この箇所で考えるための糸口になりそうなことは、「成長期間の秩序的三段階」につて書かれているところである。
李想憲先生によると、ヘーゲルはこの3数で物事を纏めるということに実にこだわった方であったという。勿論何でもかんでも3数に纏めることには無理があるときもあるかと思う。しかし5つに抽出した要点がさらに3つに濃縮できないかという意識は、問題の重要な要素がどこにあるかを知る上でとても重要な作業であると考えている。
3数で考えるということは、いくつかの種類に分けて用いるといいのかも知れない。
あることが完成に向かって成長していく段階としての、蘇生→長成→完成の秩序的「三段階」として物事を見ていくということがある。
語学の学習に置いても
入門編→中級編→上級編というように教材が分類されているようである。
信仰にも
旧約的信仰→新約的信仰→成約的信仰というように
3段階があることが知られていて、その本質をそれぞれ、
行義→信義→侍義 としている。
これに対応して
外的→内的→心情的 とすることもできる。
内的と心情的とはどこがどう違うのか
この辺がさしあたり難しいところであるが
実践生活の中から各自掴まなければならない宿題である。
肉的→霊的→心情的 という3段階も類似的である。
人間は色々なものを望むものである。
望んだりほしいという時には英語では使い分けると聞く
want:何か欠けているものを満たすためにほしいということ
hope:実現可能性が高いとして望むこと
wish:実現可能性が低いけれども望むこと
そうした説明で心情を考えてみると、堕落世界の混沌とした悪環境の中で実現不可能に思われることに対してさえ、実現可能性が高いものの如く実感して望むことというように理解されうると考える。
秩序的三段階の秩序というのは、これらがばらばらに存在しているのではなく、有機的に関係して補完関係のようになっているということであると捉えることができる。
一つを見て二つを見るように、
この場合も一つを見て三つを見ることが大切になってくる。
次に、成長過程ではないがある種の階層があるのではないかと考えて、「三階層」として物事を見ていくということがある。
三段階が三数の時間展開であるのに対して、三階層は縦的な空間展開である。
創造原理では目に見える被造世界の生物を人間・動物・植物とし、統一思想ではこの階層性の類似性と異質性を階層的な図解で説明している。
また目に見ることができない鉱物的世界を分子・原子・素粒子の三層に分類して、低次元のものがより上位の存在を形成し階層構造を為していることが説明されている。
神の創造が階層性を重視したものになっているので
我々の創造的活動もこれに似た様相が現れてくるのである。
身近には組織構造があり、戦略の階層性がある。
当然の事ながらこれらの階層性は全体目的と個体目的の統一性、すなわち連体あるしは連体性が重要な概念になる。
戦略がトップから末端の組織に浸透している状態が、連体性を保った状態である。
これを戦略統一が為されている状態であると表現することもできる。
さらに一つの原理が三つの構成要素によって完結していることから、「三要素」として見ていくということがある。3数の平面的空間展開がある。
三権分立、三原色、気体・液体・固体の三相というように、鼎が三点で安定するように多くのものが3つの要素で構成されて安定することが知られている。
三数を意識する生活習慣に取り組みたいものである。
次回は原理講論のこの辺りが進化論に関係するので、進化論の詭弁に振り回されないための良書を二世の若い方のためにお伝えしたい。