原理講論を読む

日常生活の中で 考える糸口を求めて

コンサル本を読む  大嶋祥誉

この方の書かれている対象はかなり若い方ではないかと思われる。
就職して間もない方や、会社で仕事をして数年になる方に必要な事柄を
ご自分が体験してきたマッキンゼーで学んだり培ってきたものを中心に
平易に説明しているのだと思う。
あまり高度なものだとついていける人が限られるので
出版企画上そのようになったのかなとふと思った。

したがって一般のビジネス書に紹介されているものとも重複はかなりある。
もしそのような書物からは得られないものを期待するなら
別のコンサルの著作に当たってみたほうがいいだろう。 

  

図解でわかる! マッキンゼー流 仕事がはかどるノート術

図解でわかる! マッキンゼー流 仕事がはかどるノート術

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2015/10/17
  • メディア: 単行本
 

 


マッキンゼーのエリートはノートに何を書いているのか トップコンサルタントの考える技術・書く技術」
「図解でわかる! マッキンゼー流 仕事がはかどるノート術」
の二冊はかなり重複がある。
後者は「質問」という切り口で解説し直している感じで、どちらかと言えばこちらのほうが詳しいようだ。
とにかく問題の本当の原因を求めるのに、
AはBから生じ、BはCから生じる。
CはDから生じ、DはEから生じる。
このDが本当の原因で、AやBやCやDは原因には見えるけれども現象であって、
問題の本質ではないというような事例が出てくる。
大前研一が昔言っていた「本質と現象」の話はこれかと思った。
気がついた原因から次々に遡って本質的原因に辿ることを徹底せよというわけである。

帰納法的に原因を遡って問題の第一原因を割り出すことが重要ということだ。
念の為に言うと、著者は「本質と現象」という表現はとっていない。
 
また、問題についての整理を、
問題の所在は何処なのか? (WHERE)
問題の原因と思われることには? (WHY)
問題をいかにして解決するか? (HOW)
の3つに整理してリストアップしてから、
これを構造化していくという。
ポイントは、WERERから始めることだとか。
「ノート術」の本には本末に質問のリストと
本の冒頭にも切り取って携帯できる質問のリストがある。
これは問題の整理に役に立ちそうである。
 
いずれの本も問題解決の流れが理解できる。
 
 
 

その他、同じ著者の本で、
マッキンゼー流 入社1年目問題解決の教科書」

マッキンゼーのエリートが大切にしている39の仕事の習慣」がある。

図解 マッキンゼー流入社1年目問題解決の教科書

図解 マッキンゼー流入社1年目問題解決の教科書

 

 

マッキンゼーのエリートが大切にしている39の仕事の習慣

マッキンゼーのエリートが大切にしている39の仕事の習慣

 
 
前者の本にかかれていたものでは、以下の視点を紹介していた。
 
<思考の4P>
Purpose(そもそも何のために)
Position(誰にとっての問題か)
Perspective(どのような視野を持つか)
Period(いつまでに仕上げるか)
 
また質問の例も新たに三種類紹介している。
 
視点を変える質問の例
原因を探る質問の例
相手の価値観を知る質問の例
 
後者の本は一般的な新入社員に必要な事柄を挙げているのかと思う。

マッキンゼーといえば硬派のビジネス書のイメージが強かったが、
近頃はかなりやさしく書かれた本を出身者が書いているようだ。
 
思うに、マッキンゼーの強みは過去に築き上げてきた資料にあると思う。
新入社員はこの膨大な資料を詳細に目を通して、
あらゆるケースのシミュレーションを経験して、
それをもとに、実際のクライアントの企業の事情にここが一部似ていると
直感的につかめるように訓練するようだ。
 
大雑把に言えば、問題のアプローチはケーススタディ
それとも、フレームワークかの二つが本流のようだ。
これより重要だと思われるものを数十年前に大前研一が語っていた。

若い頃大前研一の「企業参謀」やこれを再編集して英語で出した本の翻訳で「ストラテジック・マインド」という本を読んだが、
いずれかのまえがきに書かれていた文章が一番印象に残ったことが思い出される。
要するに、大前の本からノウハウを覚えてそれに頼って活用するのを主眼にするのではなく、むしろ柔軟に思考するマインドを育てるための参考にしてほしいというものだったと思う。
 
わたしは「料理に鉄人」という番組が好きだった。
そこに登場する挑戦者は一流の人たちだ、
つまり鉄人が持っているスキルは彼らも同様に持っているはずだ。
そうであるにも関わらず、生まれてくる料理が違うとすれば、
いわゆる「料理の心」が違うからに他ならない。
わたしには、大前が言う「ストラテジック・マインド」は
このようなものではないかと感じられた。

マッキンゼーにいたことがある人間でこの「ストラテジック・マインド」とは何か?
あるいはどのようにして獲得することができるののか?
それについては誰も語っていないように思う。


ところが、たまたま呼んだ山口周という人の
外資系コンサルの知的生産術 プロだけが知る「99の心得」
という本は、ある意味で「ストラテジック・マインド」をつかむ緒になるように思われた。彼はマッキンゼー出身者ではない。
 
随所に出てくる引用文も、アメリカの本のように何かデータベースでかき集めてきたような言葉ではなく、
本人が実際に読書する中で目に止まったものを用いているように思われた。
実にいい言葉を選んでいる。
本を出している他のコンサルタントとは違って、彼には人生に対する明確な哲学があると感じられた。
これ以外の本は目を通していないが、自分にとっては面白かった。
彼はボストン・コンサルティングA.T.カーニーを通過しているようだ。
おそらく長く付き合える本だと思う。
一読の価値あり。

 

外資系コンサルの知的生産術~プロだけが知る「99の心得」~ (光文社新書)

外資系コンサルの知的生産術~プロだけが知る「99の心得」~ (光文社新書)

  • 作者:山口 周
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2015/02/20
  • メディア: Kindle
 

 

 

 


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