原理講論を読む

日常生活の中で 考える糸口を求めて

中東情勢 20171122 28

中東とトルコとロシアの基本的な情勢は見ていく必要があるかと思います。

このような記事がありますので参考にされてはいかがでしょうか。

これらの国々の情勢はつながりがあるようです。

 

 

https://www.nhk.or.jp/kokusaihoudou/archive/2017/11/1122.html

より引用 2017年11月22日

===

「記念撮影だ!」

増井
「シリアやイラクで過激派組織ISに次々と勝利し、功績をたたえ合う兵士たち。
手にしている黄色い旗は、『シーア派民兵』のものです。
シーア派は、ISとの戦闘を通じて、存在感を高めてきました。」

花澤
「その背後には、シーア派の盟主・イランの存在があります。
ISとの戦いをきっかけに、今、中東での影響力を拡大しているのです。
今日(22日)は、独自取材から見えてきた実態に迫ります。」

松岡
「シリアとイラクでのISとの戦い。
スンニ派のISに対して軍事作戦を展開したのが、シリア政府軍・イラク政府軍・クルド系の部隊。
そして、シーア派住民が参加する『シーア派民兵』の部隊です。
この戦闘に積極的に関与してきたのが、シーア派の盟主・イランです。
イランは、どのように関与してきたのか。
イランの最高指導者・ハメネイ師。
ハメネイ師直轄の精鋭部隊、『革命防衛隊』が参加していたのです。
革命防衛隊は、外国で特殊任務を遂行する役割も担っています。
この革命防衛隊の幹部が、シリアやイラクに軍事顧問として派遣され、作戦の指揮に当たりました。
その指揮下に入り、実働部隊となって戦ったのが、イランで編成されたとみられるシーア派民兵の部隊です。

シーア派民兵の部隊は戦場となったイラクで多く結成されましたが、イランで編成されたのは、周辺国のアフガニスタンパキスタンから数万人規模で参加したシーア派の住民による“外国人部隊”です。
イラン政府は、その詳細を明らかにしていませんが、今回の取材で実態が見えてきました。」

対IS「シーア派民兵」 イラン関与の実態

リポート:薮英季支局長(テヘラン支局)

イランのロウハニ大統領は21日、日本時間の昨夜、IS最後の拠点がシリアで陥落したことを受けて、「勝利宣言」を行いました。

イラン ロウハニ大統領
「周辺国の戦いによって、悪魔(IS)は排除・縮小された。
最高指導者と部隊に感謝したい。」

戦いで大きな役割を果たした革命防衛隊は、国を挙げてたたえられています。

薮英季支局長(テヘラン支局)
「葬儀が行われる会場の前です。
哀悼の意を表そうと集まった人で埋め尽くされています。」

国営テレビがシリアで亡くなった兵士たちの葬儀を生中継で伝え、最高指導者ハメネイ師が遺族の元を訪れる様子も、繰り返し報道されました。

最高指導者 ハメネイ
「遺族の皆さんの善行に、神が応えますように。
私たちは殉教者に感謝しています。」

2013年に戦闘が始まって以降、ISと戦って犠牲となった革命防衛隊の幹部や兵士は1,000人以上。
テロとの戦いにイランが大きく貢献したことを、国民に向けてアピールしています。
ISとの戦闘で果たしたイランの役割について、革命防衛隊の元幹部に話を聞くことができました。

革命防衛隊 元幹部 ホセイン・モガダム氏
「イランは、この戦いの勝者であるイラクとシリアのパートナーであり続けました。
ISとの戦闘で、イランの立場はより強固なものとなったのです。」

一方、イラン人の影で、多くの外国人が命を落としていたことも分かってきました。
今年(2017年)9月、革命防衛隊の関係者だけが参加を許された追悼式典。
式典の最前列にいたのは、パキスタン人です。

パキスタン人の民兵
「我々は同じ部隊で共に戦いました。」

革命防衛隊の指揮の下、戦闘の最前線に送られていたのです。
会場で上映された、戦場での様子です。

パキスタン人とみられる男性に指示するイラン人の上官。
イランでは使われていない、アラビア語を共通語として使っていたとみられます。
外国人のシーア派民兵をISの戦闘に送り込んでいたイラン。
政府は、この事実をセンシティブな事柄だとして詳細を明らかにしてきませんでした。
革命防衛隊の元幹部に、外国人民兵について尋ねると…。

革命防衛隊 元幹部 ホセイン・モガダム氏
「シリア・イラクでの(ISの)犯罪行為に、すべてのイスラム教徒がさいなまれています。
だからパキスタンアフガニスタンなどからボランティアとして戦いに行くのです。」

イラン側は、民兵になりたいと志願した外国人を支援しただけだと主張。
ところが、元民兵たちからは違った事情が聞こえてきました。

リポート:宮内篤志支局長(イスラマバード支局長)

ISとの戦闘に送り込まれた民兵がいると聞いて、アフガニスタンに向かいました。
中部バーミヤン州の、シーア派が多く住む村です。
シリアで民兵として戦ったハミードさんです。
貧しい村で働き口のなかったハミードさんは、仕事を求め、イランに密入国
民兵になった友人の話を聞いて、ISとの戦闘に参加することを決めました。
民兵になれば、日本円で月におよそ10万円が支給され、イランで働くためのビザももらえるというのです。


ハミードさん
「(シリアでの)戦闘に3度参加したら、イラン滞在が10年間認められます。
足や腕を失えば、イランにいる限り手当がもらえるのです。」

ところが、現実は想像以上に厳しいものでした。
1か月の訓練のあと民兵用の戦闘服を支給され、2年前、ハミードさんが送り込まれたのは、シリアの激戦地アレッポ

ハミードさん
「現地の地理に詳しくない私たちは、ISに包囲されました。
ISは地理に通じ、最新の兵器を持ち、化学兵器も使い、とても怖かったです。」

ハミードさんは足に銃撃を受け、戦線から離脱。
イランで治療を受けたものの、戦闘への恐怖心はぬぐえず、アフガニスタンに逃げるように帰国しました。
戦闘で命を落とした民兵もいます。


マフムード・アブドラ・ハイさん。
去年(2016年)2月、アレッポでの戦闘で死亡しました。
父親のスルタンさんによると、マフムードさんは仕事を求め、イランに密入国
たびたび強制送還の脅しを受け、民兵になるしかなかったと
います。

スルタンさん
アフガニスタンの貧困と失業のせいで、多くの人が仕事を求めイランへ行きます。
息子は『戦闘から無事に戻れば(イランに滞在する)書類を手に入れられる。それが目的だ』と話していました。」

遺体はイランで埋葬。
スルタンさんは、生前のマフムードさんから「戦死した場合、日本円でおよそ130万円の弔慰金が支払われる」と聞いていましたが、その10分の1の額しか受け取っていません。

スルタンさん
「遺族はアフガニスタンで家がもらえるという話だったのに、(イラン政府は)守っていない。」

アフガニスタンの農村部が抱える貧困が、この地域の人たちをシリアに向かわせた構図が浮かび上がっています。

外国人部隊 なぜ動員?

増井
「取材したテヘランの藪支局長に聞きます。
イランがこれほど多くの外国人戦闘員を動員しているのはどうしてなのでしょうか?」


薮支局長
「イランにとって、シーア派を敵視するISは安全保障上の重大な脅威であり、なんとしても壊滅させる必要がありました。
周辺国のシーア派の住民も動員することで戦力を増強したい思惑があったと思われます。
同時に、自国民の犠牲をできるだけ抑え、世論に配慮したいという考えもあったとみられます。
イランは去年、核合意による経済制裁が解除されたものの、経済の再生はまだ道半ばです。
厳しい国内事情を抱える中で、国が貧しく、イランへの密入国者も多い、アフガニスタンパキスタンの若者は、戦闘員として採用する上で格好のターゲットになったと考えられます。」

イラン影響力拡大 今後の影響は?

花澤
「イランの影響力拡大ですが、今後の中東にはどのような影響がありますか?」

薮支局長
「やはり、イランの影響力拡大を警戒する国が反発する動きに出ることが考えられます。
とりわけスンニ派の盟主を自認するサウジアラビアは、イランへの批判を強めていて、最近ではレバノンが両国の新たな代理戦争の舞台となりつつあります。
ISという共通の敵に向き合う中で、大きくは表面化していなかったイランとサウジアラビアを軸とした宗派間の対立が再び噴き出す可能性があり、周辺国も巻き込んで新たな衝突が生まれることが懸念されます。」

===

 

 

 

https://www.nhk.or.jp/kokusaihoudou/archive/2017/11/1128.html より引用

2017年11月28日(火)

===

シリア和平協議 岐路に立たされる反政府勢力

6年以上にわたって続く、シリアの内戦。
過激派組織ISが壊滅状態になった今、内戦終結への期待が高まっています。
国連の仲介のもと、アサド政権と反政府勢力、双方が出席して、日本時間の今夜行われる予定だった和平協議。
交渉を前に反政府勢力側は、アサド大統領の退陣を開始の前提条件にしないとして、態度を軟化させました。

反政府勢力側
「我々は交渉を始めるための前提条件は設けない。」


ところが、アサド政権側の代表団が現地入りしていないことが判明。
早くも、今後の協議に懸念が広がっています。
混迷続く、シリア和平協議の行方を読み解きます。

花澤
「『IS後』のシリアが現実的なものとして見えてきた今、進展に期待がかかっているシリア内戦の和平協議。
アサド大統領の退陣を交渉開始の前提条件としてきた反政府勢力側の姿勢に変化が見え始めるとともに、駆け引きも活発化しています。」

増井
「まずは、シリアの内戦のこれまでについて、松岡さんからです。」

松岡
シリアの内戦が始まったのは、2011年
独裁的な体制を築いてきたアサド政権に対し、民主化を求める反政府勢力が武器を持って立ち上がったのがきっかけでした。
戦闘が拡大する中、アサド政権をロシアが、反政府勢力をアメリカがそれぞれ支援
さらに、混乱に乗じて過激派組織ISが勢力を拡大し、大国の思惑も巻き込んだ三つどもえの構図となっていました。
しかし、内戦が始まって6年あまり。
ISが壊滅状態となり、構図が大きく変化します。

こちらは最新の勢力図ですが、『青色』の反政府勢力の支配地域は、北西部や南部など一部に限られ、『赤色』のアサド政権が圧倒的に優位な状況です。
国連が仲介する和平協議は、これまで7回行われましたが、政権側と大統領の退陣を求める反政府側の対立は根深く、交渉は決裂してきました。
しかし、その反政府勢力が今、追い詰められた状況の中で厳しい選択を迫られています。」

混迷のシリア和平協議 内戦終結への道筋は

リポート:土屋悠志

今月(11月)半ば、シリアの反政府勢力の代表的な組織「シリア国民連合が、幹部を一堂に集めて会議を開きました。
アサド政権が軍事的に圧倒する中、反政府勢力としてはどのような方針で和平協議に臨むべきか、2日間にわたって議論が交わされました。
この時の結論は、アサド政権が内戦終結後も存続することは断固認めないという、これまでと同じ方針でした。

シリア国民連合 幹部 ハディ・バフラ氏
「いったいどうすれば、アサド政権のままで、民主主義や平等を実現できるのか。
アサド大統領の排除なしに、我々の目的は達成できない。」

自由、自由、自由をよこせ!」

しかし、打倒アサド政権の動きには、かつての熱気がありません。
今月、多くのシリア難民が逃れているトルコで開かれたデモ。
集まったのは、わずか数十人ほどです。
これまで、トルコにいるシリア難民の多くは反政府の立場でした。
ところが、内戦が長引くにつれ、政権の打倒よりも、一刻も早い内戦の終結を望む人たちが増えてきているのです。

シリア難民
「私はもう誰の敵でも味方でもない。
望むのはシリアに平和が戻ることだけ。」

シリア国内でデモに加わり、政権側に投獄されたという女性でさえも。

シリア難民
「破壊も、子どもたちが殺されるのも、化学兵器も、もううんざり。
内戦が終わるのなら、政権側と合意した方がましです。」

アサド政権への抵抗を諦める空気は、反政府勢力の内部にも広がっています。

ファリス・バイユシュさん。
北西部のイドリブ県で、反政府勢力の1つ、「自由シリア軍」の司令官を務めていました。

自由シリア軍 元司令官 ファリス・バイユシュ氏
「これが銃弾の痕だよ。
ここを貫通したんだ。」

何度もケガをしながら戦闘を続けていましたが、形勢逆転はもはや難しいと考えたといいます。
さらに、アメリカが一部の反政府勢力への武器供与などの支援の中止を決めたことで、状況は厳しさを増しました。

自由シリア軍 元司令官 ファリス・バイユシュ氏
「多くの国が武器を提供してくれたが、彼らは支援を減らしていった。
支援は関係国がそれぞれの思惑で行い、私たちのための支援ではなかった。」

反政府勢力の中からは、アサド政権を支援してきたロシアに近づく動きまで出てきています。

フィラス・ハリディさんです。
元々は「シリア国民連合」のメンバーでしたが、これまでの主張を繰り返していては、和平は進まないと考えて離脱。
エジプトのカイロに、自ら率いるグループを立ち上げました。

シリア国民連合 フィラス・ハリディ氏
ジュネーブで撮った写真だよ。」

ロシアの外交団と直接会って意見交換をするなど、活動を活発化。
和平を進めるためには、アサド大統領の退陣を交渉の前提条件から外す必要があると主張しています。

シリア国民連合 フィラス・ハリディ氏
「現実的には、アサド政権抜きに和平プロセスは始められない。
我々は中立であり、シリアのためなら誰とでも話す。」

この日は、ロシアがジュネーブの和平協議とは別に、ロシア南部のソチで独自に開くと発表した会議に参加すべきかどうか、話し合いました。

「我々はソチに行って発言すべきだ。
そうすれば状況が見えてくる。」

シリア国民連合 フィラス・ハリディ氏
「状況の変化に対応して、我々の見解を示すべきだということだね。」

シリア国民連合 フィラス・ハリディ氏
「ロシアとの関係は友好的ではないが、相互の利益に基づいている。
我々は現実的な政策を持たなければならない。」

反政府勢力内部でほころびが見え始める中、27日、ジュネーブを訪れた反政府側の代表団は、態度を軟化させる姿勢を示しました。

反政府側 代表団 ハリリ氏
「我々は交渉を始めるための前提条件は設けていない。
しかし、アサド大統領の退陣が最終的な目標であることは変わらない。」


異例の事態 どうなる和平協議

増井
「和平協議の会場となっているジュネーブの国連ヨーロッパ本部前には、取材している土屋記者がいます。
アサド政権側の代表団が、予定された協議の場に姿を見せないという事態になっていますが、和平協議はどうなってしまうんでしょうか?」


土屋悠志記者
「先ほど、主催する国連の報道官が会見で、政権側から明日29日には代表団を派遣するとの連絡があったことを明らかにしました。
予定されていた28日の協議に政権側が現れなかった理由は明らかになっていませんが、アサド政権に近いメディアは、『反政府側が和平交渉を始める条件として、アサド大統領の退陣を求めているため』という外交筋の話を伝えています。
戦場で圧倒的優位に立つアサド政権としては、『ジュネーブで話し合いが進まなくても自分たちは一向に困らない』という余裕の態度を取ることで、交渉を有利に進めようとしているとみられます。
一方、反政府側は直前になって、交渉を始めるための前提条件は設けないとして、柔軟姿勢に転じる兆しを見せてはいるものの、最終的にアサド大統領の退陣を目指す姿勢は変えておらず、和平後の政権のあり方を巡って、双方の対立は根深いままです。
さらに、反政府側そのものが、まだ一枚岩になりきれていないのが現状です。
今回は、国連などからの働きかけもあり、からくも代表団を一本化することはできましたが、内部には、依然として深刻な意見の対立を抱えていると思います。
反政府側は今後、協議の途中で足並みが乱れることも十分あり得ます。」

“ロシア主導” 内戦終結への動き

花澤
「なるほど。
反政府側の混乱が見られるということのようですが、シリアの内戦終結に向けて、これからどうなっていくんでしょうか?」

土屋記者
「ロシア主導で、アサド政権に有利な形で進むのは確実です。
ロシアはもともと、停戦の合意や、その監視など、軍事的な動きで主導していましたが、それをテコに今、政治的・外交的にも外堀を埋めつつあります。
プーチン大統領は今月に入り、アメリカのトランプ大統領と共同声明を出したほか、トルコやサウジアラビアなど、反政府側の支援国の首脳と相次いでシリア問題を協議。
さらには、本来ジュネーブで話し合うべき、新憲法の起草や選挙の実施など、政治プロセスについて話し合う、独自の会議をソチで開くと発表しています。
内戦終結後のシリアへのロシアの影響力を維持しようという姿勢をあらわにしているんです。
国連としては、今やロシアの意向を無視しては、何も進められないのも現実です。
ロシアとしては、国際社会からのお墨付きを得るために、表面上、国連を立てつつも、実質的には、自分たちがシリアの内戦を終わらせたと言える形に持っていこうとしていると見られます。
これから始まる和平協議で、これまでのように進展がなければ、内戦終結に向けた動きは、ますますロシアのペースで進むことになりそうです。
以上、ジュネーブからお伝えしました。」

増井
「ロシアペースで進んでいるということですけれども、今、アメリカはどうしようとしているんでしょうか?」

花澤
「アメリカのトランプ政権は、これまでシリアの将来について、アサド大統領の退陣が必要だということを繰り返し主張はしてきたんです。
しかし、ロシアがトルコとの協力も進めるなど、アサド政権の存続に向けて、着々と手を打っているというのに比べて、『傍観しているだけだ』というふうな批判の声、アメリカ国内からも上がっているんです。
その結果、ロシア、そしてアメリカが敵視するイランの影響力も中東で強まっていて、そのことには、トランプ政権はいらだちを募らせているんですが、実際には有効な措置、手立ては取っていないという状況です。
『IS後』のロシアの動きが活発になる中で、存在感を無くしているトランプ政権がどのような姿勢を打ち出すのか。
大きな焦点となっています。」

===

 


にほんブログ村

 応援して下さる方は上のロゴをクリックして下さい。