原理講論を読む

日常生活の中で 考える糸口を求めて

専門家によるシリア情勢に対する見解と 二度の空爆について一言

www.youtube.com

 

 

私はシリア空爆のニュースの中に、爆撃が二度あったと報告されたことが

ずっと頭に引っかかっていた。

この二度の爆撃というのは、たとえばAというトマホークが来て爆発し、またしばらくして別のトマホークが来て爆発したという意味なのか。

それともひとかたまりの爆撃による攻撃が終了した後に、またしばらくしてから同様のひとかたまりの攻撃があったということなのか。

それをはっきりさせたかった。

どこかで僅かに触れている記事に出会ったが、ほかのことを書いているうちに見失ってしまった。

ところが産経がそのあたりのことを書いてくれたのである。

その記事を紹介する前に、専門家がこのシリアの顛末をどのように受け止めたのか

元米国務長官次官補ヒル氏と、元CIAリープマン氏による見解に目を通していただきたいと思う。

 

 

東京新聞:米国のシリア軍攻撃 識者はどう読む?:国際(TOKYO Web)より引用

 

===

 トランプ米大統領がシリアのアサド政権をミサイル攻撃したことで、中東情勢はおろか、北朝鮮での軍事的緊迫も高まっている。「力による平和」を誇示するトランプ氏の行動や影響をどう読むか。米識者に聞いた。 (ワシントン・後藤孝好、石川智規)

◆元米国務次官補・ヒル氏 対北では日韓に危険も 

 -米国のシリア攻撃を北朝鮮はどう受け止めるか。

 「トランプ米大統領が軍事力を行使する用意ができていることを北朝鮮も考えざるを得ない。米国のシリア攻撃は中東での抑止力を回復するためだったが、北朝鮮への攻撃は抑止ではなく、(体制を崩壊させて)核の脅威を止める軍事力行使となるだろう」

 -トランプ氏は北朝鮮への対処で単独行動も辞さない構えを表明した。

 「北朝鮮に対する米国の単独での軍事力行使がよい考えであるとは思えない。日本や韓国の多くの国民が北朝鮮の攻撃を受ける危険がある。米国が北朝鮮にミサイル攻撃を行うなら、同盟国である日本や韓国に加え、中国の理解が欠かせず、単独行動は困難だ」

 -米国は北朝鮮の核・ミサイル開発問題にどう対処すべきか。

 「北朝鮮の核保有が現実の脅威となった以上、中国に経済制裁の強化を要求するだけでは問題を解決できない。中国は北朝鮮の体制が崩壊し、米国の同盟国である韓国が朝鮮半島を統一することを懸念している。米国がその中国の懸念をより深く理解した上で、より強力な米中関係を築き、確固たる外交を展開することが解決には必要だ」

<クリストファー・ヒル> 元米国務次官補(東アジア・太平洋担当)。駐韓大使や北朝鮮核問題に関する6カ国協議の米首席代表、駐イラク大使を歴任。64歳。

◆元米CIA・リープマン氏 数日で転換 利益一時的

 -トランプ政権のシリア攻撃をどうみるか。

 「短期的には利益だが、長期的にはリスクが大きいアサド政権とロシアに対し警告を送るという象徴的な意味はあった。国内で困難を抱えていたトランプ氏が、与野党から称賛される利益も得た。だが、その利益は一時的なものだ。シリアの軍事運用力への影響は非常に小さい。すべての軍事施設を破壊しない限り、彼らは明日にでも次の攻撃を行える。米議会は今後、説明を求めるだろう」

 -アサド政権が化学兵器を使用した証拠はあるか。

 「私がCIAに勤めた経験から、少なくとも彼らは四十年以上、化学兵器の製造を進めてきた。アサド氏がなぜ今それを使ったのか、使っていないのかは最大の謎といえる。一つ言えるのは、彼は残忍な独裁者だということだ」

 -トランプ氏は直近までアサド政権を認めようとしていた。

 「化学兵器による被害の映像はたしかに残酷だが、それにより米国の政策は数日間で百八十度転換した。外交では通常、一貫性予測性が何より重要とされるが、トランプ氏の外交にはこの常識が通じない。他の外交問題でも、同様の転換が起きる可能性がある」

<アンドリュー・リープマン> 米保守系シンクタンク「ランド」の上級政治アナリスト。米中央情報局(CIA)で30年超勤務し中東問題など担当。60歳。

===

 

どのような組織にも「約束ごと」があり、決められた「手続き」がある。

ところが、トランプ大統領は今までの態度を短期間で変更した。

亨進様はこう語られた。

シリア攻撃について-文亨進様 2017年4月9日 | サンクチュアリ NEWS より引用

 

まずこれは(合衆国)憲法違反です。戦争はまず議会、立法府を通さなければなりません。行政府にだけ委ねられているのではありません。建国の父はその権限を行政に与えると戦争を起こすことを知っていたからそうしたのです。議会に権限を与えました。(訳注:連邦議会には合衆国憲法により宣戦布告権〈同一条八節十一項〉が与えられている)国家的論議を要します。

 

要するに、空爆するなら議会の承認を取ってから、空爆すべきだったという。

常識的に見ても、議会を無視してトップが好きな様にやれるなら、

暴君が誕生する温床になるであろう。

トランプ大統領はこの点問題があった。

【シリア攻撃】ロシアが化学兵器攻撃を事前把握か AP通信報道 - 産経ニュース 

より引用

 

===

【ワシントン=加納宏幸】AP通信は10日、ロシアがシリア北西部イドリブ県で4日に起きた化学兵器攻撃を事前に把握していたと米政府が結論付けたと伝えた。米政府高官の話としている。空爆の直後負傷者が搬送された病院の上空でロシア軍が操縦する無人偵察機の飛行が確認されたことが根拠だという。

 ティラーソン国務長官は11日に就任後初めてロシアを訪問し、12日にラブロフ外相と会談。シリアのアサド政権に対する支持の見直しを求めるとともに、化学兵器攻撃へのロシア側の関与をただすとみられる。

 無人機は負傷者が病院に運び込まれていた際に飛行。アサド政権軍側が飛ばした可能性もあったが、米政府はロシア側が操縦したと確信しているという。

 上空から無人機が去った数時間後にロシア製の戦闘機が病院を爆撃した。複数の米政府当局者は、化学兵器の使用を隠蔽する狙いがあったとみている。戦闘機がシリアのアサド政権軍、ロシア軍のどちらに所属していたかは不明だ。

 国防総省の報道担当者は10日、AP通信の報道に関し、「裏付ける情報はない」とし、現在は化学兵器攻撃に関する情報を精査中だと述べるにとどめた。

===

 

<コメント>

初めに国防総省AP通信の報道に根拠がないとしていることをお断りして

少し考えてみたい。

 

シリア空爆の様子をAP通信は、以下のように伝えている。

時系列

1,一回目の空爆がある

2,無人機は負傷者が病院に運び込まれていた際に飛行

アサド政権軍側が飛ばした可能性もあったが、米政府はロシア側が操縦したと確信)

3,上空から無人機が去った

4,数時間後にロシア製の戦闘機が病院を爆撃した。

 

トルコのアクダー保健相は、11日サリンガスが使われたことを確認したと語った。

 

さて当事者である住人はどのように証言しているのか?

「化学兵器の倉庫ない」 シリアの被害住民が証言:朝日新聞デジタル より引用

 

===

 シリア内戦の反体制派が拠点とする北西部イドリブ県で、アサド政権軍の化学兵器使用が疑われている問題で、被害を受けた住民3人が北隣のトルコで朝日新聞の取材に応じた。住民は「現場は民間人が暮らす住宅地。反体制派の軍事施設はない」と断言し、「政権軍は化学兵器で爆撃し、市民を虐殺した」と訴えた。

 住民によると、4日午前6時半ごろ、イドリブ県南部ハーン・シェイフン上空でロシア製のスホイ機とみられる戦闘機2機がミサイルを複数発射し、100人以上が死亡したという。

 トランプ米大統領はアサド政権軍による化学兵器の使用を断定し、政権軍の空軍基地を標的にミサイル攻撃に踏み切った。これに対し、政権側は化学兵器の使用を否定し、政権を支援するロシアも「反体制派の倉庫をシリア軍が爆撃し、(貯蔵されていた)毒ガスが流出した」と説明する。

 一方、ハーン・シェイフンの医療施設職員アラー・ユセフさん(27)は「(同地の)倉庫は反体制派の化学兵器貯蔵庫ではなく、小麦などの穀物倉庫だった」と指摘し、ロシア側の説明と食い違っている。住民によると、同地は5年前から政権軍の爆撃を受け、過去にも塩素ガスのような化学物質を投下されたことがあったという。

 米国によるシリアへのミサイル攻撃を受けて、シリア情勢が主要議題となる主要7カ国(G7)の外相会合が10日、イタリア中部ルッカで始まった。ティラーソン米国務長官は会合後、ロシアを訪れる予定だ。(トルコ南部イスケンデルン=渡辺丘、ルッカ=山尾有紀恵)

===

 

<住民の説明>

1,「現場は民間人が暮らす住宅地。反体制派の軍事施設はない」と断言

2,「政権軍は化学兵器で爆撃し、市民を虐殺した」と訴えた。

3,4日午前6時半ごろ、イドリブ県南部ハーン・シェイフン上空でロシア製のスホイ機とみられる戦闘機2機がミサイルを複数発射し、100人以上が死亡した

4,同地は5年前から政権軍の爆撃を受け、過去にも塩素ガスのような化学物質を投下されたことがあった

 

<シリア政府とロシアによる説明>

政権側は化学兵器の使用を否定し、政権を支援するロシアも「反体制派の倉庫をシリア軍が爆撃し、(貯蔵されていた)毒ガスが流出した」と説明する。

 

<ハーン・シェイフンの医療施設職員による説明>

「(同地の)倉庫は反体制派の化学兵器貯蔵庫ではなく、小麦などの穀物倉庫だった」と指摘し、ロシア側の説明と食い違っている。

 

 <総合してみると>

 住民や医療関係者は、利害のある国家とは違い、比較的信用がおける言葉だと思われる。

ロシアなのかシリアなのかは分からないが

ロシア製の戦闘機が爆撃しているということ。

米軍はトマホークなので爆撃機との識別はできたかと考えられる。

米軍以外の戦闘機が爆撃していることになる。

ロシアかシリアのいずれかでしょうか?

ではなぜ彼等がそうせざるを得なかったのか?

どんなメリットがあるのか?

 

「複数の米政府当局者は、化学兵器の使用を隠蔽する狙いがあったとみている。」

で思い出すのが、

 

北朝鮮はシリアと交流があり、様々な軍事支援をしている。

北朝鮮化学兵器大国である。

もしロシアもこれに関心があるとすれば

自国に持てばアウト、自国がつくれば、これもアウト。

でも、他所の国でその国が内緒でつくれば、

そして生産や管理の情報を共有できれば、

見つかっても白を切れる。

ロシアならつくろうと思えばつくれる。

 

ティラーソンは

ロシアの「失敗がシリアの化学攻撃を可能に」 米国務長官 - BBCニュース より引用

===

ティラーソン氏は、化学攻撃とされるシリア軍の攻撃にロシアが関与していたと示す証拠は何もないと指摘した上で、「ロシアが共謀していたか、それとも単に無能だったのか、あるいは(シリア政府に)してやられたのかはともかく」、ロシアは「国際社会への約束と責任を果たさなかった」と批判した。

ロシアは「シリアの備蓄化学兵器の備蓄廃棄について保証する」と合意したのにもかかわらず、「ロシアが失敗したせいで、子供たちや罪のない人たちがますます殺されることになった」と長官は付け足した。

 ===

 

ティラーソンは「本当は知ってるぞ」と言いたいのだろうか? 

 

 


にほんブログ村

 応援して下さる方は上のロゴをクリックして下さい。