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オピオイドの記事

アングル:米国の「オピオイド危機」、欧州にも波及の恐れ | ロイター より引用

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リスボン 26日 ロイター] - 米国で近年最悪の薬物中毒死を引き起こしている鎮痛剤オピオイドの乱用について、欧州でも警戒を高めるべきだ、と専門家は指摘する。欧州でもこうした鎮痛剤の処方が増加しており、悪用の恐れがあるためだ。

 

米国におけるオピオイド中毒は、1980年代のクラック・コカインなど過去の薬物危機と比べ、過剰摂取による死者数も多く、その期間も長引いている。医療専門家は欧州への波及を危惧している。

トランプ米大統領は26日、オピオイドの乱用問題で、公衆衛生の非常事態を宣言した。これにより、中毒患者が治療を受けやすくなったり、対策に必要な連邦政府のスタッフの確保が円滑になるという。

 

鎮痛医薬品コンサルタントのキャシー・スタナード氏は、処方された鎮痛剤オピオイドの悪用という、米国の「まぎれもない公衆衛生上の大失策」を受け、鎮痛剤処方の際に患者が中毒症状に陥ったり、最終的にヘロインに手を出したりするリスクの検討が行われている、と語る。

「欧州では、米国における議論のすべての側面に留意している。ただし、われわれの議論も、米国同様に増加しているオピオイド処方件数が起点となる」と、スタナード氏はリスボンで開かれた中毒問題の国際会議で語った。

米連邦保健福祉省でオピオイド中毒を研究しているクリストファー・ジョーンズ氏は、米国では長年オピオイドの処方が死者数を押し上げてきたと述べた。

「だが、その増加は、2011年ごろ以降鎮静化している。現在、新たに問題として浮上しているのは、合成オピオイドだ」と同氏は語る。

特に中国の麻薬組織が、新たな顧客を引き付けるため、より強力で危険な合成オピオイドを製造しているという。

2000年から2015年にかけて、モルヒネの50─100倍強力な鎮痛剤フェンタニルなどの合成オピオイドによる死者数は11倍以上増加した。同時期のオピオイド全般による死亡増加率は、約3倍だった。

ジョーンズ氏によると、米国における薬物過剰摂取による死者数は昨年、約6万4000人に達しており、2015年の5万2000から大きく増加した。その半数以上にオピオイドが絡んでいた。

一方、欧州での薬物過剰摂取による死者数は、2015年に3年連続で増加し、8441人に上っている。その81%が、ヘロインを含むオピオイド関連によるものだった。

この会議を主宰したリスボンに本拠を置く欧州薬物・薬物依存監視センター(EMCDDA)も、合成オピオイドの脅威が増大していることを認めた。

「この18カ月で、新しい強力な合成オピオイドが急速に出回り始めた。そのほとんどがフェンタニル誘導体だ」と、EMCDDAのポール・グリフィス氏は指摘した。「非常に強力なので、使用したり、偶然接触した人には大きなリスクとなる」

ジョーンズ氏は、米国においても、中国から新たな種類のフェンタニル流入するという、似たような傾向が認められると語る。「人々は使用する薬物についての認識が不足しているため、自分の身を守ることができない」と同氏は述べた。

(翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)

 

不正医療で起訴される米国医療関係者 - trendswatcher.net

より引用 15.07.2017

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 米国では、2007年頃から鎮痛剤の依存症や過重摂取による中毒死の増加が社会問題となっている。2015年には5万2000人、2016年には過去最高の5万9,000人が死亡している。この依存性の高いオピオイド系鎮痛剤を過剰に処方し、医療保険を利用して診療報酬を不正請求した詐欺容疑で医師、看護師や医療関係者計412人起訴された。

 

 依存性の高いオピオイド系鎮痛剤が問題視されるようになったのが、アメリカの人口約35%が慢性痛で苦しんでいる言われた1990年代である。その結果、製薬会社は鎮痛剤の大量生産を始め、増産と共に薬がより強いものとなっていき、2002年には、鎮痛剤の約20%がモルヒネより強いものとなった。

 

危険性の高いオピオイド系鎮痛剤

 オピオイドの由来はopium ケシで、ケシの抽出成分を含んでいるため、その強い鎮痛効果と依存性で医療用麻薬として使われてきた。しかし、1990年代に製薬会社はオピオイド系鎮痛剤は安全で、長期服用しても依存性は低いとして、医師や医療関係者に売り込んでいったのである。その結果、害がない鎮痛剤として一般的に広く処方されることが、鎮痛剤の依存症や過重摂取の問題を引き起こしたとされる。

 

 医療機関からオピオイド系鎮痛剤を処方された患者は依存症となり、次第に摂取量が増え、不足すれば麻薬と同じ方法で入手した。麻薬カルテルにとって、需要の高いオピオイド系鎮痛剤はビッグビジネスとなっていった。

 

 都市貧困層で問題であった薬物依存の問題は、郊外や地方へと、白人の中流層に広がっていったのもオピオイド系鎮痛剤が一般的な鎮痛剤として広く処方されるようになったからである。

 

不正医療で412人が起訴

 起訴された412人のうちの医師らは、患者に不要なオピオイド系鎮痛剤の処方、実際に行っていない治療の一環としての使用などと題して大量の処方で、公的医療保険のメディケイド(Medicaid)やメディケア(Medicare)から診療報酬を不正請求していたとされる。不正請求による政府の損失額は13億ドルに上る。

 

 今回、起訴された医療関係者は氷山の一角にすぎない。医療報酬の不正請求のほか、アメリカでオピオイド系鎮痛剤の問題を引き起こした製薬会社にも社会的責任がある。

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