii]トランプ氏も米朝首脳会談に同意したため、「北朝鮮の非核化」が今にも実現するかのような錯覚に陥らせた。
北朝鮮の核武装とさほど関係ない国々は、南北首脳会談の開催を歓迎するだろう。偽装の平和であっても目前の軍事衝突が避けられれば良いのだ。それに専門家でない限り、普通の人は文在寅政権が親北派に動かされていることを知らない。普通の人は、対立していた南北が話し合うのだから良いことだと考えるだろう。[xix]
しかし、韓国政府が発表した合意事項には、「北朝鮮に対する軍事的脅威が解消され、体制の安全が保証されれば」という前提条件が付いている。言い換えれば、米韓合同軍事演習など軍事的脅威が続く限り、核開発を続ける意思があるということだ。3月6日付の朝鮮労働党の機関紙、労働新聞にも「われわれの核武力は米国を地球から永遠に消し去るための宝の剣だ」とつづられている。[xx]
④あくまでも北朝鮮の狙いは、「米朝会談」にあるのではなく、恐怖の「米韓合同軍事演習を骨抜きにする」ことにあった。北朝鮮の朝鮮中央通信が3月6日に報じた写真を拡大すると、鄭義溶・国家安保室長が金正恩委員長と対面した席での手帳に、「強調したいのは、韓米合同軍事演習で南北関係が断絶されることがあってはならないということ」とのメモが記されている。[xxi]
だから、いくら文正仁・韓国大統領統一外交安保特別補佐官は、金正恩氏は例年規模の米韓合同軍事演習を容認した。北朝鮮にしてみれば破格の発言だと強調[xxii]しても、信ずるのは愚か者だけだろう。彼自身が、「(模擬指揮所演習の)キーリゾルブは変えることができないが、イーグルは南北間・米朝間対話が行われれば、一定の調整が可能」と述べ、兵力と武器が実際に動く野外機動演習であるイーグル演習を中止・縮小させようとしていた[xxiii]のだから。
宋永武・国防部長官も3月8日、スウィスト米海軍太平洋艦隊司令官と面会し、「(韓米合同軍事演習に)拡張抑制戦力や原子力潜水艦は韓半島に展開しなくてもよい」と述べた。拡張抑止戦力とは敵の核攻撃を予防・撃退できる戦略兵器のことで、核兵器のほか戦略爆撃機、原子力航空母艦(空母)、原子力潜水艦なども含まれる。スウィスト司令官はこれに対し「準備している」と応じた。韓半島に危機が発生すればいつでも出動できるよう戦略兵器を待機させておくというわけだ。しかし宋長官は「いや、韓半島には来なくても…」と再び述べた。[xxiv]韓国国防部長官も、「米韓合同軍事演習の骨抜き」を図っていたわけだ。
結局、今年は、南北と米朝の首脳会談が開かれることを考慮し、原子力空母や戦略爆撃機、原子力潜水艦など米軍の戦略部隊が、来月初めにスタートするフォールイーグル(FE)およびキーリゾルブ(KR)演習には参加しないことにしたという。[xxv]
今の時点では、金正恩氏と韓国従北政権の思惑がうまくいったといえるだろう。(しかし)北朝鮮メディアは3月12日午後現在も、金正恩朝鮮労働党委員長が米朝首脳会談を要請したことや非核化意思を示し、トランプ大統領が受諾した事実を公式には報じていない。…即座に会談に応じたトランプ氏の対応を読みあぐねている可能性がある。[xxvi]
6、反米・反日に走る韓国政権
①北朝鮮のメディアが、「朝鮮の核保有は正当で問題材料になりえない」と報じたにもかかわらず、[xxvii]同じ日に、鄭義溶・国家安保室長は、「北朝鮮が核兵器はもちろん、従来式兵器も韓国には使用しないことを確約した。…(金正恩氏が)非核化の目標は先代の遺訓だと述べた」と[xxviii]韓国民を安心させた。
今後展開される対話や会談の過程は、過去にも経験したものだ。北朝鮮の核・ミサイル開発の進展という悪い結果として跳ね返ってきた。(しかし)現政権は米国が北朝鮮を攻撃することは怖がるが、北朝鮮が韓国を核で脅かし、実際に使用しかねないことについての懸念はほとんどない。[xxix]
②韓国政府は早くも、「首脳会談後には南北離散家族の再会に向けた赤十字会談を開く」「南北軍事当局者会談など分野別の会談を進める」などと文大統領自身が与野党代表に伝えている。また金大中(キム・デジュン)元大統領と金正日(キム・ジョンイル)総書記の南北共同宣言(2000年)を記念した南北行事などが取り沙汰されるなど、もはや「南北融和時代」に先走っている。[xxx]
米朝の仲介役を務めることで外交的な主導権を握ろうと考えていた[xxxi]文大統領は、3月12日には、「今後2ヵ月の間に南北首脳会談と米朝首脳会談が立て続けに開催されるので、間違いなく重大な変化が起こるだろう。今世界は韓国の力量に注目しており、この機会を生かせるかどうかに大韓民国と韓半島全体の運命がかかっている」と[xxxii]勝利宣言をした。
韓国ギャラップが3月9日に発表した調査結果によると、文在寅大統領の支持率は前週より7ポイント急上昇し71%となった。南北首脳会談の開催などに合意する成果を収めたことが、支持率を押し上げた。[xxxiii]
③もともと、米政界からは、文在寅政権に対して不満の声が出ていた。「北朝鮮核問題の当事者なのに、非核化の意志があるのか疑問」 、あるいは「韓国は北朝鮮の脅威を甘く見過ぎている」[xxxiv]というものだ。
しかし、日本人や米国人は勘違いしがちなのだが、多くの韓国人は、北朝鮮の核は「民族の核」だ。日本や米国に落とす核であって韓国には落ちてこないーと考えている。北の核に必死に反対するのは保守の一部だけだ。日米に比べ「何が何でも北の核武装を阻止しよう」との意識が韓国社会に薄いのもそのためだ。[xxxv] [xxxvi]
韓国人にとって、核を持つ「同族」との良好な関係が、米国との「同盟」よりも重要になってきた。…(保守も)「大国によって同民族が仲たがいさせられる」ことには憤りを覚えるのだ。[xxxvii]
④北朝鮮の核武装が国際社会で認められてしまったら、親北派には願ったりかなったりだ。米国を追い出し、民族が団結して統一国家をつくる―。これが親北派の夢だからだ。彼らは「南の経済力と北の核を合わせれば強力な国をつくれる」と固く信じている。「北の核」は「民族の核」なのだ。「自前の核さえあれば、大国に翻弄されないで済む」との思いは南北、イデオロギーに関係なく、共通している。そんな北の核への楽観的な空気を利用して、文在寅政権は「戦争絶対反対!」と叫んでいる。「自分たちには使われない、米国や日本向けの核を阻止するために我々は戦争に巻き込まれるのか」と呼び掛ければ、かなりの韓国人が「その通り!」と応じるだろう。[xxxviii]
それを裏付ける世論調査(韓国の文化日報とKSOI〈韓国社会世論研究所〉2005年5月)によると、「アメリカが韓国政府の同意なしに北朝鮮を攻撃したら?」という質問に対し、韓国人の47.6%が北朝鮮を助ける。31.2%がアメリカを支持する。21.2%がわからないと答えている。
(そこを狙って)北朝鮮の「朝鮮中央通信」(1月24日付)は、「北と南、海外の全同胞は北南関係の改善を妨げ、情勢を緊張させようとする内外の好戦勢力の北侵戦争策動に反対する闘争を繰り広げなければならない」と述べた。…これを受けて文在寅政権は、「民族の和解を米国と日本が壊そうとしている」と韓国人に、あるいは世界に向け宣伝し始めているのだ 。[xxxix]
2018年3月15日
7、従北特使団の欺瞞
①鄭義溶・首席特使は、3月6日、訪朝結果を発表したが、その中で非核化と米朝首脳会談に関しては、「北側は朝鮮半島の非核化の意思を明らかにし、北に対する軍事的な脅威が解消し、北朝鮮の体制安定が保証されるなら核を保有する理由がないとの点を明らかにした。北側は、非核化問題の協議と北・米関係正常化のため、米国と虚心坦懐に対話する用意があると表明した。」と述べた。[i]
(ところが)3月8日、鄭氏はワシントンでトランプ大統領と会った直後の会見では、「私はトランプ大統領に、北朝鮮の指導者金正恩氏が非核化すると約束したと伝えた。」 (I told President Trump that, in our meeting, North Korean leader Kim Jong-un said he is committed to denuclearization.)[ii]
(すなわち)鄭氏はトランプ大統領に対し、「北に対する軍事的な脅威が解消し、北朝鮮の体制安定が保証されるなら」との条件を省いて「金正恩は非核化を約束した」と語ったようだ。[iii]
(そのため)トランプ大統領が「北朝鮮が全面的な非核化に向け大きく動き出した」と誤解したフシがある。韓国の特使団と会った後、トランプ氏はツイートで、わざわざ「金正恩が韓国と非核化(denuclearization)を話し合った。凍結ではない(not just a freeze)」と強調しているのだ。[iv]
②(北朝鮮は)このまま国連や米国、日本による制裁が続けば、今年後半から危機に直面する。そうした事態に陥らないよう、南北首脳会談を実現し、米韓合同軍事演習を中止させ、開城工業団地を再開し、韓国からの支援を受け、制裁を緩和させたいと、金正恩氏は考えていた。[v]
韓国の文在寅従北政権によって、すでに米韓合同軍事演習は骨抜きとなり、4月には南北首脳会談開催、そして韓国による北朝鮮支援(制裁破り)が進むであろう。
もし、対米交渉(米朝首脳会談)で、北朝鮮が「将来の核開発はしない」「核実験は中止する」と提案すれば、軍の反発は必至だ。[vi](そのため)現時点で金正恩委員長が核放棄の具体的な行動に応じる発言は一切ない。[vii]
「労働新聞」など北朝鮮のメディアは3月14日に至るまで一切、米朝首脳会談を報じていない。朝鮮総連の機関紙、朝鮮新報だけが3月10日にウェブサイトで触れたものの、翌11日に削除した。[viii]
3月29日、北朝鮮の朝鮮中央通信は29日、南北首脳会談の準備のための高官級会談が開かれ、共同声明文を採択したと報じた。(しかし)具体的な内容は明らかにせず、首脳会談が来月27日に板門店の韓国側施設「平和の家」で開催されることには触れなかった。[ix]「米朝首脳会談」についてもいっさい報じていない。
米国のマーク・ナッパー駐韓代理大使が、米朝は北朝鮮の国連代表部があるニューヨークを常時接触窓口として利用している[x]と述べたように、北朝鮮が本当に米朝首脳会談を求めているのであれば、韓国を通じなくとも、北朝鮮の国連代表部を通じて直接交渉できる。
また、今回の「米朝首脳会談」の提案も、金正恩氏からトランプ氏への正式の親書もなく、ただ、特使団によるメッセージ伝達というお粗末さである。背景にあるのは、従北使節団のおせっかいと、責任逃れをしたい金正恩氏の思惑が生み出した「米朝首脳会談」提案である。
③文在寅大統領は3月21日、「(4月末の)南北首脳会談に続き(5月の)米朝首脳会談の開催は、会談自体が世界史的な出来事だ」として「進展状況によっては南北と米国による3か国首脳会談につながる可能性もある」と述べた。…文大統領はさらに「今回の南北会談の合意文には、過去2回の南北合意の基本事項を全て盛り込む」と意気込んでいる。[xi]
米国、韓国、北朝鮮の3か国首脳会談の実現はあり得ないが、4月末の南北首脳会談は板門店で実現するであろう。しかし、その会談の様子は報道陣をシャットアウトして行われるのは確実だ。なぜなら、盧武鉉元大統領が金正日委員長に対したと同じように、従北政権の文在寅大統領が金正恩委員長に会えば、対等の立場で交渉するのではなく、臣下のように金正恩氏の意見を拝聴するだけだからだ。
また、共同宣言は、文在寅氏が述べているように、2000年6月の金大中大統領と金正日委員長の南北首脳会談、および2007年10月の盧武鉉大統領と金正日委員長の南北首脳会談の際の共同宣言を踏襲したものとなるだろう。
そこには、⑴南北は、いかなる戦争にも反対し不可侵義務を順守する。恒久的平和体制を構築するために終戦を宣言する。⑵南北は、共通性のある韓国の連合制案と北朝鮮の連邦制案で、自主的に南北統一する。⑶南北は、離散家族などの人道主義協力事業を積極的に推進する。⑷南北は、開城工団、鉄道、高速道路を整備するなどの経済協力事業を積極的に活性化させ発展させる。といったことが挙げられている。すなわち、韓国による「制裁破り」が謳われ、文在寅政権は必死に北朝鮮の窮状を救おうとするだろう。
8、米朝首脳会談の不発
①米朝首脳会談には、⑴不発に終わるか、⑵実現しても米国が「最後通牒」を手渡す場になるか。あるいは、⑶平和的に解決したとしても米韓同盟が消滅の危機に瀕するか[xii]の三つのシナリオがある。
②米朝首脳会談が「不発に終わる」可能性が高いのは、アメリカの強硬姿勢だ。米国のトランプ大統領は3月22日、ホワイトハウスのマクマスター国家安全保障補佐官を解任し、後任にボルトン元国連駐在大使を任命した。ボルトン氏はブッシュ政権時代に強硬タカ派の外交政策を推し進めたネオコン(新保守主義)の代表的な人物として知られる。…トランプ大統領は先週も新しい国務長官に米中央情報局(CIA)のポンペオ長官を任命したことから、今回のボルトン氏の起用で5月に予想される米朝首脳会談の準備チームが整えられる形となった。[xiii]
ポンペオ氏とボルトン氏はいずれも「北朝鮮が対話によって核廃棄に応じる可能性は低い」という共通の考えを持っている。また北朝鮮の核問題を解決するには最悪の場合、軍事オプションを選択すべきとこれまで何度も主張してきた。トランプ大統領がこの2人を選んだ背景には、2カ月後に対面する北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に対し「核を放棄するのかどうかを明確にしてから会談に来い」とのメッセージを投げかけたようなものだ。あいまいかつ巧妙な手口で韓米関係と韓米国内を分裂させ、自分たちに対する制裁を崩壊させるといった考えを持たないよう、北朝鮮に改めて圧力を加えているのだ。[xiv]
2015年に米国を含む6カ国がイランと締結した核協定(包括的共同作業計画、JCPOA)は、1994年の米朝ジュネーブ合意よりもはるかに厳格な形で非核化を進めるものだった。 ところがトランプ大統領はイランとの協定を「米国の恥」「破棄すべき」との考えを示している。核開発のデッドラインをすでに超えた北朝鮮との核交渉は、少なくともイラン以上に厳しい基準が求められるだろう。[xv]
北朝鮮との非核化交渉についてボルトン氏は、2003年にリビアのカダフィ政権(当時)が大量破壊兵器計画を放棄した際に関連機材などを米国に引き渡した方式を取るべきだと主張。それ以外の方法を議論しても「時間の無駄になる」と強調した。[xvi]
③これに対し、北朝鮮の朝鮮中央通信(KCNA)は、2016年1月8日、(同じ)リビアのカダフィ政権とイラクのサダム・フセイン政権を引き合いに出し、核開発計画を自発的に放棄したために両国の政権が崩壊したと指摘。北朝鮮に核兵器放棄を求めることは「空が落ちるのを見たいと望む」と同じくらい無意味だと述べた。[xvii]
また金正恩氏は、「経済建設」と「核武力建設」の「並進路線」を採り、「強力な核武力のうえに平和もあり富強繁栄もあり、人民の幸福もある」(2013年3月)と考えており、[xviii]今年の年頭の辞でも、昨年、国家核武力完成の歴史的大業を成就し、今後は自衛的国防力を一層強固にして、核・ミサイルの量産・配備に拍車をかけると強調している。[xix]
そもそも、金正恩委員長の言う「非核化」とは、「対話が続く間は、追加の核実験や弾道ミサイルの試射など戦略的な挑発を再開しない」、(つまり)核とミサイル実験の一時的な停止を意味するに過ぎないのだ。[xx]北朝鮮の最高人民会議が2013年に採択した法令にも、自国の核兵器が「自衛的手段」であり、世界が非核化するまで核開発を放棄しないことが示されている。[xxi]
④核・ミサイル問題をめぐる協議の場で、国際社会は以下の北の行動パターンを繰り返し経験させられてきた。⑴危機を作り出して日米韓などに圧力をかけ、核・ミサイル計画にブレーキをかけて見返りを求める⑵関係諸国は見返りの提供に同意し、交渉は妥結したかに見える⑶だがやがて、北の合意無視が明らかになる⑷北は新たな危機を作り、対話の席に戻ることを交渉材料に、関係諸国からさらなる見返りを求めようとする。[xxii]
しかし、今回はアメリカの強硬姿勢の前に、米朝首脳会談の実現は困難だろう。そうなった場合、金正恩氏は、韓国の特使団が誤ったメッセージをトランプに伝えたと非難し、トランプ氏も韓国の特使団を非難するであろう。いずれにしても、韓国従北政権は、米朝双方から非難攻撃されることになる。
9、米韓対立
①すでにトランプ大統領は、3月14日、「われわれは韓国との貿易で金を失い、軍隊(在韓米軍)でも金を失っている」と述べた。[xxiii]
(また)トランプ大統領は「韓米同盟」を「いわゆる同盟(so-called ally)」と言及した。本当の同盟ではなく、単に同盟程度の関係といった意味だ。トランプ大統領はもう「(韓国は)経済的には同盟ではない」と宣言したのだ。[xxiv]
米通商代表部(USTR)が欧州連合(EU)に鉄鋼製品への関税免除の条件として5項目を挙げたが、そのうち3項目は中国を狙ったものだった。つまり事実上の反中通商同盟への加入を求めたのだ。米国の側に立って対中通商同盟に参加するか、あるいは関税を甘受するか選択せよということだ。「米国か中国か」というこの二者択一は近く韓国にも突き付けられるだろう。[xxv]
②韓国の国家戦略はこれまで「安全保障は米国、経済は中国」との方針を貫いてきたが、トランプ大統領には今後このような戦略は通用しなくなった。北朝鮮の核問題を抱える国が米中通商戦争のはざまに立たされてしまったのだ。[xxvi]
かつて韓国メディアは「米中双方と良好な関係を築いたうえ、両大国の力を背景に日本と北朝鮮に言うことをきかせる」画期的な朴槿恵の(米中二股)外交を称賛してきた。[xxvii]2015年の9月、(西側首脳で唯一)朴槿恵大統領(当時)が訪中し、「抗日戦勝70年」の記念式典と軍事パレードで、中国側から“異例”の厚遇を受けた。[xxviii]その時が頂点だった。
しかし、いざ朴槿恵氏が、中国の習近平主席に北朝鮮の核実験やミサイル発射を中止させるよう要請しても、何ら行動を起こさなかった。中国にとって北朝鮮の核やミサイル問題は、アメリカとの交渉の材料であって、韓国に配慮する気などさらさらなかった。
それで、韓国が防衛のために、アメリカのTHAAD(終末高高度防衛ミサイル)配備を受け入れると、中国は韓国を脅迫し始めたのである。
中国共産党の人民日報姉妹紙、環球時報(2月28日)は、「韓国は中国と陸地で接しているわけでもない。先進技術もなく、中国にとって重要な天然資源も持たない。中国の経済発展にとって、韓国は『あってもなくてもいい国』なのだ」[xxix]と対韓制裁を扇動した。
実際、韓国の全輸出に占める対中輸出は対香港まで含めれば30%前後。一方、中国の対韓輸出は全体の4~5%。中韓が対立し、仮に貿易をすべてやめても中国はさほど困らない。しかし韓国経済は崩壊してしまう。[xxx]
おそらく中国も今後は米国に対する通商連合を結成するため、各国に自分たちの側につくよう圧力をかけてくるだろう。中でも韓国は中国にとって巨大な貿易相手国の一つであるため、標的にされる可能性は非常に高い。韓国からの輸出先の中で中国が占める割合は25%以上に達するからだ。[xxxi]
③(そこで)韓国の文在寅政権は、2017年10月31日に、「米国とMD(ミサイル防衛)は構築しない、THAAD追加配備は容認しない、日米韓三国同盟は結成しない」の“三つのNO”を中国に約束した。米韓同盟はすでに破綻したも同然だといえよう。
米中を手玉に取る「二股外交」とは、韓国が同盟国の米国から離れて中国に近づくことを意味する「離米従中」だ。[xxxii] 次の文在寅政権は「反米親北」。米国兵士の命をかけてこんな国を守る義務はない。もともと米国にとって韓国は「なくてもよい国」なのだ。[xxxiii]韓国の二股外交は完全に破綻しているのが現実だ。
(ところが)「米国が米韓同盟を打ち切る」と言い出したら、文在寅大統領は「渡りに船」と乗る可能性がある。そもそもこの政権は「反米親北」なのだ。大統領以下、政権の中枢部は「米国との同盟は民族の団結を阻害する邪魔者」と考えているからだ。[xxxiv]
④アジア通貨危機(1997年)に際し、韓国がIMFの「外国資本の自由化」を受け入れたことにより、ウリィ銀行を除くすべての全国銀行は、外資比率が50%以上へと上昇した。[xxxv] しかし、朝鮮日報によると、2003年以降、銀行13行、保険会社5社、証券会社6社、資産運用会社4社など、計31の外資系金融機関が韓国を離れたという。韓国の経済が低成長になり、目先の利益を追い求める米系投資銀行にとってうまみがなくなったからだ。[xxxvi]「うまみ」のなくなった韓国を守ろうとする外資があるとは考えられない。
(ましてや)韓国は、中国のAIIB(アジアインフラ投資銀行)に参加した上、人民元で国債を発行した。(また)中国はすでに韓国国債の最大保有国だ。ドルの覇権を揺らすべく動く中国の尻馬に乗っている(のだから)、米国の金融界からすれば、韓国はすでに中国側の国なのだ。[xxxvii]
⑤米国が「韓国への金融制裁」を決意したら、人民元スワップがあろうとなかろうと、あらゆる手で資本逃避を仕掛けることができる。…資本逃避を誘発する要因は「北の核」だけではなく、米国の利上げ、韓国の家計債務の急増、文在寅政権の「ばらまき」による政府債務の増加…不動産価格の急落、[xxxviii]と脆弱な韓国経済はひとたまりもない。
(韓国政府は)2016年末基準で外貨準備高は3711億ドルある。1997年の通貨危機(300億ドル)、2008年のグローバル金融危機(2000億ドル)当時に比べてはるかに多いと強気の発言をしている。[xxxix]
(しかし)その大部分は様々な国の債権で運用しているため、いざという時に使えるのは最大限で30%(1000億ドル)ぐらい。スワップで人民元や豪ドル、インドネシアのルピア、マレーシアのリンギを貸してもらっても、(ドルでなければ)緊急時には役に立たない…結局、通貨危機時に介入資金として使えるのは外貨準備金の真水部分の約1000億ドルと、CMI(チェンマイ・イニシアティブ)の100億ドル強だけ。強烈なウォン売りを浴びせられたら、10日と持たないはずだ。[xl]
(そのため)韓国政府は、表面上は「日本がスワップ協議を中断したことによる大きな影響はない。韓国が先に再開協議を要請することはしない」(宋寅昌国際経済管理官)と突っ張って見せるが、政府の意を受けた政治家、経営者、公務員までもが「困ったときに助けてくれるのが友達ではないか」と一斉に(日本に)「スワップ」を頼んできている。[xli]
10、宣戦布告
①トランプ政権は北朝鮮の高官、可能なら金正恩委員長と会談し、直接、核放棄を要求する機会を探っている。平和的に解決するためであり、同時に、軍事行動を念頭に「米国の強い意思―最後通牒をきちんと伝えたが、応じなかったためやむなく武力を使った」との名分を作っておくためでもある。(だから)北朝鮮が本当に核放棄の意思を持たない限り、米朝対話は最後通牒を手渡す場になる。[xlii]
トランプ氏は、会談が成功すれば自分の業績を誇示する機会にする。失敗しても軍事攻撃の口実にできる。どちらにころんでも損はない計算だ。[xliii]
②米国が大規模な戦争をする際の「前提条件」は、⑴開戦がやむを得ないことを米国民に示す「大義名分」、⑵犠牲を最小限に抑えつつ、確実に勝利する「戦争計画」、⑶兵力や補給物資の十分な集積―の三つだ。[xliv]
まず「大義名分」づくりは、米国ではなく北朝鮮の方が専らやっている。相次ぐ核実験や弾道ミサイルの発射の結果「米国の最大の脅威は北朝鮮」と考える米国民は全体の51%と、2016年(16%)の3倍以上になった(米ギャラップが2月19日発表した世論調査)。[xlv]
2つ目の条件である「戦争計画」はどうか。米軍は以前から北朝鮮との戦争を想定した作戦計画の策定・改良を継続。開戦直後に、北朝鮮の軍の中枢施設やソウルを射程に収める火砲を破壊する準備はほぼ整っている。弾道ミサイルの移動式発射台の探知と即時無力化という任務では、米軍の最新兵器と戦術が試されることになる。在韓米国人の脱出計画も最新のものに改定されており、この任務に携わる関係者の往来も増えているようだ。[xlvi]
おそらく米国は、北朝鮮の今回の「対話路線」が過去にあった時間稼ぎかどうかを見極め、非核化の見通しがもはや立たないと判断した場合、次回の米韓合同軍事演習などを境に朝鮮半島周辺に兵力を集積させる「軍事力による威嚇」の局面に入る。そして、それも効果がなければ、湾岸戦争の時のような「とても荒っぽい」(トランプ氏)最後の手段に訴えることを考え始めるのだろう。[xlvii]
③米朝首脳会談の決裂がなかったとしても、軍事攻撃の可能性はある。
トランプ政権首脳たちがかねてよりしばしば口にしているように、レッドラインは、北朝鮮がアメリカ本土を直接攻撃することが可能な核弾頭搭載長距離弾道ミサイルを完成させ、確実に増産する技術力を手にした時点(理想的にはその直前)であり、その政策は変わっていない。[xlviii]
万一、アメリカが北朝鮮に対して軍事オプションを発動した場合には、日本は北朝鮮による報復を受ける可能性が否定できない。そうである以上、日本政府はもとより日本国民も、「日本国民の間に生ずる犠牲に耐えても、北朝鮮の核脅威を抹殺するためのアメリカによる対北朝鮮軍事攻撃に協力する」というオプションを選択するのか、「日本国民の犠牲を避けるため、アメリカによる対北朝鮮軍事攻撃に断固として反対し、その代わりに核保有国北朝鮮と対峙し続けてゆく」というオプションを選択するのか、ただちに真剣に議論を開始しなければなるまい。アメリカの設定したレッドラインは、もはや目前に迫っているのだ。[xlix]
11、米朝平和協定
①北朝鮮が米国に対し「敵対視政策を中断せよ」と主張するのは、韓米合同軍事演習の中止要求であり、また平和協定の締結(要求)は在韓米軍撤収と同じ意味だ。[l]
(また)北朝鮮の「軍事的な脅威が解消され、体制の安全が保障された場合、核兵器を保有する理由がない」とは、「軍事的な脅威が解消」は在韓米軍の撤収、さらには米韓同盟の廃棄を指す。核と米韓同盟の廃棄を交換しようとの申し出だ。[li]
北朝鮮の要求が⑴在韓米軍の撤収⑵韓米同盟の破棄⑶米朝国交正常化⑷平和協定への転換―にまで拡大したら、それは結局、韓国にとって致命的な事案になる。その可能性は十分にある。[lii]
②在韓米軍の撤収によって北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)開発をやめさせることができるなら、米国内で北朝鮮の要求を受け入れるよう求める声は今後さらに強まるだろう。[liii]
今最も懸念されることは、米国が北朝鮮の核保有を事実上容認し、自分たちの脅威となる大陸間弾道ミサイル(ICBM)だけを除去する線で妥協することだ。韓国を人質とする核が、(北朝鮮の)本当の目標であり、ICBMは米国との交渉カードに過ぎない。[liv]
(もともと)「日本や韓国は自分で守れ」という公約を掲げて当選したトランプ大統領なら、「米韓同盟の廃棄」を飲むだろう。就任後にも「(習近平の教育を受けて)韓国は歴史的に中国の一部だった」、韓国を米国の勢力圏外の国と公言した。…米国の安全保障の専門家の多くが、「米韓同盟はもう長くは持たない」と考えている。…結局米国のアジア戦略は、日本海を境にして日本を防衛ラインとするアチソン・ラインを引き、東アジアを「共同管理」するというものではないか。[lv]
③部分合意でも、米国民は「米国への脅威がなくなった」と歓迎するかもしれないが、同盟国を切り捨てることになる。[lvi]
この場合、深刻な安保危機に陥るのは韓国だ。「核を頭に置いたまま」米国の傘も望めない状況を迎える恐れがある。…今最も注目しなければならないのは、韓米同盟に「赤信号」が灯ろうとしていることだ。[lvii]
そうなれば5200万人の韓国国民にとって最悪の事態だが、現政権(文在寅政権)ではこのような結果を容認するスタッフも多いという。[lviii]
④日本にとっても心配なのは、決裂を避けたいトランプ氏が「米国向けの長距離核ミサイル開発中止の見返りに制裁を解除する」という部分合意に応じることだ。…日本への脅威は残り、それが米国の同意のもとに是認されるからだ。北朝鮮が日本に届くミサイルだけを保有する状況はこれまでも「事実上」存在してきたが、これを米国が「正式に」認知すれば日米同盟の根幹が揺らぐ。[lix]
2018年3月30日
実は、現在連載している次回の記事にもこの方からの引用があり、その縁で以上の文章を知りました。
ジャーナリストなのか引用元もしっかり明記され詳細な検討をしておられます。
引用元は省略しました。
よくまとめてくださっていて有り難い文章です。
現時点の情勢判断も掲載してほしいものです。
4回目は出来ていますが、こちらを先にいたします。
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