原理講論を読む

日常生活の中で 考える糸口を求めて

もんじゅが挫折したのは止む終えなかったのかと思いきやロシアが大きくリードしているという

人間はある種の固定観念に縛られると、身動きが取れなくなることがある。

3.11の東日本大震災のときも、大前研一の調査によれば根本的な原因は電源喪失であり、その他の原因は第一原因ではなく、第一原因が引き起こしたものであったという。本質と現象を取り違えた議論が沸き立っていた中で、問題を明快に整理された。

 

巨大地震がそろそろ来るという話はいくつも出てきた。

海が震源地なら津波はかならず来る。

地震によって送電線が分断されたり、津波によって通常の電源が使用不能になったりする可能性は原子炉の専門家やその施設の専門家でなはない素人でも予測可能なところである。

原子力発電は電源が命だという基本が担保されず、非常用電源の十分な確保がなされなかったことは、われわれ素人には驚きでしかなかった。

 

大きな津波は来ないという前提で施設は作られていた。

 

もんじゅの場合も、ロシアの同業者の指摘では同様で、勝手な前提条件の上でプロジェクトを進めた当然の結果だということだ。

ロシアは「ナトリウム漏れによる事故は起こる」という前提で設計したが、

日本は起こらないという前提で設計したのではないかと言うのである。

科学技術者でなければわからない複雑な技術的なことに関する問題というより、

素人でも理解可能な前提をどう設定したかによって、結果が分かれたというのである。

 

先ず前提を疑えということ

先入観で凝り固まっている暗黙の了解を

アンラーニングすることは

どんなところでも大切なことなのだろう。

いつもゼロポイントの心でいたいと思います。

 

 

https://www.nhk.or.jp/kokusaihoudou/archive/2017/11/1130.html より引用

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世界最悪レベルとなった、福島第一原子力発電所の事故。
その影響で、脱原発の動きがヨーロッパなど各国に広がっています。
そんな中、国を挙げて原発に力を入れているのが、ロシアです。
電力需要の伸びが見込まれる途上国などに原発を輸出し、巨額の利益を上げようとしています。
そのロシアが今、開発に乗り出しているのが、次世代の原発「高速炉」です。
各国で撤退が相次ぐ中、なぜロシアは開発を続けるのか。

研究責任者
「これは今世紀ではなく、22世紀への投資なのです。」

これまでベールに包まれてきたロシアの高速炉開発。
その実態に迫ります。

「高速炉」の実態とは


花澤
脱原発の機運が世界各国に広がる中、ロシアが原発の開発に積極的に乗り出しています。
中でも注目されているのが、次世代の原発といわれる『高速炉』です。
巨額の開発費用がかかる上、安全性への懸念もあるため、日本をはじめ欧米各国では開発が低迷していますが、ロシアでは国を挙げて推進しています。」

松岡
「高速炉とはどういったものなのか、簡単に説明します。

一般的な原発ウランを燃料にしますが、高速炉はプルトニウムを含む燃料で発電します。
そして、使い終わった燃料からプルトニウムを取り出し、再び高速炉で使います。
半永久的にエネルギーを生み出せることから『夢の原子炉』と呼ばれています。
高速炉開発は、こちらの8か国が進めていましたが、アメリカやイギリス、ドイツは巨額の開発コストや安全面への懸念から撤退。
日本も去年(2016年)、高速炉もんじゅ廃炉を決め、開発は大幅に遅れています。

現在も開発を続けている国の中では、ロシアが今、唯一『実用化の一歩手前』の高速炉を運転しています。
欧米が撤退し、日本も停滞する中、なぜロシアの高速炉開発は実を結びつつあるのか?
日本のテレビ局として、初めてその現場にカメラが入りました。」



潜入 ロシア次世代原発 「高速炉」の実態とは

リポート:藤岡信介記者(科学文化部)

モスクワから東に、およそ1,400キロ。
針葉樹林の森を抜けると、高速炉の開発のために作られた街があります。

広報担当者
「あれが、ベロヤルスク原子力発電所です。」

原発の広報担当者が同行する条件で、撮影が許されました。
しかし…。

広報担当者
「これより近くには行けません。」

セキュリティが厳しく、撮影は1.5キロほど離れた場所に制限されました。
高速炉「BN-800」。
33年前、旧ソビエト時代の国家プロジェクトとして建設が始まり、去年ようやく本格稼働に入りました。

提供された内部の映像です。
BN-800は電力を安定供給し、商業ベースに乗せる一歩手前の段階にあります。
「実験の段階」だった日本のもんじゅより、大幅に進んでいます。
コストや安全面への懸念から欧米諸国が撤退し、日本も停滞する中、なぜロシアは開発を続けられるのか。
発電所の所長は、「研究開発に対する考え方」の違いが理由の1つだといいます。

ベロヤルスク原発 シードロフ所長
「我々は“ナトリウム漏れ事故が起きる”という前提で設計を進めてきました。
日本では“それは基本的にはありえない”と考えていたのではないでしょうか。」

所長が例として挙げたナトリウムの漏えい事故。
原子炉を冷やす液体のナトリウムは空気に触れると激しく燃焼するため、漏えいは火災につながることがあります。
日本のもんじゅは22年前に1度、ナトリウム漏れを起こした後、安全性への懸念や世論の反発などから、ほとんど動かすことができませんでした。

一方、BN-800の前身となった高速炉では、ナトリウムや放射性物質が漏れる事故を27回も起こしています。
それでも、開発は続けられました。
所長は、研究開発に事故はつきもので、数々の失敗を乗り越えてきたからこそ技術が進歩したといいます。

ベロヤルスク原発 シードロフ所長
「トラブルは起きましたが、私たちには対処する力があるのです。
高速炉開発は国家プロジェクトなので、続けるべきだと信じています。」

では、国民はどう考えているのでしょうか。
高速炉から40キロほど離れた人口130万人の都市で聞きました。

「特に問題になったり、心配したりすることはありません。」

「(ロシアが)発展するのはよいことです。
電気は必要だから、開発を続ければいいと思います。」

ロシアの国民が高速炉の開発を前向きにとらえる背景には、科学技術への期待と信頼があるといいます。
去年、行われた世論調査では、70%を超える人が「原発は安全だ」と回答。
およそ30年前、重大な事故を起こしたチェルノブイリ原発については、60%余りの人が「同じような事故は、近々起きることはない」と答えています。

原発や核の関連施設など、事故の犠牲者を追悼する式典でも話を聞きました。
かつてチェルノブイリ原発の近くに暮らし、事故で移住を余儀なくされた夫婦に出会いました。
ブージーロフ夫妻です。
事故を経験しながらも、国の原子力政策を支持しているといいます。

タチアナ・ブージーロフさん
「私たちはロシアの原子力専門家や技術者たちを信頼しています。
私たちに災難をもたらした原発を、彼らは完璧なものにしてくれるのです。」

今、ロシアでは、高速炉の技術をさらに高めるため、新たな実験施設の建設を進めています。
高速炉の開発につぎ込んできた国家予算は、ここ20年間だけでも、およそ8,000億円に上ります。

巨額の費用がかかる高速炉開発。
ロシアの研究機関のトップは、将来、国のエネルギーを支え、外貨の獲得につながると見込んでいます。

原子炉研究所 ツゾフ所長
「原子炉の技術は、何十年もかけて発展するものです。
高速炉開発に資金を投じても、すぐに採算が取れるとは考えていません。
これは今世紀ではなく、22世紀に向けた投資なのです。」

なぜ高速炉開発が支持されるか

増井
「スタジオには、取材した科学文化部の藤岡信介記者です。
実を結びつつあるロシアの原子炉開発ですが、何度も事故を起こしているにも関わらず、ロシアではなぜ高速炉の開発が国民からも支持されているのでしょうか?」


藤岡信介記者(科学文化部)
「2つの理由が考えられます。
まず率直に驚いたのは、高速炉開発に臨むロシアの姿勢です。
私は『もんじゅ』を福井で取材してきましたが、日本では安全を最優先し『事故は起きない・起こさない』という姿勢で研究開発を進めてきました。
これに対してロシアは、『事故は起こる』というのが前提になっているんです。
27回の事故よりも、それを乗り越えて研究開発を続けることに意味があると研究者は強調していました。
もう1つは、国民の科学技術に対する高い自負心です。
ロシアでは、旧ソビエト時代からアメリカに対抗し、宇宙開発に代表される科学技術に国を挙げて力を入れてきました。
国民の期待と信頼は高く、原子力もその1つなんです。
ソビエトというと、日本ではチェルノブイリ原発事故の印象が強いですよね。
しかしロシアの街頭で話を聞いてみると、意外にも、事故を気にするより、国の発展のために原子力は必要だという意見が多く聞かれました。」

高速炉開発の狙いとは

花澤
「ロシアの研究機関のトップが『22世紀への投資』と話していたのが印象に残りました。
彼らは高速炉にどんな期待を寄せているのでしょうか?」

藤岡記者
「エネルギーの安定供給に役立ち、ゆくゆくは外貨の獲得につながるという期待です。
ロシアは、これまでに東欧諸国やアジアなど15か国に原発を輸出し、中東などにも技術を提供する計画です。

さらに将来的には、高速炉の技術も輸出したいと考えています。
実際、中国には、すでに実験段階の高速炉を建設し、7年前から稼働させています。
VTRに出てきた実用化一歩手前の『BN-800』の輸出に向けた交渉も続いています。」

高速炉開発 日本の現状は

増井
「開発が大幅に遅れているという日本の高速炉の開発は、この先どうなるのでしょうか?」

藤岡記者
日本では去年12月、安全対策にかかるコストなどを理由に、『もんじゅ』の廃炉が決まりました。
今後は、高速炉の運転経験が豊富なフランスと共同で開発を進めることにしています。
しかし、フランスに新たな高速炉を建設すれば、その費用は数千億円といわれており、日本が費用負担に見合う技術を得られるかどうかは不透明です。
エネルギーの安定供給のためとして開発は継続されますが、安全性への懸念や、多額のコストも踏まえた上で、私たちの暮らしに関わる問題として考えていくことが大切だと思います。」

===

 

日本人は小さなミスも実験にゆるさないところがあります。

このような小さなトラブルのレベルで押さえる体制ができているという発想はありません。

そうなると、隠蔽体質ができていき、

今度は大きな問題の発生したときに

隠し事が出てくるかもしれません。

失敗はある程度許容する科学的態度を国民は育てていかなければならないことでしょう。

 


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