原理講論を読む

日常生活の中で 考える糸口を求めて

朱蒙のモパルモという男

朱蒙」の登場人物にモパルモという房長がいる。

私はこの役柄の人物が好きである。

夫余国の刀を造る部署の責任者である。

夫余は漢の脅威にさらされているので、その国防上優れた刀が不可欠であるが、漢軍の刀は優れていて夫余の剣と斬り合いを得る時、夫余の剣は脆くも折れてしまうのである。

そこで漢の鉄鋼剣並の強度を保つ刀の開発が必要になっていた。

その開発に20年も携わり、クムワ国王のために働いてきたが、いっこうに鉄鋼剣の秘密は解き明かされることはなかった。

クムワ国王の長男テソは、父王の知らないところで漢と密約をして、鉄鋼剣の製造方法を教えて貰うことになった。

クムワ王は漢に虐げられている古朝鮮の流民を救いたいと思っているが、それは漢と敵対することを意味している。テソ王子はこれを避けるために漢と協調していこうと考える。

漢には鉄鋼剣の製造方法を知る者を古朝鮮の流民ということにして、夫余に送ってほしいとした。これに対して、漢のヒョント城の太守は自分の娘と結婚することを約束させる。また古朝鮮の流民に偽装して夫余に送る鉄鋼剣を製造するものには、夫余のものより優れてはいるが、漢のものよりは劣る剣を造らせ、その者たちには間者としてスパイ活動をさせる。

そんなことを知らないクムワ王は鉄鋼剣の秘密が分かったことはテソ王子の功績であると共に、長年開発に苦労してきたモパルモの尽力の賜物であるとして、食事をモパルモの部署によこした。

モパルモは確かに20年クムワ王の喜ぶ姿を胸に描いて、ありとあらゆる試みをしてきたが、全く成果を挙げられなかった。それなのに王が下さった食事に手をつけることができない。やって来た者たちに頭を下げてクムワ王の悲願を果たそうと誓うのであった。

朱蒙チュモン)を支える三足。マリ、オイ、ヒョッポは桃園に契りの如く朱蒙に威勢良く忠誠を誓うのだが、物語ではたびたび朱蒙の言行のみを見て理解できず失望しついていけないと思う。一時期忠誠を解消することもあった。

ところが、モパルモは違っていた。

国を守りできれば宿敵の漢を破り奴隷のような生活を強いられる古朝鮮の流民を救い出したいと願うクムワ王のため妻子を持たず日夜働いてきた。

同様にクムワ王の朱蒙王子に対してもその忠誠は途切れることがなかった。

どう考えても理解しがたい。失望するような朱蒙の言行に

「王子様の考えていることはさっぱりわからない。」と首をかしげ悩みながらも、常に

「だが、王子様を信じている。」と何か深い心中があるに違いないと受けとめるのである。

主君の言行が頭では理解できなくとも、心で信じて侍っていく至誠は一貫している。

 

お父様に直接侍ってこられた方々にはこうした理不尽なことは日常茶飯事であったことと思う。お父様は無理主義者なのかも知れない。

マリ、オイ、ヒョッポは失望して酒を飲みあんな王子に仕えるはずじゃなかったと、自分の基準、自分の立場でものを考えた。

王子に仕える位置に自分たちが止まることができないアリバイ探しに陥ってしまったのである。

結局のところ後に朱蒙王子の深い意図があったことを知って彼らは再び忠誠を仕切直すのであった。

そんな彼らを見て、朱蒙王子を信じないからそのざまだ、だから私が言ったではないかとモパルモは言う。

 かって亨進様は神の心情を求めて21年路程を設定され修行生活に入られた。

丸坊主にされた亨進様は奇人変人のように見る信徒もあった。そこまではいかなくとも理解しがたいと感じた信徒は多かったことであろう。

世界的宗教指導者とも生活したことのある亨進様は、2年間お父様と生活を共にしてお父様という方が桁違いの別格の方であり、異次元の信仰に生きておられる方であることを知った。神を主人として絶対対象の位置を死守する信仰基準や生活基準のすさまじさを自分の父のことながら学ぶことができた。本来ならもっともっと早くそのような体験ができるようにして差し上げるべきであった。

子女様はそれぞれ個性豊かであられる。

孝進様がお父様を愛し証されようとされるすがたと、顕進様が為されようとする姿、また亨進様とそれぞれが違った表現であらせられる。

破天荒な生き方をされた孝進様は、今お父様と共に天国で生活されている。

36家庭の先輩たちの中にはお父様がお呼びした時だけ御側にいられる方もいるという。

大切なことは一つである。

モパルモが忠誠の心でクムワ王に侍り通したように

孝心をもって父に仕えることができたかである。

孝心をもって父に侍ることができないことこそ、げに我等が怖るべきことである。

 

テソ王子は現状維持の姿勢であった。

夫余が従来どおりの平和を維持するためには、漢と協調して行くべきと考え、相手の要求に折れてゆく。しかしそれは漢の属国になりかねない道でもあった。

朱蒙は夫余が漢に干渉されない独立国として存在することを求め、止むおえない場合は交戦することも辞さない考えであった。

いよいよ自分の志とテソの命令との間に一体化できない深い溝ができると、

古朝鮮の流民を救出する旅に出るのであった。

朱蒙古朝鮮の流民の救世主として始め活躍し、新しい国である高句麗を建設するようになった。

亨進様も信仰流民を救い出し天一国建設に邁進される。

 

統一信徒を天国からイエス様が御覧になられ心配されて

懐かしい逆説的表現を語られていることであろう。

 

「よくよくあなたがたに言っておく。天国では近くの者が遠くなり、遠くの者が近くになる。」

 

アージュ