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日常生活の中で 考える糸口を求めて

トランプ大統領が薬価を引き下げる理由は、インチキなオバマケアにあった

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「今アメリカで何が起きているのか?」

1/2 伊藤貫

 

 

今アメリカで何が起きているのか? : japanloverのブログ より引用

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伊藤貫氏の2011年のお話ですが、オバマについての見方は今もいい線行っていると思います。オバマがどういう大統領で、アメリカがどのような国か、オバマはアメリカ大統領として日本をどうするつもりか考える上で参考になります。今はTPPなんかも問題になっていますしね。

伊藤「オバマの政治プログラムというのは、典型的な民主党のリベラル派あるいはプログレッシブという政策をとるようなポーズをとっているんですけど、必ずしもそれに沿った政策をするかというとそうではないです。オバマは自分が非常に理想主義的な政治家であるというPRをするんですけども、実質的には非常にプラグマティックな政治家で、自分の政治的な利益をいつも計算しながら動いています。だからリベラル派とかプログレッシブ、進歩的な勢力のプログラムを口では実行するようなことを言いながら、実際には既得利権グループ、彼は金融産業ととても近いんで、銀行、とくに投資銀行ヘッジファンドの利益を非常に大切にしています。はっきり言っちゃうと、オバマはお金持ちの味方です。実際の金融行政とか規制政策とか言うのは、金持ちの既得利権を大きくするというふうなもので、たとえばヘッジファンドですね。ヘッジファンドの去年の利益なんていうのはブッシュ時代の2006,2007年にヘッジファンドが儲けたよりもはるかに大きな利益をオバマ時代になって得たわけです

-結局、税金を投入したわけですよね。

伊藤「そうそう、大変なもんですよ。金融産業に対するオバマの手厚い政策というのは。ですから彼が一般的に政治的なポーズとして見せている『庶民の味方』『ブルーカラーの味方』というプログレッシブもしくはリベラルなポーズと、彼の政治家としての自己利益、大企業とか金融産業の味方をしている。具体的にいいますと、例えば金融産業とかヘッジファンド業界の投資銀行とかヘッジファンドだけじゃなくて、プライベティエクイティファンドって呼ばれる、日本では存在しないと思うんですけど。民間の投資グループで、中小もしくは大きな会社を買い取って、一時的にプライベタイズして、もう一回株を公開して、数年以内に数千億円なり数兆円の利益をえるっていうのがプライベティエクイティファンドです。そういう連中の政治献金70%ー75%は民主党側に流れているんですよ。そうするとイメージがぜんぜん違うわけでしょ。金持ちの味方は共和党員と言う感じなんですけど、実際の行動見てるとそうでもない。結局オバマっていうのは、本当は理想主義者ではなくて、とってもクールなプラグマティスト。悪く言うと、すごく冷酷で打算的で、自分の利益ばかり計算している人です。ただものすごく頭がいいですから、それを常に大学の教授が使うようなレトリックとロジックにまぶしている。非常にプレゼンテーションが上手いんですよ。プロフェッソーリアンっていうんですけど、大学の教授が講義しているような感じで理性的に、論理的に自分の政策がいかにリベラルでプログレッシブで、前向きであるかということを強調するのがとっても上手いんです。だけど実際は彼の政治的なやり方を見ていくと、結局この人は自分の利益しか考えていないんだなと。彼にとって大切なことが二つあって、ひとつは自己利益の最大限化なんですよ。2つ目に彼がいつも考えていることは何かというと、コストベネフッターナイズ。こういうオプションがいくつかあると、自分にとってのコストはこれだけ、ベネフィットはこれだけ。とっても頭がいいですから、そういうコストベネフィッターナイズっていうのはすごいんです。とってもシャープ」

-アメリカにとっての利益ってことじゃなくて、自分にとっての利益を考えると

伊藤「そうそう。自分にとっての。そういう面で頭がいい。本当に頭がいいです。ただね、一般的な印象、アメリカの国民のすくなくとも5割くらいの人が感じる印象は『この人って本当に計算高いな』もう一つは『この人本当はすごく冷たい人なんじゃないか』という印象を持たれてますね。だけど頭がいいもんだから、ドジは踏まないっていうか、ボロをだして大失敗するようなことはない…逃げ足が早いですよ。大失敗しそうな時はすっと逃げるわけでしょ」

-例えばどんな時ですか?

伊藤「例えばブッシュ政権時代から始まった金融産業の改正にしても、本当の改正っていうのはしないで、表面的には規制をかけたような振りをして、さっと逃げちゃった。もっと面白いのは、健康保険問題ね。医療保険の。日本みたいな国民健康保険を作って欲しい。ヨーロッパも国民健康保険なわけですね。僕はアメリカに20数年住んでいるんで、正直に言わせてもらいますけども、アメリカの医療費っていうのは信じられないくらい高いんですよ。なんでこんなに高いのと。同じようなサービス受けても、日本の3倍4倍ふっかけてくるわけですね。パーセンテージで言っても日本とヨーロッパ諸国っていうのは、毎年の国民のGDPのうちの8%か9%を国民医療費に使っているわけですね。ところがアメリカはなんとGDP18%をすでに国民医療費に使っていて、しかも5000万人か6000万人のアメリカ国民は医療保険を持っていないと。だから医者にいけないという状態なんですね。とてもおかしい訳です。値段だけ高くて、しかもアメリカ国民の6人に1人は医療保険がないから医者に行けないと。もの凄く無駄使いが多いのか、それとも一部の強欲な医者、あるいは病院が強欲なのか、製薬会社が強欲なのか。みんな強欲だと思いますが、とにかくオバマはそれをなおすと言いながら、結局はほとんど直さないで、いちおう5000万人に安い保険を買えるオプションは与えたんですけども」

補助金をつけるとか

伊藤「そうそう、でも財政赤字がどんどん増えたらあれだし、それから若い人にも強制的に民間の健康保険を買わせて、その分で民間の健康保険会社に金儲けさせて、今まで保険を買えなかった人達に、彼らが買える価格で保険を売ると。だけど最高裁で今裁判になっているんですけども、買いたくない人に無理矢理に買わせるっていうのは」

財産権の侵害ですね

伊藤「そうそう。話をもとに戻しますと、結局、医療改革と言いながら、本当に長続きする医療改革になってないわけですよ。なんでこうなるかというと、健康保険会社の政治献金のこれまた7割が民主党に行っているわけですよ。そうすると今の健康保険システムがおかしくて、ヨーロッパとか日本みたいな国民健康保険システムを作ればいいのに、作ったら民間健康保険会社が損するわけでしょ。オバマはやるやると、やる、作ると言って大統領選に出て、健康保険の医療法案を討議している最中もやる、やるっていいながら、実際には政治家にメッセージを送って『やらなくてもいいんだよ』と。それから健康保険業界には、『あんたたちに損させるようなことしないから』と。結局最終的にはごまかしたわけ。だから本当の改革になっていないと。これは典型的なオバマのやり方でね」

-それでまた共和党が去年の中間選挙に勝った

伊藤「ええ。共和党は全部ゼロにすると言っているわけです。とにかく、こう言うとあれですが、逃げ方があまりにも上手くて、あまりにずるっこく立ち回りがうまいから、逆にみんなが『この人何?自分の利益計算してるだけじゃない?理想主義なんてどこにあるの?』と。とにかく頭がいいし、プラグマティストだから立ち回りは上手いんですが、だんだんだんだんみんなに好かれなくなってきたと」

-外交で言うとリビアの介入の問題ありますよね。政権内で色々意見がわかれていてゲイツ国防長官がかなり慎重でずっとやっていた。でもクリントン国務長官国連大使ライス、彼女がガッと説得して『じゃあやらんでもないかな』と。『ちょっとやってみようと」

伊藤「それもオバマの定見、さだまった見解がないわけで、世論の動向をみながらこっちについたらどうかな、あっちについたらどうかと考えてる。たとえばリビアカダフィが民間人を殺しているとかいう夜のニュースででるようになると、なんかしないと自分の評判が悪くなると。ぜんぶ自分の評判がいいか悪いかということでその政策が最終的に長期的に成功するかどうか考えない。ゲイツの場合は長期的に見ていた。日本の1930年代の中国の戦争と同じで、いったん戦争になったらなかなか辞めれないのが戦争の現実なわけですよ。ゲイツ長官は今のイラクの戦争、アフガニスタンの戦争と、パキスタンの戦争と、今ペンタゴンは3つ足がひけない戦争をやってて、リビアだって爆弾落とせばカダフィの軍隊がギブアップしてくれればいいんだけど、ギブアップしなかったらどうするのということ考えると、アメリカは4つめに行くわけ?と。それは勘弁してくれと。オバマもそれにずっと賛成してたんですよ。ところがカダフィが酷いことやってると。カダフィに反対している奴が一応民主化の勢力と。カッコつきのね。本当に民主的かどうかまったくだれもわからないんだけど、本当は石油取り上げるんじゃないかという話も多いんですけど。民主的な勢力がカダフィという独裁者にいっぱい殺されている。これで黙ってていいのかとテレビのニュースがいうわけでしょ。そうするとライスとか言うおばちゃんとか、ナショナル・セキュリティ・カウンセル、ホワイトハウス国家安全保障会議にサマンサ・パワーっていうおばちゃんがいて、このおばちゃんは元ジャーナリストで、かつ人権活動家で、ザ・プロブレム・フロム・ヘルっていう地獄からの問題っていうんで、クリントン政権時代にルアンダコンゴスーダンで400万人くらい殺されたらしいんだけど、それにクリントン大統領とオルブライト国務長官が全く知らん顔したんですね。それを糾弾する本をかいてベストセラーになってなんとハーバード大学の教授になっちゃったと。ジャーナリストから。やっぱ目立つんですよ。そのおばちゃんが国家安全保障会議にいて騒ぎ出したわけ。そうするとアメリカのマスコミはリビアであんなことなってるのにオバマはなにもしないのかと。ライス国連大使もそう言ってるしサマンサ・パワーもそう言ってるし、そうするとヒラリー・クリントンもそっちの方にいくわけ。そうするとオバマはこのまま何もやらないと自分の評判が悪くなるんじゃないかと。例によってコストベネフィッターナイズで。でもその場合自分の評判が来週どうなるか、来月どうなるかばっかり考えてて、それじゃ来年、再来年にアメリカ軍がどうするのとか考えてないわけですよ」

-今週、来週のスパンで考えているの?

伊藤「そうそう、彼は来週、来月の世論調査がどうなるかだけ考えている。それまではゲイツとか他の軍部の連中とか、CIAもそうだけど、賛成して手を出さないほうがいいってことになってた。それでいったん爆弾落としだすとうまくいかないということがわかって、今の彼の状態は何やっていいかわからないという状態です」

-映像があると思うんですが、リビアの介入した後に演説して立派なことをいってましたね。オバマドクトリンぽいこといって、協調体制をとるんだとか、一国では介入しないんだとか。

伊藤「オバマドクトリンとか言うものも、人権の弾圧を見ていられないから、人道的な理由で介入しなきゃいけないと言いながらも、アメリカが先頭に立つことはないと。アメリカが最終的に責任を追うことはないと、いつも条件つけるわけですよ。弁護士だから。こういう条件があったらこうしますけどとか言って。スピーチ聞くともっともらしく理性的に聞こえるんですけど、それであんた来年までそれで上手くいくのと。条件が合わなくて、アメリカが先頭に立つことはないとか、リーダーシップをすぐNATOに渡すとか。上手く行かなかった場合どうするの。今度NATOの他の同盟国が言い争いして、それをカダフィが利用して、もう一回反乱軍をやりだしたらNATOの内輪もめは誰が解決するんですかとか、オバマは何も考えていないんですよ。自分がテレビでスピーチするときにかっこ良く理性的に聞こえるこというんですけど、先の先まで全部考えぬいてからきちんと責任ある立場をとってるかというとそうではないんです。彼の場合は」

-歴代の政権はある程度外交の原則的なところが会ったわけだし、対日政策だったら、共同封じ込めとか2重封じ込めとかありましたよね。大きな流れがあると思うんですけど、2重封じ込め、ソ連、中国を封じ込めるために日本をつかう。これはルーズベルトから始まって、ニクソンのときに共同封じ込め政策で、アメリカと中国で共同して日本を封じ込めるとある程度考え方がはっきりしたものがありました。オバマ政権を見た時に、なんかこういう枠組みにはまらない大統領ですね

伊藤「まずみなさんに説明したいんですけど、封じ込め政策、もしくは日本に自主的な国防能力を持たせないという政策は1942年に決まったわけです。ルーズベルト大統領がソ連のモルドフ外相に会った時に、戦争に勝ったら日本が二度と自主防衛出来ないようにしよう、二度と独立した外交政策と国防政策を持てない国にしようと、結局それを英語でいうとコンテインメント・ポリシー。要するに日本を押さえつけ、もしくは封じ込めておくと。1945年の9月にマッカーサーが乗り込んできた時に、最初に出した方針が、世界もしくはアメリカにとって二度と脅威になる国にしないと。一番都合がいいのが、二度と国防力を持たさないのが都合がいいと言うんで、それを決めたわけ。それで憲法9条はもちろんそれから来てるわけですね。2重封じ込め政策はなぜ2重かというと、当時アメリカはソ連スターリンと対立してますから、ソ連も封じ込めておきたい。でも日本がまた独立国になるのも嫌だと。だから日本の軍事基地をまず米軍がずっと占拠し続けて、同時に日本に警察予備隊、のちの自衛隊を作らせて、アメリカ軍の補助部隊としては機能するけど、独立国の軍隊としては機能できない軍事組織をつくろうと。で、はっきり言いますと現在の自衛隊もそれなんです。現在の自衛隊というのは日本独自で戦争できる状態ではないわけですね。アメリカ政府の政策っていうのは、日本が独立して国防政策を出来るような状態に決してしない。アメリカの助けがないと、日本が国防が出来ないと。アメリカの助けが無ければ国防体制がなりたたないということになると、たとえば経済問題とか通称問題とか金融政策問題とかもアメリカ政府になにか命令されたら、アメリカの言いなりにならざるを得ないと。なぜなら安全保障政策と国防政策という一番重要なものをアメリカに握られてますから。それが2重封じ込め政策なわけですね」

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トランプ米大統領、薬価引き下げ表明 医薬品業界を批判 | ロイター より引用

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[ワシントン 11日 ロイター] - トランプ米大統領は11日、処方箋薬の価格抑制に関する演説を行った。製薬会社、保険会社、薬剤給付管理会社(PBM)が処方箋薬を高価で手の届かないものにしたと非難し、競争強化と価格引き下げに向けた措置を取ると表明した。

 

トランプ大統領は、製薬業界の「中間業者」が大きな富を得ているとして排除する方針を示したほか、医薬業界のロビー団体についても、納税者の金で富を得たと批判した。

「この破綻した制度に関与する製薬会社、保険会社、販売業者、PBMなどすべてが薬価問題に寄与している」と言明した。

また、米国内よりも安い薬価を求め交渉している外国政府についても、米製薬会社に不当な引き下げを強要しているとして批判した。

 

米保健社会福祉省は「アメリカの患者ファースト(American Patients First)」と題した詳細な計画を公表。メディケア(高齢者向け公的医療保険)パートD(処方せん薬給付)管理会社の製薬会社との価格交渉能力を高めることなどが含まれる。

ただ専門家からは、トランプ大統領の提案は業界の抜本的な見直しというよりもレトリックにすぎないとの指摘が聞かれた。

 

ボストン大学のサム・リチャードソン准教授は「細かなテクニカル上の変化に過ぎず、大きな変化をもたらすような目立った提案に欠ける」と述べた。

米株式市場でも、トランプ大統領の演説後、ヘルスケア関連銘柄が1日としては1カ月ぶりの大幅高になるなど、業界への影響は軽微との見方が大勢であることを浮き彫りにした。

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伊藤貫氏の続きを見たい方は

 

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「今アメリカで何が起きているのか?」

2/2 伊藤貫

 

今アメリカで何が起きているのか?2 : japanloverのブログ より引用

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伊藤「その後の1972年の4月にできたのが、アメリカと中国による共同封じ込め。これはどういうことかというと、日本が核抑止力と自主防衛能力を持てないようにするということです。それから朝鮮半島とか台湾問題で独自の発言権をもてないようにするということを決めておくと、アメリカと中国の両方の利益になる。アメリカにとっても中国にとっても日本が独立した国防政策と、独立した外交政策を持てないことするのが都合がいいので新しく米中共同で日本を押さえつけておくという封じ込め政策ができたわけですね。具体的に言いますと、トルーマン政権、アイゼンハワー政権、ケネディ政権、ジョンソン政権、ニクソン政権の初期までは二重封じ込め政策ができたんですけども、ニクソン政権の1971年の秋以降は「米中による共同封じ込め」政策ができた。 それがフォードとカーターまで続いてレーガン政権になってからもう一回「二重封じ込め政策」に戻ったんですけれども、ブッシュのお父さんの世代になってから、ブッシュのお父さんははっきり言って日本が嫌い。日本相手に海軍の爆撃機パイロットで日本と戦いましたし、その後、初代の在中国北京大使もブッシュのお父さんですからもう完全に中国よりで、ブッシュのお父さんになってからレーガン時代の二重封じ込めから共同封じ込め政策に戻った。クリントンももちろんそう。ブッシュの息子は、最初の1年半だけはレーガン政権と同じように二重封じ込めをやろうとした。ようするに日本を押さえつけておいて、しかもロシアとか中国を封じ込めるのに日本を利用しようという二重封じ込め政策をやっていたんですけども、2002年の秋頃からは、お父さんと同じように共同封じ込めになった。じゃあオバマ政権がどっちなのかと言うと、基本的にはこのニクソンとフォード、カーター、それからクリントン、それからブッシュ親子と同じようにアメリカと中国で共同で日本を封じ込めておこうという政策です。それでヒラリークリントンもそうなんですね。ところが今まではアメリカと中国が協力すれば、東アジアの安定は保てると、東アジアの問題児は日本だから、アメリカと中国が日本を押さえつけておけば東アジアの国際政治はうまくいくはずだという方針に、実はアメリカの海軍と海兵隊はずっと不満をもっていたんですよ。それはどうもおかしいと。中国のあの海軍の増強ぶりをみていると、東アジアの問題児は日本ではなくて中国だろうがと。で海軍のリーダーシップ・グループはずーっと文句を言っていたんですけれども、国務省のアジア担当官とCIAのアジア担当官の過半数はやはり中国びいきなんですね。中国とうまくやればアメリカの東アジア政策はうまくいくと。政治家も共和党の一部の右派の政治家を除いては、やはりブッシュのお父さんと同じように、もしくはニクソンと同じように、中国との関係をうまくやればいいと。 それで、アメリカの財界も圧倒的にそうですね。民主党の方はもともとウイルソン時代から親中的ですから、アメリカの政治家と政治家の周りで働いている外交スタッフ、外交アドバイザーも米中による日本の共同封じ込めを支持していたんでけれども、中国海軍の増強と、中国がアメリカの軍事衛星を撃ち落とすミサイルを開発して、それからそれとは別にアメリカの軍事衛星を全部めくらにするレーザー兵器をいっぱい持っているんですね。これはアメリカ軍にとって凄く脅威なんです。アメリカはそういうアメリカの軍事衛星をすべてめくらにしてしまう、もしくは撃ち落とすようなミサイルとレーザー兵器を中国がいっぱい作っていることを知っていますから、これは物凄く怖いんですよ。アメリカにとっては。 というのはアメリカの軍事システムは全部軍事衛星でやっていますから、軍事衛星つぶされたら、もう飛行機も飛ばないし、巡航ミサイルも飛ばせない。要するに全部ダメになるわけですよ。最近は陸軍の兵隊も、全部デジタルシステムでやっていますから、軍事衛星潰されたらたまったもんじゃないと。中国はそのこと全部わかっている、それから核兵器も増やしていると。それからアメリカ軍の、ご存知の駆逐艦イージス艦とか、航空母艦を沈没できる弾道ミサイルと長距離の巡航ミサイルを何百、何千基と作っているんですよ。いくらイージス艦が優秀だと言っても、一隻のイージス艦に十数発もしくは二十数発をバーッと一挙にやられたら、全部打ち落とすということは不可能なわけですよ。 中国が毎年つくっているミサイルの数は世界一なんです。勿論アメリカより多い。世界一のミサイル大国なんですよ。もしアメリカにチャレンジするつもりがなければ、なんでこんなことやってるのかと。どう考えたって、中国は自分の勢力圏をつくって、アメリカを東アジアから押し出そうという意図がなければ、こんなに猛烈な軍事費を、例えば、最近21年間で軍事費が22倍になっています。とにかく4,5年毎に倍になっているわけです。 中国の軍事予算は、現在公称は900億ドルですが、実際にはCIAやアメリカの国防大学の推定によると、2200~2300億ドル使っている。アメリカはいまのところ、公称7000億ドル使ってるんですけど、そのうち本当の国防予算は5500億ドルで、残りの1500億ドルはイラクアフガニスタンパキスタンへの臨時の出費なわけですよ。これはそのうち減っていくわけですね。この5500というのは、次の10年間ほとんど増えないんです。減るという話もありまして。今議会でちょうどやっているところでわかんないんですけど次の10年間、アメリカの軍事予算の5500っていうのは減らないわけです。先ほど言いましたように中国の軍事予算は2200、2300ですね。しかも4,5年ごとに倍になって、10年後に4倍のペースなわけですね。そうすると2200×4は8800億ドルでしょ?一方アメリカの軍事予算は5500でしょ?そうすると、いまから10年後には中国の軍事予算のほうがアメリカの軍事予算より大きいわけですよ。 そうすると本当に中国と協力してれば、東アジアの安定が保てるのかというと、そうは行かないんではないかっていうんで、昨年あたりから、中国に対する疑惑、猜疑心と、はっきりいうとライバル意識がぐーっと出てきた」

-一番中心はクリントン国務長官が全面に出てますね。彼女の考えなんですか

伊藤「ヒラリー・クリントンは二つの意見を持っていまして、僕はもともと好きじゃなかったんですけど、思ってた以上にチームプレイヤーなんです。僕は田中真紀子みたいにね、いやらしいエゴイストかと思っていたら、意外にチームプレイヤーなのよ。へー、このおばちゃん、意外にチームプレイヤーじゃないのと。ただ彼女はもともと弁護士で、クリントンの奥さんで結局外交政策の知識とか判断力がなにもないわけですよ。だから結局彼女を見ていると全部アドバイザーと側近に、だから日本の政治家が外務大臣やるのと同じで、国務省の官僚とアドバイザーに操られてて、よくも悪くも、おもったよりかなり素直に操られているんですよ。だから国務省の官僚に意外と評判良いんですよ。言うこと聞いてくれると」

-去年の1月くらいから演説の内容が変わってきて、国務省とか国務商省の影響を受けていると

伊藤「彼女は自分のオツムで考えて対中政策を変えたわけじゃなくて、周りの意見を聞いていると今までの中国と上手くやればアメリカのアジア外交がうまくいくとは違うみたいだ、これで自分のトーンをちょっと変えないと政治家としてマズイんじゃないかと。だから彼女の外交政策判断能力はその程度の非常に浅いんですよ。だから彼女に特定の国際政治に対する判断力とか洞察力とかいうのはなんにもないわけです。ただ思ったよりはチームプレイヤーだったということで、ヒラリー・クリントンが意見を変えてどうのこうのは重要じゃない。それより重要なのは、マイク・マレン統合参謀議長とかが、これはおかしいんじゃないかと。マレンとかゲイツ長官とか本当の実力者ですから」

マレンが行っていたのは一番のアメリカ軍のリスクは財政問題と言っていますよね。それからアメリカがどう動いていくかは財政問題が中心軸になってきてしまう

伊藤「この番組を見ている皆さんに強調したいのは、本当のアメリカの軍事予算は5500で、7000は維持できないと。しかもアメリカは5500億ドルの軍事予算を次の10年間、増やせないと。財政状態として。一方中国という国はご存知のように去年10%成長ですよね。最近20年間10%成長ですから。最近31年間平均9%成長でしょ。すごいわけですよ。日本の高成長よりすごいわけで。どういうことを言いたいかというと、中国は今後10年間で、軍事予算を4倍にする経済的な能力が明らかにあるわけです。今まで20年間、22年間、それをやってきたわけですから。そうすると、今の中国の実質軍事予算は2200で、それが4倍になったらみなさんどうなりますかと。それから東アジア情勢はどうなりますかと。アメリカは軍事予算をもう増やせないんですよ。それでマイク・マレン統合参謀議長が言っているように、アメリカ軍にとって、もしくはアメリカの軍事政策にとって一番怖いのはアメリカの財施問題であると言っているわけですよね」

-その中で大統領選が実質スタートしてオバマ大統領も再選出馬表明をしました。ただ支持率が50%あるかないかくらいで、一方で共和党は社会運動が盛んになってある程度は勝てるんじゃないかなという雰囲気が出てきている。ただ、どんぐりの背比べでまだ有力な人が出てきてないわけですけども、この大統領選の見通しは」

伊藤「共和党は今のところ流動的で、先月から不動産投資のドナルド・トランプが出てきて、共和党の人気が2番めになって、一番がロムニー。2番めが本当にトランプかどうかしらないが、アーカンソー州知事だったアカビーとか、サラ・ペイレン、それからミネソタ州のバックマンとか言う美人で頭のおかしいおばさんがいて、彼女が出る出るいってまして、いや、美人なんですけど、言ってることが滅茶苦茶だけど人気があるんで。とにかく前のNYのジュリアーノ。3回離婚とか結婚繰り返して、かなり人格的に問題のあるニュート・ギングリッチ元下院議長。本当に魅力のある人がいないんですよ。オバマ本当にラッキーだと思うのは、共和党はちょっと何とかならないのという人が多いロムニーに関して言うと、すごくハンサムなんですよ。しかも彼はハーバードのビジネスとロースクールを両方トップで卒業。ハンサムで弁も立つ、金持ちと。全て悪くないんだけど、中身が空っぽなんじゃないかと。彼はモルモン教徒だから中絶に反対だったんだけどマサチューセッツ州知事選でコロッと変わるわけです。州知事の時は中絶賛成だった、ところが共和党の予備選に出たら中絶反対と言い出した。この人いったい何を考えているのかと。彼もオバマと同じで世論調査で、オバマロムニーもハーバードのロースクールの優等生でしょ。いっちゃ悪いけどロースクールの教育っていうのは何を喋れば勝てるかと、どう自分の立場が有利になるかばっかり教えるわけでしょ。結局ロムニーオバマもロースクールの優等生だからその場の状況によってコロコロ変わるわけですよ。それがみんな見えるわけね。そうするとこれも魅力ないなと。で、僕がたった一人好きな男がいて、ミッチ・ダニエルズっていう、インディアナ州州知事で、こんなこと言うとあれなんですけど、共和党のワシントンで働いている玄人筋はダニエルズが好きなんですよ。目立たないんですけど、すごくまともなんですよ。彼のことをみんな『ボーイスカウト』って呼ぶんです。ボーイスカウト的に言ったことはやると。普通のアメリカ人が一番頼りにするような、堅実で、正直で、着実で、真面目で、勤勉で、いいやつだなと。ミッチダニエルズのことをあいつは嘘つきだという人はいないわけです。残念なことに彼の支持率どころか知名度率は3%と。ダニエルズを出したいといっている人は結構いるんですけれども、財政問題に関しても、彼が一番責任ある立場をとっていますね。ブッシュの息子政権時代にホワイトハウスで予算局の局長やってましたから、非常によく知っていて、共和党内部のことを知っている人は、ミッチダニエルズが一番信用できるよなと。本人も出ないとは言っていないんですけど、資金集め能力とか、もっと大切な人を押しのけても俺はやるんだというエゴがないんじゃないかと。そういう嫌らしいエゴがないとアメリカの政界っていうのは、日本の政界以上にうまくいかないんですよ。そうするとミッチダニエルズはみんなに好かれているから駄目なんじゃないかと。そうすると共和党っていうのは繰り返しますが、来年ろくな奴がいないと。だけどオバマも45,6%のアメリカ人は、こいつは嫌だと言っているわけですよ」

-なるほど。アメリカ大統領、混迷ですね

伊藤「アメリカ大統領選のシステムっていうのも、ワシントン26年目なんですけど、身近にみているとあまりよくないんじゃないかと。でもやっぱり本当にいい人間っていうのはいるんですよ。例えばみなさんご存知の駐日アメリカ大使をやられたマンスフィールドさんとか、ベーカー大使と奥さんのナンシー夫人ね。あれなんか3人とも大統領にしたほうがいいと。あの奥さんいい。本当にいい。アメリカだって良い人物はいるんですよ。でも良い人物は絶対に大統領選にでないし、ベーカーは出たんだけど、3週間でドロップね。お金集める能力がないし。僕はアメリカにいい人がいないとは言わないけど、いい人は大統領選にでないし、でてもうまくいかないということがあるんですね。大統領選挙の予備選に勝ち抜くのは、こういうこというとアレなんですけど、やっぱ嫌なやつばっかりと。そういうふうにできてるんですね。というのは大統領選挙にでるにはすくなくとも3年かかるわけです。その3年間のうちの努力の8割は政治資金集めなんです。政治資金集めっていうのはみんな本当に好意とか善意でくれるんじゃなくて、大統領になったらこれやりますから、大統領になったらあれやりますからとかね、そういう嫌らしいね、計算の世界。みんな小切手書いてくれないわけですよ。そうすると普通の神経持っている人は、3年間の大統領選挙のうちの8割の努力は毎日何百人にペコペコ頭下げて、予算配分はこの予算つけますからとか、あの規則はこういう風に変えますからとかいちいち約束して高額小切手書いてもらうわけでしょ。そうすると普通の神経持っている人は、そんな卑しいことまでやって勝ちたくないと。嫌だと言って逃げるわけですよ。そうするとまともじゃない奴が残るっていう、そういうことずっとやっている」

-多分いちばんまともじゃないオバマが再選すると

伊藤「最初の話に戻りますが、自分が民主党のリベラルであると、プログレッシブであるというポーズを取りながら、結局は全部、既得利権のサポーターということがバレちゃったわけですよ。それで民主党の左の方の3割くらいっていうのは、みなさん順調なわけですよ。民主党の3割くらいは「裏切られた」「オバマ見損なったぜ」「お前もそういうやつだったのか」と。左のほうの3割がもちろん共和党に投票するわけ無いですが、投票にこないと言うリスクがあるわけですね。もうひとつはインディペンデント。アメリカも日本と同じで無党派層が一番多いわけです。日本もアメリカは共通点があって、国民の4割が支持政党無しと応える人たちなんですね。で、オバマはこの支持政党無しという人の3分の2をとっていたわけですね。ところが最近の世論調査見ると、支持政党無しと答える人のせいぜい3割くらいしかオバマにもう一回投票したいと言っていないわけですね。そうすると先ほどいいましたように、オバマはどういう人間かということがバレちゃったもんだから、民主党の左のほうの3割と支持政党無し、国民の4割のひとがモチベートされていないわけですよ。そうするとオバマにとっても共和党の候補がろくでもないやつばかりだからといって、楽勝かというと自分の足元も結構グラグラしているわけで、そう簡単にはいかないですね。はっきり言うとすごくつまらない大統領選挙になると」

-じゃあ日本としては大統領選挙はそんなに考えないで、自分のことを考えないといけないということですね

伊藤「あと、みなさんにお伝えしたいんですが、ロムニーになって日本にプラスということはないです。というのは中国よりで、ワシントンのパーティーで、僕が中国の大使館の上の人とおしゃべりしたら、彼はロムニーでいいんだと。中国大使館はロムニー大好きと言っている。だから日本にとっては共和党が勝てばいいとかそんなことはない」

-となると日本は2012年は2020年に向けて、自分の国は自分で守るというところにはいっていかないといけないわけですけれどもそれは今回発売されています、日下公人さんとの対談「自主防衛を急げ」ということで、書店に並んでいます。これはもう本当に、いかに自分の国を守るかということを、これでもかと全ての論点をあげて論じ尽くしている本でございます

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自主防衛を急げ!

自主防衛を急げ!

 

 

 

江戸時代の日本人は万国公法に慄いた。

日本が西洋列強と肩を並べる国家になるためには、こいつを学んで一等国にならなければならなかった。

万国公法では、実際には世界の国家を3つの階層で 区分けしていた。

日本は、野蛮な国家群の一員でしかなかった。

その下には未開国群があった。

勿論日本は文明国の仲間入りを果たしたかった。

 

西欧のこのような考え方は東洋にも中国にあったので、どうやら日本人にも理解しやすかったようである。

中華思想である。

 

万国公法 - Wikipedia より引用

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ごく簡単な華夷秩序の概念図。中央から遠ざかるほど(中華的)文明度が低いものと見なされ、同時に中国王朝の支配力も漸減していくと意識されていた。それは中国皇帝の徳が次第に及ばなくなるためだという理解からであった。皇帝の色である黄色が次第に薄まっているのは、それを視覚的に示したものである。このような認識の下で、欧米諸国は礼節を弁えない野蛮な国として朝貢国や互市国に位置づけられた。

 

華夷秩序

前近代における東アジア国際社会は、政治的・経済的・文化的に大きな存在感を放つ中国王朝を中心とする形で国際秩序が成り立っており、日本や朝鮮、ベトナム琉球といった中国の周辺諸国は、その中国から様々なスタンスを取ることで安定的な国際秩序を形成維持してきた。中国王朝に対しどのようなスタンスを取るかという点で、(中国王朝から見て)周辺諸国はいくつかの国際関係の種類、たとえば冊封朝貢互市に分類される。これまでの諸研究では、このような様々な国際関係を束ねたものを朝貢冊封体制、あるいは朝貢システム、互市体制、華夷秩序と表現することが多い(対象とする時代や研究者によって異なる)。ここでは便宜的に華夷秩序と呼ぶ[2]

中国王朝から見た華夷秩序は、中華思想に基づく世界観を現実に投影したもので、中国を「華」(文明)と自認し、中国という同心円的ヒエラルキーの中心から離れるに従い「華」から離れ「夷狄」(野蛮)に近づいていくと考える国際秩序である。このヒエラルキーが特異なのは、中国王朝が直接支配する領域とそれ以外の地域とが国境のような確固たる分断線によって区切られず、連続したものとして捉えられている点である。具体的には、

  1. 天命を承けた中国皇帝が直接支配する地域(行政区である省が置かれている)
  2. 間接統治地域(辺境の有力者を土司土官に任命し、貢ぎ物と引き替えに一定の自治を認める)
  3. 版図外(「夷狄」のいる地域、皇帝の徳の感化が及ばない土地。所謂「化外の地」)

という大きく分けて三つのカテゴリーがあり、前者から後者に行くに従い、漸次中国皇帝の徳が及ばなくなり、同時に中国の支配力も低下していくという観念で支えられている。したがって版図外といっても、その地は中国の支配(あるいは中国皇帝の徳)がなかなか及ばないだけで、本来中国皇帝に支配されるべき地であるという意識は捨てられていない[3]

そしてこの版図外にある諸国は、中国王朝になびく国家とそうでない国家に大別される。まず中国に使節を送り、臣従する諸国。これらには「冊封」(国王承認)や「朝貢」(貢ぎ物と引替えに賞賜が与えられ、さらに交易することができる)という政治的・経済的見返りを与えた。それを目的に中国を訪れた冊封あるいは朝貢使節の存在は、中国皇帝の徳が遠くの「夷狄」に及んだ証左とされた。中国とこれらの諸国とは、「宗主国」(Suverain State) と「藩属国(あるいは「属国」「付庸国」)」(Tributary State) という上下関係を基調とする国際関係を結んだことになる。ただ「宗主国」と「藩属国」との関係は、近代における「宗主国」と「従属国」(Subject State) のような関係とは大きく異なり、内政外交全般に中国の支配が及んでいたわけではなく、たとえば中国は、「藩属国」どうし、あるいは「藩属国」と中国王朝に臣従しない諸国との関係について特に関知しない。そのため排他的な主従関係は希薄であり、ある国が中国以外の国へも朝貢する「二重朝貢」といった例も見られた[4]

前王朝の明代において、「冊封」や「朝貢」は諸外国との関係の中で大きな比重を占めていたが、このような制度自体は、清代まで大きく変化することなく存続した。しかし続く清朝においても「冊封」や「朝貢」が、明朝の対外関係で同じ比重を占めていたわけではなかった。清代では、明朝の時以上に欧米諸国が中国を訪れるようになり、「冊封」や「朝貢」よりも政治的意味合いが希薄化した交易が増加の一途を辿ったのである。この交易関係を「互市」という。

そしてこれまで述べてきたような「冊封」や「朝貢」、「互市」によって中国と関係を持つ国々をそれぞれ「冊封国」・「朝貢国」・「互市国」という。

以上の説明は歴代中国王朝が構想した華夷秩序であるが、日本や朝鮮、琉球ベトナム等の周辺諸国もその華夷秩序及びその根拠となった中華思想を選択的に受容、あるいは共有し、華夷秩序の一翼を担っていた。ただどの程度受容するかについては、中国と周辺諸国との力関係(地政学的な影響)から一元的ではなく、地域により濃淡がある。たとえば中国ではなく自国を中心(「華」)だと自認する「小中華思想」をもった国家が複数あり、中国の華夷秩序が一元的に東アジア国際秩序を貫いていたわけではなかった[5]。しかしそれらが思い描く国際秩序も構造そのものは華夷秩序に借りた相似構造をもっており、その各国の小華夷秩序が、中国王朝の華夷秩序と折り合いをつけながら併存している状態であった。いうなれば諸国ごとの小華夷秩序の束が、互いに重なりながら存立する状態こそが、前近代の東アジア世界の国際秩序、すなわち総体として華夷秩序とよぶものであった。したがって、どの国・どの地域にも貫通する一元的な国際秩序を見出すことは困難といわねばならない。

国や地域によって均質・一様でない華夷秩序(の束)に、最終的には取って代わったのが西欧起源の条約体制であった。

 

 
万国平等を理念として掲げる条約体制も、現実には国際ヒエラルキーを是認するものであった。
 

 

条約体制


近代的国際秩序の起源は
ヴェストファーレン条約1648年)に始まるとされ、その国際関係を律する秩序原理として近代的国際法は発達してきた。そして国際法を担う主体は主権国家とされた(近代的な主権国家については後述「4.4.1 『万国公法』がもたらした外交概念」を参照のこと)。上記華夷秩序との最も大きな相違点は、主権国家間の法的平等原則の存在である。華夷秩序では、自国と周辺諸国を文化面では「華/夷」という等級で順序付けし、政治面では君臣関係(宗主国―藩属国)として捉えており、中国王朝と周辺諸国が平等であることは原則的にありえない(ただし、実際には金と宋や匈奴と漢のような場合もある)。一方で条約体制では、国家・国力の大小に関係なく、主権を持つ国家は法的には平等・対等であるとされる。華夷秩序では、国際関係を中華思想に基づく「礼制」によって律してきた。しかし欧米諸国は、「礼制」に変えて近代国際法に基づく条約によって国際関係を律する国際秩序を東アジアにもたらした。このことからこの国際秩序を条約体制と呼ぶ。また欧米によって強制された条約が不平等条約だったことから「不平等条約体制」と呼ぶこともある。

しかしこの近代国際法の「万国平等」という理念は単なる理念に留まり、現実には万国に普遍的に適用されるようなものではなく、それは本来キリスト教諸国間だけに通用する「キリスト教国際法」(“International law of Chirstendom”)ともいうべきものであった。

近代国際法は、崇高な正義と普遍性とを理念としているが、他方、非欧米諸国に対しては非常に過酷で、欧米の植民地政策を正当化する作用を持っていた。この国際法は適用するか否かについて「文明国」か否かを基準としているが、この「文明国」とは欧米の自己表象であって、いうなれば欧米文明にどの程度近いのかということが「文明国」の目安となっており、この目安によって世界は3つにカテゴライズされる。まず欧米を「文明国」、オスマン帝国や中国、日本等を「半文明国」(「野蛮国」)、アフリカ諸国等を「未開国」とした。「半文明国」に分類されると、主権の存在は認められるものの、その国家主権には制限が設けられる。具体的には不平等条約砲艦外交(軍艦や大砲といった軍事力を背景に行われる恫喝的な外交交渉)によって強制された。さらに「未開国」と認定されると、その国家主権などは一切認められず、その地域は有力な支配統治が布かれていない「無主の地」と判定される。近代国際法は「先占の原則」(早期発見国が領有権を有する原理)を特徴の一つとして持っていたので、「未開国」は自動的に「無主の地」とされ、そこに植民地を自由に設定できるということになる(小林2002)。

以上に見るように、近代国際法はその適用を「文明国」とそれ以外によって使い分ける二つの顔を持っており、これを「近代国際法の二重原理」と呼ぶ研究者もいる(高村1998)。この近代国際法は、19世紀に入ると掲げられた理念とは裏腹な砲艦外交によって中近東アフリカ、東アジア等世界全体に適用範囲を広げていった。

東アジアにおいて、この条約体制のはしりはアヘン戦争の後に締結された南京条約である。中国最後の王朝であった清朝とイギリスの間に結ばれた条約は、近代国際法に基づいた不平等条約であった。この条約の締結後、これをモデルとした条約を清朝は各国と締結していき、『万国公法』が翻訳刊行された当時、すでに20数カ国と条約が交わされていた。ただ条約の締結と、意識レヴェルで国際法の理念に遵うつもりがあったかどうかは別である。トルコでも中国でも不平等条約は当初、西欧諸国に与えた恩寵というとらえ方をし、自国の不利益性を意識していなかった。このような国際法への認識を改め、率先して条約体制に参加するよう促す一助となったのが、『万国公法』という一冊の国際法解説書であった。

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現在の日本にも同様の波が押し寄せてきている。

国際法では、交戦権を持つことが独立国の条件である。

自衛の為の軍隊の保有と侵略から国家を守る交戦権があって初めて国家の主権を維持することが出来る。

帯刀していた侍の時代では、至極わかりやすいことであったが、GHQによる刀狩りが行われて、左翼勢力空想的な平和論の宣伝によって、相手に危害を加えぬ意思表示の丸腰が日本に平和をもたらすという幻想が蔓延した。

自衛隊は、軍隊であり、日本を侵略する国家から国民と国家を守る義務があり、国家主権を存続させるためには、領土を侵犯する外敵と交戦する権利を行使することが出来なければ、近代国家として存在し得ない。

なぜなら、国家主権を維持する方法が他にはないからである。

韓国が中国の属国なら、日本もアメリカのGHQ共産主義勢力の影響下に作られた日本国憲法の九条に自ら進んで縛られるなら独立国とはみなされない。

むざむざ外国の侵略のほしいままにされるのみである。

 

自分の身辺は自分の武器で守るという自衛の思想が、明治になって置き去りにされてきた。

国民がそうであるので国家もまた隣国に良いようにされ続けているのである。

明治の元勲が笑うだろう。

貴様ごときが何で現代人だと。

 

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