原理講論を読む

日常生活の中で 考える糸口を求めて

高橋洋一氏によると、加計学園問題の「総理の意向」は公表されている議事録と照合されるべきだという

全文表示 | 高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ 「総理の意向」の正体 加計学園めぐる文科省の「言い訳」 : J-CASTニュース より引用

===

   加計学園問題について、筆者はいろいろなところで意見を述べている(たとえば、「これでいいのか『報道特集』! 加計問題であまりに偏っていたその『中身』」<2017年6月5日、現代ビジネス> )。

   この話は、50年以上も新設がなかった獣医学部に新規参入を認めるという規制緩和である。ところが、天下り斡旋を行い、その結果辞任した前川喜平・前文科事務次官が記者会見してから、文科省が許認可を盾にして規制緩和に反対してきたこと、許認可を背景として天下りをやってきたこと、さらには一部マスコミは前川氏という一方当事者のみの情報を垂れ流し、公開情報に基づき地道な検証を怠るというマスコミ偏向問題も一気に明るみに出た。

  • 「総理の意向」とは…?
「総理の意向」とは…?

特区ワーキンググループの議論の中身

   筆者にとっては、一粒で三度美味しいネタである。規制緩和は、役人時代に公取委へ出向し経産省などをしばいたし、天下り問題は官邸において天下り斡旋禁止法案を立案したし、マスコミ対策は財務省役人時代にそれぞれ経験済みである。筆者が、前川氏の言動で間違いを見つけるたびに、安倍政権擁護と言われるが、規制緩和天下り、マスコミのどの観点からも意見が書ける筆者にとって簡易な案件なので、批判しているだけだ。

   多くのマスコミは、前川記者会見、文科省文書だけを報じている。それに、加計学園理事長が安倍首相のお友達、という点を強調してストーリーを作っている。

   しかし、全体の構図を理解するには、それらの資料は不十分というか、不適切である。この問題は特区法に基づく手続きなので、その資料を見なければいけない。それもたった三つでいい。

(1)2015年6月8日国家戦略特区ワーキンググループ議事録
(2)2015年6月30日閣議決定(文科省部分)
(3)2016年9月16日国家戦略特区ワーキンググループ議事録

   特に、(1)と(3)をみれば、内閣府・特区有識者委員vs.文科省農水省)」による規制緩和議論は、前者の規制緩和推進派の完勝である。野球で例えれば、前者の10対0、5回コールド勝ちである。

   筆者も2000年のはじめのころ、規制緩和を進める公取委として、規制緩和反対の経産省とこうした規制緩和議論をしたが、今の文科省はその当時の経産省よりもはるかにレベルが低く、内閣府・特区有識者委員にとって赤子をひねるようだっただろう。

   (2)の閣議決定で要求されている需要見通しについて、許認可をもつ文科省に挙証責任があるが、まったくそれを果たせていない。しかも、(2)の閣議決定では、2015年度内(2016年3月までに)に検討するという期限が切られているが、それすら文科省は守れていない。これでは、コールド負けである。

   マスコミは、文科省文書が本物かどうかに焦点を当てている。筆者の感覚では、おそらく本物であると思うが、そうであっても、それらが作成されたのは2016年秋である。とっくに、文科省への宿題の期限(2016年3月)の後、しかも、(3)の2016年9月の後でもある。

 

公表されている議事録と照合する必要性

   はっきりいえば、勝負のついた後に、文科省は言い訳をいっているだけだ。しかも文科省内の部内文書である。マスコミはそればかりを報道して、(1)、(3)のように既に公表され、しかも文科省のみならず内閣府も認めた、いわば両者の合意文書を報道しないのは明らかに報道としてはおかしい。

   前川氏は、許認可を背景として天下り斡旋を行ってきた。そのために、獣医学部新設を拒んできたといわれて仕方なく、公務員として失格である。さらに、組織の幹部であったが、管理職として極めて不味い。

   文科省が、特区で内閣府・特区有識者委員と交渉してきたのは、課長レベルである。交渉に負けたとき、負けた者は組織の幹部に報告するとき、いい加減なことをいう。

   筆者からみれば、それが「総理の意向」である。

   議事録を見る限り、内閣府・特区有識者委員の完勝であるので、ワーキンググループの親会議である特区諮問会議まで上がっていない。当然、安倍首相も知らないところで議論は終わっている。「総理の意向」なんてあり得ない状況だ。

   しかし、完敗した文科省官僚が、ありもしない「総理の意向」があったとでっち上げて、文科省幹部に報告した可能性がある。

   そうした報告を受けた前川氏は、公表されている議事録と照合しなければいけない。そうでないと判断を誤るからだ。しかし、前川氏の記者会見ではまったく検証を行っていない。これでは管理者としても失格である。

   こんな簡単なことを報じられないマスコミも失格である。

 

===

 

「総理の意向」が、国家戦略特区ワーキンググループが、2015年6月8日に特区法にもとづく手続きによって議事録としてまとめられ、 それを受けて6月30日には閣議決定された、文部省側は2016年3月までに文部省としての見解を提示する必要があった。

変化がないので、9月に国家戦略特区ワーキンググループが主導的にまとめ上げることになったという。

 

「総理の意向」という言葉があるとして、

「総理の意向」とは私的利害関係が結びつくような、例えば金銭が絡むといった、

私的な意味での「総理の意向」として存在したのではなく、

特区法に基づく、国家戦略特区ワーキンググループや閣議による正当な手続きを経た、

公的な意味での「総理の意向」しかありえないことを

高橋氏は事実に基づいて説明された。

 

 


にほんブログ村

 応援して下さる方は上のロゴをクリックして下さい。