原理講論を読む

日常生活の中で 考える糸口を求めて

ノーベル医学賞受賞者ショスタク教授とSTAP細胞の小保方晴子氏

2011年9月27日にNHKで放映した「ホーキング博士の宇宙 ET 地球外生命」の中に以下のような内容がある。

アメリカのハーバード大学医学部 シムチェズ研究センターで、ノーベル医学賞を2008年に受賞したジャック・ショスタク教授によって、原子の海で生まれた最初の生命を再現する試みが行われている。

現在の研究は生命の起源である。

40億年前の地球で化合物の寄せ集めからどの様に生命が誕生したのか、今までにない画期的な実験をしてその謎に迫っている。

生命には三つの基本的な特徴がある。

1,外の世界と自分とを区別する境界を持つこと

2,外からエネルギーや物質を取り入こんで、自分の体の一部にしたり、活動エネルギーにする代謝能力を持つこと

3,自己複製、つまり自分のコピーを創る能力を持つこと

生命が誕生したのは熱水が吹き出る間歇泉のような場所だとショスタク教授は考えている。

そこでは一酸化炭素と水素が繋がって、脂肪酸という化合物が創られたという。

ショスタクの研究室ではこの脂肪酸を使って、先ず生命を外界と区別する境界、つまり細胞の膜がどの様にできるかを再現した。

脂肪酸を水でできた溶媒に入れて、どの様な反応をするのか見てみた。

脂肪酸が集まってボール型をした膜になった。細胞膜のようなものができた。初期の地球にあった単純な化合物でできている。これは脂肪酸が結合を繰り返して休憩になり、外と内を区切る境界ができた。

ショスタク教授はその溶媒にヌクレオチド(自然界で塩基 糖 リン酸が結合してできる化合物)を入れてみた。

すると脂肪酸ができた膜の中に取り込まれていくことが分かった。

ヌクレオチドは膜の中で次々に反応し、遺伝子の元になる核酸を形成する。

膜によって外界から保護された遺伝情報を持つ原始的な細胞のようなものができあがった。

そこにエネルギー源として脂肪酸を与えると、代謝を始める。

やがて成長して分裂し、コピーを創る。

境界を持ち代謝をし自己複製をする、生命の基本条件を備えるものを創ることに成功したのだ。

 

以前のブログでサイエンスZEROという番組でシクラメンの茎を切るという物理的刺激で切り口につぶつぶの幹細胞ができることを紹介していたことを書いた。

 

さて世界中の科学者が追試したがうまくいかなかったという。酸性の溶媒につけた細胞は全て死滅してしまったのである。

われわれ科学者ではない生活者にとって酸性の液体といえば酸性水がある、女性ならアストリンゼントが思い浮かぶであろう。酸性というとわれわれ一般の人間のイメージでは殺菌作用があるという事であろう。

日本の研究者のひとりが同様の実験を3回して3回とも全ての細胞が死滅したという。これはわれわれのイメージとも一致している。

この事実を素直に受け止めるならば、少なくとも論文のペーハーでは細胞は死ぬと言うことである。

特許に関する話を聞いたことがいくらかあるが、本当のところをそっくりそのまま乗せてしまうとまねされるので肝腎なことは上手にうやむやにしているということを幾度か聞いた。

この論文もそのような可能性があるのかも知れない。何故であろうか?

今回STAP細胞を200回も創ったという。これは驚きであった。しかし彼女は今はただ再現できただけで最適条件がどの様なものかが明らかでないと言うことを語っている。さらに作製の詳しいレシピは次の論文に纏めたいということも言っている。

わたしはとてもものぐさな性格である。その私が実験に携わったとすればやはり実験ノーtは通常よりずっと少なくなったと思う。

そこでもし自分が小保方さんの立場であるとしたらと、考えてみると、200回という数は普通に考えれば無駄であり、異常な数に思われるが、もし小保方さんが単なる再現のためでなく、最適条件を求めてこんなに多くの回数をこなしたとすれば、理解ができるのかも知れない。つまり実験の条件が違うのである。

では何処が違うのであろうか?

シクラメンの場合は単なる細胞ではなくシクラメンの体を切った際に起きた現象であった。

ショスタク教授の実験はSTAP細胞には関わりないが、自己と外界を区別する細胞膜ができた後に、クレオチドを与えると内側に取り込まれ核酸が形成された。原始的な細胞にエネルギー源として今度は脂肪酸を取り込ませると分裂が始まった。

この実験を念頭にして考えてみた。

まず細胞が主体で酸性の培養液という環境が対象となる。つまり外的環境の酸処理という刺激が対象であり、主体的原因であるのが細胞だが、この細胞がそのままであったのではなく、この細胞自体内にDNAの操作ではないが、何らかの主体の変化をもたらすものが施され、細胞と酸性の培養液という主体と対象の相互作用の中でSTAP現象が現れたのではないかと推測される。STAP細胞の創造という新たな高次の目的を中心として、主体細胞と対象環境いずれにも変化が与えられて、その目的を中心に相互作用が起きて現象が引き起こされたと考える方が、自然であると思うのである。

酸処理でSTAP細胞ができると聞くと、環境の変化で進化したという発想を思い浮かべて胡散臭い。主体の要件に注目したいと私は考える。

例えて言えばショスタク教授の実験における脂肪酸の投与のような作業を先に主体である細胞に与えていて、そのことにより対象である酸処理環境に多くの細胞は死滅するものの、生き残り変身するものが出てくるのではないであろうか?

夢想家の空想である。

私は、論文の共著者の理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの丹羽仁史・プロジェクトリーダーの会見の姿を通してご本人はSTAPの存在を肯定的に受け止めておられるような印象を持った。

さらに小保方氏の上司である笹井芳樹氏が問題に上がった要素を除いてもSTAP現象が生じたとしか考えられない事実があるといったことを語り近く会見するそうである。

ますます理研という組織は状況判断と対応の選択が苦手な組織なのではと思われた。

東京大学大学院の菅野純夫教授によれば、次世代型DNAシーケンサーによって調べれば2週間ほどで、マウスの25億の塩基配列を全て解読できるそうである。つまりES細胞などから創られたものであるかどうかが分かる可能性は高いという。

また調べるべき原物(STAP幹細胞・キメラマウス・テラトーマ)もしっかり理研で各保管されているのである。論文上の瑕疵は理路整然と精査されたのはよいとして、専門分野に属するものが何故このような手続きをしなかったのか謎である。

理研ではこうした手続きをする予定がないとNHKは報じている。

そうはいっても、笹井氏の登場はこの辺りの確認作業を経ての記者会見なのかも知れない。

理事長を外資系のコンサルティング・ファームに努めたことのある人物に代えた方がよいのではないかと思う。或いはGEに在籍経験のあるLIXILの社長のように海外の会社での勤務の経歴がある方で、そこで手腕を働いたような方が望まれる。どんなに優秀な科学者でもビジョンや戦略の作成や危機管理などに長けているとは思えないからである。畑違いなのだから。

最後に子供の頃エジソンの伝記を読んだ。そこに電球のフィラメントに最適の素材を求めて、とんでもない回数の実験をして、ついに日本の竹で成功した話が出ていた。たしか1000種類の素材の実験だとうる覚えで記憶していたら、6000種だそうである。以下を参考にされたし。

http://www.ritsumei.ac.jp/~hyodot/semihomepage/koduchi.take=yama1.html

 

小保方さんにとって最適な条件以外の情報はたいした価値がなかったのではないか?筆記する時間を惜しんであらゆる条件でどうなるのか実験したかったのではないであろうか?

理研規定がそのまま適応されれば、もはや在籍は難しいであろう。調査委員会のミッションが論文自体内に限定されたものであったからである。そこでの改竄や捏造の存在を覆すことは難しいと思われる。わたしは山中教授とは別々に研究が為されることを期待したが、今となっては反対に、小保方氏を引き受けていただき引き、各自の情報の相乗効果から広く世界に貢献してほしいと願うである。

日本にも物理学者のリサ・ランドールのような女性の科学者が現れたかと1月は感慨深かった。STAPが存在することを強く期待するものである。

確かに小保方氏の態度は、客観的な事実によって論理を組み立てる科学者の態度を逸脱しているという科学者の意見は正しい。しかしこれだけ市中引き回しの刑をマスコミによってされた人にとどめを刺そうとするのは見苦しいことである。

日本には武士の情けというものがある。