原理講論を読む

日常生活の中で 考える糸口を求めて

メディアは小池都知事のブレーンである上山信一氏にもっと掘り下げた質問をされてはいかが

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都政改革本部の上山信一特別顧問会見(全文1)このままでは3兆円超のリスク | THE PAGE 東京 より以下を引用

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上山(通訳):本日、お話をいただく機会をいただき大変光栄に存じます。また、オリンピックの準備に向けて、今どういった見直しをしているのか、お話をするという点については小池都知事のほうからも了解を得ております。本日は時間の関係もあり、また精度を持ってお話しできますようにと考えており、日本語で発表のほうはさせていただきます。

上山:東京オリンピックなんですけれども、ご承知のとおりリオが終わり、いよいよ4年を切ったという状況で準備が本格化しております。同時に知事選挙がちょうど夏にありまして、小池知事が就任をされ、選挙の期間中からオリンピックの予算については見直しが必要だということで就任後すぐにオリンピック・パラリンピックの予算に関する調査チームというのができました。

 それで、予算を見直すために東京都庁の中に都政改革本部というセクションができまして、そこに外部の元コンサルタントであるとか弁護士、会計の専門家などが入って、いろいろな政策の見直しをやっています。オリンピック予算の見直しもその作業の1つです。今日私がお話をする内容はその中の、オリンピック予算調査チームが9月の29日とそれからきのうの2回、知事に報告をした調査報告書の内容に基づくものです。

 この報告書の英語版はすでに都庁のホームページに載っています。9月29日の報告書は、Investigation reportという形でホームページに載っていまして、これはもうIOCにも送り、ちょうどきのうから3日間にわたって、IOC、それから政府、そして組織委員会、東京都の4者の協議が行われていますけれども、それのベースになるものということですでに共有化され、ホームページにも載っています。きのうの報告書については数日のうちにイングリッシュバージョンがまた出されていくという流れになっています。

 それではお手元に配っている資料に基づいてお話をします。まず最初に先ほど選挙の途中からオリンピックの予算については見直しをするという議論があったというふうに申し上げましたけれども、選挙の途中に小池知事はオリンピックの費用が、過去、組織委員会の森会長・元総理大臣、あるいは前の知事の舛添さんによって2兆、あるいは3兆というふうな発言があったけれども、それについてきっちり調べたいということを選挙戦の中でもおっしゃっていたと。そこから端を発して今回の予算の見直しが始まっているということであります。図で言いますと2ページですね、資料の2ページを見てください。

 それで、この2ページの図ですが、最初に書いてある7340億円というのは招致ファイル、管理データファイルのときに書かれた数字です。そのあと実際に作業を始めて、本当に必要な金額はいくらかということで計算をし始めると、最大3兆円になってしまうかもしれないという予測を舛添知事が一度やり、そして今回、私たちのチームで調査をした結果も、やはりもしかすると3兆円を超えるかもしれないと。こういう結果になったということであります。

 オリンピックについては前のページ、1ページに書いていますけれども、リオで、リオのゲームが終わってそのあとパレードを銀座でやりました。参加者は前回を6割も上回るぐらいの盛り上がりを見せています。なので、人々のオリンピックに対する期待というのは非常に高いものがあると思います。しかし同時に、世論調査やいろいろな議論を見ていますと、コストに対する問題意識というのも同時に非常に高いと。

 図で言いますと3ページですが、これは9月の時点での、JNNがやった世論調査ですけれども、85%の人たちが小池さんがやっているコストの見直しというのは必要だというふうにサポートしています。そしてさらに次の4ページですけれども、これも10月に入ってからの調査ですけれども、やはり場合によってはオリンピックの競技会場、場所を変えるというふうなかなり大きな変更も賛成するかという問いに対しては、この色を塗った赤いところですけども、6割から8割の人たちがそこまでやってもいいのではないかというふうにサポートしています。

 それで、右にもボートの会場が書いてありますけれども、もともとの案の海の森をサポートする人は10月の半ば時点では少なくて、場所が変えられるんだったらほかでもいいんじゃないかと考える人が多いというふうに、オリンピックに期待感は高まっているけれども同時に見直しも必要じゃないかというふうに日本人の多くは考えていると、こういう状況であります。

施設などハードのコストについて

 それでは報告書の中身のご紹介に移ります。Please go to page 7. で、今回トータルの予算というのが問題になってるわけですけども、もちろんまだあと4年ありますので、細かいことまでは分かりません。しかしながら、予測っていうものはやっていかないと予算の管理ができないということで、今回エスティメートをやってみました。

 費用ですけども、大きく分けてハードの施設の建設費用というものと、それとあとソフトな運営費用というものの2つに分かれます。ハードな分についてはだいたい決まっていると。例えば新国立競技場、選手村、こういうものはもう実際に建設が始まっています。それから東京都が建てる恒久施設、これは大会が終わったあとも使い続ける施設ですけども、これが8個ありますが、これについてもだいたいの中身が決まっていると。

 それからあと、神奈川であるとか千葉とかほかの県にもまたがりますが、大会中だけ使ってあとは壊してしまう施設というものがいくつかあります。それの分が2800億円ということになっています。この図の左から4つの箱は、従っていずれもハードということになります。これについてはだいたい想像がついておりまして、今回の東京都のチームで一番詳しく見たのは、この都が建てる恒久施設とここの中身、しかもその中でも金額が大きくて工事がもう始まりかけていると、あるいはすでに始まっていると、その3つについて集中的に見たということであります。はい、じゃあ以上。

大会運営費用(セキュリティー、輸送など)のソフトのコスト

 それで、残りの点線で書いたソフトの部分ですが、これが実は非常に大きいわけです。先進国のオリンピックのコストのサンプルとして非常に参考になるのがロンドンです。ロンドンの場合のコストが全体で約2兆1000億円掛かったのですが、そのときの結果を見るとやはり施設整備の分が7500億円ぐらいと、ちょうど今の東京の数字と非常に似ています。

 で、残りのソフトな部分が結果的にはセキュリティー、輸送、それからあと大会運営のためのさまざまな費用というものが全部乗っかって、合計2兆になっているわけですが、その数字をベースに推計をして、私たちも輸送、セキュリティー、テクノロジー、エネルギー、その他大会運営費用というのを試算した結果、2兆円を超えるのはほぼ確実だし、それからあとで申し上げるガバナンス、全体の進め方の問題ということを考えると、それからさらに数割乗っかっていくだろうということで、3兆円を超えるリスク、可能性というものを今回、問題提起をしました。

 コストの額は、しかしながらいくらだとリーズナブルだとか、いくらを超えると駄目だというふうな、絶対な基準があるわけではありません。費用対効果を見て、どうなのかという判断をしなければいけない。今回われわれはコストのエスティメートをすると同時に、いわゆる効果、オリンピックの場合はレガシーと言いますけれども、オリンピックをやったあと何が残るのかということについても現在のプランがどうなっているかということを見ました。

主に3種類のレガシーについて

 現在のプランで書かれているレガシーは大きく3種類に分かれますけれども、1つはオリンピックの感動体験とか、メダルを取った、新記録が出たというふうな大会から出てくる直接的なレガシー。もう1つはオリンピックの準備の過程で造られた施設がそのあとも使われるかどうか。あるいは交通とかインフラがオリンピックのために整備され、そのあとまちができていくといったようなまちづくり、施設関係のレガシー、これが2つ目にあります。3つ目はオリンピックを契機に社会の在り方が変わると。そういったレガシーがデザインできているかということについて今回チェックをしました。

 レガシーについての評価をしたんですが、最初の1番はもちろん問題がありません。2番目の狭義のレガシー、これについてもいろいろな投資がされていますし、大きな問題はない。そもそも1964年の東京オリンピックの経験というのは、まさにこのレガシーが非常に大きかったということで、社会全体にも、人々の間でもこの狭義の、2番目のレガシーについてはイメージがあり、かつ実際に結構できそうだという気がしています。

 しかし問題は3番目の広義のレガシーのところです。これについてはIOCもレガシーは非常に重要だということで、いろいろなガイダンスを出しています。もちろん東京都や政府もレガシーのプランを作っているわけですけども、まずわれわれが驚いたのは、組織委員会が作っているレガシープランというものと、東京都が作っているレガシープランという書類と、2種類の別々のものがあると。しかもこの2つの関係が、重なり、かつずれていると。一本化されたレガシープランが描けていないし、かつ中に書いてあることもいわゆる非常に行政的な、あまり躍動感のない言葉が続いていると。

 つまり広義のレガシーというものがまだ具体的なイメージを持って、オリンピック全体を見て具体的なイメージを持って描けてないというところに気が付きました。

 小池知事は選挙のときからスマートシティ、それからダイバーシティセーフシティっていう3つのキーワードを東京の将来を目指す方向だという形で打ち出しています。で、オリンピックっていうのはまさにこのビジョンを実現していく上で非常に重要なイベントだと思うわけですけども、今後の方向ということで、会議で議論したのはまさにこの3つのコンセプトを具体的なこのレガシーのつくり替えというところにどうやって反映していくのかというのが今、東京都が今後やっていく1つの課題だというふうに思われます。

 小池知事がもう1つ、オリンピックの在り方について今回問題提起をしたのはコストが1つですが、2番目がレガシーでした。で、もう1つ重要な問題提起としてされたのは、復興五輪という考え方です。で、これは2011年の震災の被災地ですね。東北の被災地の復興した姿を世界に示す、あるいは震災のときに受けた支援に対する、世界に対するお礼の場ということでオリンピックを位置付けると。こういう概念であります。この復興五輪というキーコンセプトに基づいて、例えば宮城でサッカーの予選をする。あるいは、聖火リレーが東北に行くといったようなことはすでにある程度、行われていますが、それで果たして十分なのかという問題意識が小池知事においてはありました。

施設の見直しの概要と今の時点の議論の報告

 コストの話に戻りますが、先ほどの図の左の4つの箱は、建物、施設の見直しの議論でした。で、日本国内ではこの東京都の施設の見直しのこの4つ目の箱の2241億円。ここの3つの施設の見直しが非常に日本の国内では話題になっております。それについては、細かい話は今日は省略しますが、概要を今の時点、29日のレポートじゃなくて、今の時点どうなっているかを今からお話をします。

 8ページを見ていただくと分かりやすいと。Please go to page 8. で、3つの施設ですが、1つはボート、カヌーの会場です。これは海の森というふうに日本語では言ってますけれども、東京湾のかなり端のほうですけれども、そこに水路があります。島と、人工で埋められた島と、それから東京の端の部分ですけれども、そこの間の幅の水路がちょうどボート、カヌーをやるのにいい幅だということで、招致ファイルの段階から、そこにボート・カヌーコースをつくるというプランになっています。

 ただ、ここ波があります。で、風も強く、羽田の飛行機の騒音も強いということで、実際にコースをつくるとなると、波をせき止めるためのゲート、これを造るのにかなりのお金が掛かります。さらにそのほか、波を消すための装置であるとか、いろいろな投資がかさみまして、最近の額だとだいたい300億円というところまで下がっていますが、一時は1000億円を超えるというふうなプランになっていました。当初は100億円以下でつくるということが招致ファイルには書かれていたので、価格の変動があまりにも大きいということで、以前から問題視されていた施設であります。

 It’s also Haneda airport. Narita plus Haneda airport. Okay. それで、この海の森については、今回私たちのチームは宮城県の長沼ボート場というところが可能性があるのではないかということで宮城県に打診をし、そして県のほうも調べてみたいということで、積極的な返事をいただいて、実際にオリンピックをやるとなると何が必要かというふうな調査を始めているところであります。

 2番目がアクアティクスセンター、プールです。これについては9月の時点で私たちは座席の数が多すぎると。2万席も要るのかという問題提起をしました。その後の調査で国際競技連盟も、国内の競技連盟もそんな数は要らないということで、現時点では1万5000席にサイズを下げるということになっています。

 3つ目の有明アリーナですけれども、これもバレーボールの会場ということで用意されていますけれども、オリンピックの期間中はいいけれども、そのあとスポーツの会場、あるいはコンサートの会場として実際にどれぐらい稼働するのかというのをわれわれのチームで見たところ、なかなか厳しいという結果になりました。そこでもし可能ならば横浜アリーナに移す可能性がないのかということで、現在調査中であります。

 このアリーナの問題は実は結構難しくて、体育館ですから、安い値段で誰でも使えるということであれば使う人はいっぱいおられます。ですから地域の体育館というふうに考えれば常に利用者はいる。だから問題がないということになります。しかし400億円ものお金を掛ければ地域の普通の体育館が複数つくれるということ、あるいは本当にその場所がベストなのかということを考えると、地域の体育館にあとで使えるからオリンピック級の体育館をあそこにつくるというわけにはなかなかいかない。レガシーの質の問題ということで、ここに関しては見直しが進んでいます。

 以上が施設に関しての話です。コストを下げるということきにさっきお話ししたように、ソフトなコストの部分、輸送だとかセキュリティー、その他大会運営にまつわるいろいろなコスト、ここが非常に大きいわけです。これについてわれわれが危機意識を持っている理由は2つあります。1つは組織委員会の予算はだいたい5000億円ほどです。さらにIOCが1000億円強の予算を出しますけれども、もし仮に3兆円も必要になりますと残りの部分のかなりを政府と東京都が出さなくてはいけないと

 特に東京都は招致ファイル、Host City Contractで組織委員会が赤字になったら、その分は全て払うというサインをしていますので、トータルの予算がどんどん増えていきますと自分がコントロールできない部分で、最後赤字だけ負担すると、こういう構造になっているという問題が1つあります。それからもう1つは全体の予算を管理する機能が不十分であると。全体のガバナンスの問題があります。これについてはあとでまた話します。

ガバナンスについて

 11ページを見てください。ガバナンスの話ですけれども、オリンピックの推進体制は11ページの右の図のようになっています。左は普通の会社のイメージです。オリンピックはOrganizing committee、組織委員会が中心になって大会を運営する仕組みになっています。組織委員会にはJOCと東京都が出資をしていて、この組織委員会JOCと東京都、それからIOCですね、この4者で契約を結んで、それでオリンピックは進めるという体制になっています。

 問題は3兆円の予算を誰が見るのかということですが、組織委員会は収入がそもそも5000億円であって、3兆円全体に関して責任が持てない。東京都は自分の施設をつくるということになっていますが、残りの分については直接自分でコントロールができない。JOCは実際のオペレーションにはあまり関わらない。日本国政府は警備だとか、実際の人員を出したりということで協力をしますが契約には参加していない。こういう構造ですので、結局全体、トータルを誰が管理するのかということがあまりはっきりしていないと。

 一番上にCoordination committee、調整会議というのがありますが、ここには議長がいない。そしてみんなで話し合いながら決めていくという仕組みになっていますので、結局、実際に現場で作業をする、準備の作業は非常にうまく進んでいますけれども、全体の予算がどうあるべきかということであるとか、あるいは何を優先するのかということについて決める、企業で言うと左の図にあるCEOの役割だとか、あるいはCFOの役割というものがきっちりと決まっていないと。ここにわれわれは危惧を覚えたわけです。

 9月の末のレポートで最後に問題提起したのは、こういうストラクチャーの場合は情報交換が必要じゃないかと。全ての人がコストの情報、それからプランの細かい情報を全部見ることによって、ほかの組織と自主的に調整していくと。それから、都民や国民に対してもオリンピックの準備がどういう方向になっているのか、何が変わっているのか、何ができているのかということをフルに情報公開していかないと、有能なCEOとCFOに任せたという体制にはなっていないわけですから、ガバナンスが特殊な場合には情報公開をする必要がある。しかし、それがあまりできていないと。これが本質的な問題だというふうに問題提起をしました。

最終的なレポートであげられた提言について

 以上が9月のレポートのだいたいのポイントですが、きのう最終的なレポートを出しました。そこで話した提言について最後に紹介をします。1つはトランスペアレンシーですね。特に予算の情報、これをトータルでいくら掛かるのかというのを早くオープンにすると。これが非常に重要だということが1つ目です。それから、2つ目組織委員会が今、管理しているCFOの機能ですけれども、これは東京都と共同で管理する共同CFO体制にすべきだということであります。3つ目はお金の話ですが、国と各県、各県に対する国の補助の在り方、それから東京都が仮設の施設についてもお金を一部分担するべきだと、こういったことについて提言をしています。

 きのうの提言であともう1つ話した領域がレガシーであります。レガシーっていうのは施設があとで使われるということはもちろん最低限必要なレガシーですけども、きのうの提言ではレガシー2020という財団、あるいはNPOを東京都がつくるべきだという話をしました。で、これは、施設の話で言いますと、オリンピッククラスの施設、それから中規模サイズの施設、そしてさらにコミュニティーの施設。これら全部がオリンピック後、有効に使われるということを視野に入れたものです。

 それから、さらにアスリートがオリンピックのあとにアフター選手のセカンドライフをコーチ、あるいはインストラクターとして教えていくと、そのときの場としてのこの小さな施設なども視野に入れて、オリンピックでメダルを取り、立派な大会をするということだけではなく、オリンピック後にその競技をする人たちが増える。そして、選手たちがそのインストラクターで仕事をして第2の人生がつくれる。それから、その大きな立派な施設が研究開発、そのスポーツの研究拠点として使える。さらにバーチャルリアリティーなどの先端技術を使った技法の研究などにも使えるといったような広がりを持ったレガシープランを作っていく。このための組織としてレガシー2020というものをつくろうという話をしました。以上が今回の提言の内容です。

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記者1:(※判別できず)のフルタと申します。プレゼンテーションありがとうございました。2つ質問があります。1つは問題点の中でCEOとCFOのリーダーシップが欠けていたというふうな指摘がありましたが、提言の中では共同CFOには触れていますが、CEOに関しての記述がありません。このCEOを例えば外部から呼んでくるというような議論というのは今後の4者協議の中で出てくるんでしょうか。また、その中で上山さんがインタビューなどで答えられている中で、何人か具体的なお名前を挙げられているケースがあると思うんですが、そういった方々のお名前は入ってくるのでしょうか。 

 2つ目の質問は、コストカットの議論からレガシーをつくり出す議論へ、というふうなことをおっしゃいましたが、今の世の中の関心はコストカットのほうに集中していると思います。これはなぜそうなってしまうと思われますか。で、この世の中の関心がコストカットに集中することが今後の議論、4者協議の議論になんらかの影響を与えてしまう可能性はあるでしょうか。 

上山:会社に例えるとCEO、CFOがいないという話をしたんですが、まずこれは全体構造の中でその機能が機能していないと、そういう意味であります。例えば組織委員会にはCEOとCFOがきちっといますし、組織委員会の中ではきっちり機能しているわけです。東京都もそうだし、JOCもそうなわけですね。ただ、それ全部足したときに、調整会議というものが事実上CEOの役割を果たしている。でも、CFOの役割を果たすところがいない。それぞれのCFOが集まって会議をするしかないと。こういう状況になっているわけです。だから、CFOについてはお金をたくさん出す東京都が組織委員会と中心に共同CFOがいいという話をしました。 

 CEOについては、ですから、これはCEO機能がないというふうに言ってるだけのことですから、調整会議の機能をどうやって充実させるかということになります。きのうは、きのうの提言書の中でも4つ目のところに調整会議の刷新、事務局機能の強化ということを書いています。調整会議だけじゃなくて、その下の事務局のメンバーを任命して、そこのレベルでもう定期的に具体的な話をどんどんやって調整をしていこうと。こういう提案をしてますから、質問に対するストレートな答えという意味では、個人としての誰かCEOを置くということではなくて、調整会議の下の事務局機能を実質的に機能させる仕組みが必要だと、こういうことになります。 

 今の問題はとても実は大事な話だと思います。オリンピックの推進体制を会社のように例えると、誰か強いCEOが1人いればいいということになるんですけれども、オリンピックはまず第一に政府から中立である、政治からは中立であるということを非常に大事にしています。IOCがあり、JOCがあり、そして政府とは別の民間の組織として組織委員会というのがどの大会でもつくられると。これはオリンピックの110年の歴史の生活の知恵だと思いますけれども、政治から距離を置いた民間組織が主体になると。これが重要なポイントであります。 

 次に、しかしながら、お金が足りないと。民間の資金だけは足りないことになりますから、どうしてもそこに政府との連携というのが必要になると。そこにこの調整会議というものが必要になるわけです。日本の場合、東京オリンピックの場合、さらに実は複雑な問題がありまして、巨大な都市であり、かつ東京の外にも会場があるということになると、ホストシティーの東京都だけが政府ではないと。となると、日本国政府も入ってくるということになりますから、そういう意味ではどうしても、お金を出す東京都、それから各県の支援をする代表格としての政府と、それから組織委員会イコールIOCの代弁者と、イコール政治からの距離を置くと。こういう3つの組織が一緒に仕事をしなくちゃいけないと。ここに非常に難しいことがあり、だから、やはり調整会議という仕組みはたぶん必要なんだろうと思います。 

 で、その議長が実質、CEO的なことをやればいいといえば簡単なんですが、実は例えば、国際競技連盟との調整とか、あるいは国内の競技団体との調整とか、オリンピックは国の数で200、競技の種類で30種類と。さらに輸送だとか、いろんな各分野のIOCの専門家のいろいろなルールとかガイダンスもあります。ですから、そういうもの全部をオーガナイズするという意味で言うと、常に調整の連続であるということですから、全能のCEOを1人いて期待するというモデルよりも、常に全ての人がオープンにコミュニケーションをして調整を続けていると、こういう状態が一番大事なんだろうというふうに思います。 

※一部判別できない箇所がございますことをご了承ください。

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どこかで聞いたことのある名前だと、マッキンゼーかと思ったらそうだった。

若いころ「変革のマネジメント」という本をよんだことがあったが、若松茂美氏や織山和久氏との共著であった。

その後、行政に関心を持たれて活躍されてきたようだ。

豊洲関係では以下に発言がある。

 

「豊洲移転と築地再開発は両立する」上山信一・都顧問独占インタビュー | BUSINESS INSIDER JAPAN より引用

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築地再整備に税金ゼロは可能

—— でも豊洲が4、5年間の仮住まいになりますね。仲卸業者は大丈夫でしょうか。

買参人が豊洲に行くのは面倒だからよそで買おう、電話で注文しようとなったら大変です。これから4、5年は、築地のときよりは条件が悪い。仲卸のバックアップの方法は何か考えないといけないでしょうね。

一時移転で不安定さが増すのも事実。都庁は5年後に築地に戻ったらこういう経営ができるというイメージを示すべきでしょうね。すると事業者は築地に戻ることも考えたうえで豊洲用の機材を買ったりできる。

——一時的に豊洲に移転し、その後築地に復帰という案は、公費の支出が増えそうにみえます。

築地は、PFI(※プライベート・ファイナンス・イニシアティブ、民間の資金や経営ノウハウを活用する手法)を活用すれば問題ありません。また土地の一部を定期借地に出したら収入が得られる。築地の再整備に使った税金は実質的に税金ゼロというのも十分ありえる。

相手のある話だし、設計にもよりますが。一般的には儲かる機能に多くの面積が割かれれば、建設費の回収は早い。例えば、都心部の都営住宅の建て替えでは、都営住宅として低層で使っていた場所の一部を民間事業者に渡して高層マンションにし、そこで得たお金を使って、都営住宅を建て替えた。だから高層化、容積の利用はひとつの鍵になるでしょう。

——カジノを誘致するといった話ではないと

市場と関係のない開発は向いていないと思います。以前は築地を売ってオフィスビルにすると言った考えもあったようです。

しかし、今回の再開発は本質的に違うでしょう。仲卸事業者が商品を一般向けに販売する業態はおそらく有力でしょう。東京には、100種類のたらこの中から自分で選びたいといった消費者もいる。大量に買う消費者に、格安で販売するのもあるかもしれない。京都では市街地に錦市場を残した結果、観光地としても機能しています。

豊洲は過剰投資で課題設備

——これから市場規模が大きくなるのは想像できません。いずれ築地に戻るのであれば、豊洲の機能は余ってしまうのでは。

豊洲は使い勝手がどうこうというものの、使用料は月に坪7000円弱と割安です。安いから、例えば葛飾にある倉庫を豊洲に持ってきたり、とにかく埋まるでしょう。

しかし、卸売市場のままだと毎年、約20億もの赤字、設備更新も入れると70億円以上もの赤字を垂れ流し続けます。この25年で取扱量は半分に減っています。だから豊洲は過剰投資、かつ過大設備なんです

上山信一氏

 

撮影:今村拓馬

でも、豊洲の立地は成田や羽田に近く、高速も便利です。物流倉庫や冷凍冷蔵庫の立地には向いている。それらに転用すればよく、全部を卸売市場で使い続ける必要はない。そうすると赤字の止血や資金回収がある程度は可能でしょう。

築地の再開発では、一部の高層化も考えると全体スペースに余裕ができる。IT取引の発達や豊洲の倉庫の併用で5年後の築地市場に必要な面積は今より実質的に小さくなる可能性もある。余剰面積を有効活用すれば、豊洲の借金返済に充てられるでしょう。

都議選の論点は議会改革

——都庁の組織の強み、もしくはここは変えたほうがいいと感じていることは。

他の自治体では、首長が方針を決めてもサボタージュすることがある。

しかし、東京都の職員は知事が方針を決めたら、それに従います。これは良い伝統です。石原(慎太郎)さん(元都知事)や美濃部さん(美濃部亮吉、1967~79年の都知事)が出てきたり、大きな転換が何度かあったからでしょう。

サボタージュしたって先のことはわからないから、今の知事にとにかく合わせる。ただ、逆に言うと知事が言わないと、自分たちからは、なかなか変えられない感じもあります。

——あまり光はあたっていないけれど、これは、もっと知られるべきだという課題はありますか。

例えば電力の民営化です。交通局が電気事業を持っていますが、都庁がやる必要があるのか。都としてのエネルギー政策があるならわかるし、積極的に自前の水力発電所をつくったっていい。でも、いまは昔からの延長で単に事業を続けている。中途半端に温存されてきた感があります。

20億円かけて、視察用の豪華クルーザーをつくる話がありましたが、あれも同じでしょう。「昔からやっているから今もやる」という事業が結構ありそうです。

国の補助金をもらう事業では、国に金がなくなって見直しが進んだ。しかし、都は自前の金だし、これまでは情報公開も遅れていたし、議員もいろいろ言ってきた。だから知事が言わない限り、自分たちからは見直しにくかったのではないでしょうか。最近、ようやく変わり始めましたが。

東京は2025年から人口が減ります。高齢化時代に合わせた財務戦略をよく考えないといけない。法人税率は、トランプ政権だけではなく、世界的にじわじわ下がり、税収全体のレベルも下がっていくでしょう。

また法人税は、ボラティリティ流動性)が大きく、税収が1兆円落ちることもあります。 一方で、高齢化が進み福祉の予算は削れません。そのギャップをどう埋めるのか。税収以外の安定収入源の確保が必要でしょう。

昨年顧問になり、財務構造をみてすぐに思ったのは、不動産は売らないほうがいい、ということです。売らずに貸すべきだろうと。築地も豊洲も売らない、というのは、将来の財務戦略にかなった方針でもあります

—— 都議選は、小池知事を支持するのかしないのかが軸になりそうですが、都政にはそれ以外にも論点があるのでは。

最大の争点は議会改革でしょう。

五輪会場や豊洲への野放図な投資をみても議会がちゃんと機能していたか、かなり怪しい。議員提案の政策関連の条例はほとんどないし、情報公開も遅れている。普通に近代化すればよく、会派を問わず若くてまじめな人が議員になればいい。まっとうな問題意識でやれば、いい議会になる。

あと、議事録を読んで思うのは、議員が徹底して役所を問い詰めていない。いくら福祉やオリンピックなど専門的で難しいテーマでも、議員が素人の目線で見て、おかしいと感じたなら質問すべきです。素朴な疑問に役所が答えられないのは、やっぱりおかしいんです。だから、議会でもっと質問でみる議員を選ぶべきです。役所側もあらかじめ情報公開してもらう。

——これまでも情報公開の重要性を説かれていました。

今、都庁の各局は補助金をどこにいくら出したのか、ホームページで公開する準備を進めています全部公開されれば、職員も議員などからプレッシャーがあっても、「ホームページに掲載されますが本当にご希望ですか」と言って断れる。だから、職員も情報公開には賛成なんです。


上山信一慶應義塾大学総合政策学部教授。運輸省(現・国土交通省)、マッキンゼー勤務などを経て、現職。企業の経営戦略や行政改革などが専門。 大阪府市特別顧問として橋下改革、大阪都構想を支えてきた。愛知県政策顧問のほか新潟市などの行政改革にも携わる。 小池都知事の就任とともに、東京都顧問、東京都都政改革本部特別顧問になり、昨年は五輪予算の調査チームのリーダーを務めた。

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わたしはいくら小池知事をバッシングしても始まらないと思う。

むしろ彼女の政策を立案している人物に取材すべきである。

NHKも特番を組んで、上山氏の意図の紹介とそれに対する反論の紹介などや

両者の意見の交換の場などをつくって、都民や国民に分かりやすい説明をすべきではないかと思う。

また、現役のコンサルタントの感想や評価などのインタビューも聞きたいところである。

では、同じマッキンゼー出身の大前研一はどのような発言をしているだろうか?

 

 

小池劇場はもうすぐ閉幕か 大前研一氏が知事のアイデアをバッサリ - ライブドアニュース より引用

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小池百合子氏は、「豊洲移転問題」「五輪会場問題」で大きな注目を浴びた。だが、大前研一氏は「『小池劇場』はもうすぐ幕を閉じる」と予測する。

 * * *
 昨年、大きなムーブメントとなった「小池劇場」は、遠からず幕を閉じるだろう。

 なぜなら、小池知事は「都民ファースト」「東京大改革」というスローガンを掲げているが、細かい議論になると“チープ”なアイデアだけが先行していて、具体的に何をやりたいのか、よくわからないからである。

 たとえば、東京オリンピックパラリンピック競技会場計画の見直し問題。

 小池知事は、ボートとカヌー・スプリントは「海の森水上競技場」(東京湾岸)の代わりに「長沼ボート場」(宮城県)や「彩湖」(埼玉県)、バレーボールは「有明アリーナ」(江東区)の代わりに「横浜アリーナ」(横浜市)、水泳は「オリンピックアクアティクスセンター」(江東区)の代わりに「東京辰巳国際水泳場」(同)と、いずれもすでに決定していた新設会場ではなく既存施設を活用する案を提示した。

 しかし、結果は3会場とも変更を断念することになった。森喜朗・大会組織委員会会長の“圧勝”である。

 この問題は国際オリンピック委員会IOC)、東京都、大会組織委員会、政府の4者の合意が必要なのだから、もし本当に計画を翻したいのであれば、圧倒的な代案を出さねばならない。「あちらは300億円だが、こちらは200億円」という程度では優位差にならないのだ。

 バレーボール会場を横浜アリーナに変更するという案も、横浜の林文子市長が難色を示したら、あっという間に消えてしまった。それもこれも小池知事のブレーンやアドバイザーが出してきたアイデアがチープで中途半端だったからである。

 そういうお粗末なブレーンやアドバイザーは“ダメコン”(ダメなコンサルタント)と同じようなものだ。

 メコンは会社の診断をして「悪いところが28ありました。これをすべて解決してください」と言い、見えている現象を逆さまにして提言にする。つまり、「他社に比べて営業力が弱い→営業部を強化しましょう」「必要経費の全体像がわかりにくい→経費を見える化しましょう」という具合だ。

 だが、どんな会社でも診断すれば50や100は悪いところが見つかるものである。そして、その根本的な原因は、突き詰めると1つに絞り込むことができるはずであり、そこだけ直せば、あとの問題は自然に直るケースが多い。

 小池知事は防衛相時代などを見ると、周りから“悪者”を見つけて叩くことで人気を得てきた感があるが、それは「政治家」がやることだ。

 知事は「政治家」というより行政の長、それも東京都知事13兆6500億円の予算16万6000人の職員を擁する日本有数の「超巨大組織のトップ」であり、いわば大企業の経営者と同じである。

 企業経営の視点で考えると、小池スタイルでは大組織の東京都はうまく動かせない。大企業の経営者の鉄則は、自分が何もしなくても組織がしっかり動くようにすることだ。小池知事のようにありとあらゆる問題に自分がコミットし、“ダメコン”のような「有明アリーナ新設は高い→安く済む横浜アリーナを使いましょう」という程度の“改善案”を次から次へと繰り出す手法は、東京のトップとしては失格だ。

 組織論から言えば、初歩的かつ決定的なミステイクを犯している。それは、大組織のトップは「自ら細かいアイデアを出してはいけない」ということだ。

 自分が細かいアイデアを出せば、相手(森会長ら)から欠点を指摘され、つぶされてしまう。だが、相手に代替案を出させれば、否定されることはない。要するに、大組織のトップが中途半端なアイデアを出すと、前に進まないのだ。

 では、小池知事は東京オリンピックパラリンピック競技会場計画の見直し問題にどう対応すべきだったのか?

 方法は2つしかない。1つは日産自動車カルロス・ゴーン社長スタイルで「とにかくコストを3割削減してください」と言い張ることだ。「そうしないと、東京は応分の負担はできない」という条件のもと、相手にコスト削減のアイデアを出させるのだ。そうすれば攻守が逆転する。

 もう1つは、組織の変更を要求し、自分たちが意思決定においてより強い立場になることだ。その上で最強のチームを作り、じっくり時間をかけて相手の主張を崩していけばよい。

 もし私が小池知事だったら、前者を選ぶだろう。そのほうが追い込む立場が強くなり、都民にもわかりやすいからである。

※SAPIO2017年2月号

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だが、どんな会社でも診断すれば50や100は悪いところが見つかるものである。そして、その根本的な原因は、突き詰めると1つに絞り込むことができるはずであり、そこだけ直せば、あとの問題は自然に直るケースが多い。

 我々で言えば、例えば堕落論の罪の問題にあるように、

枝葉の罪、すなわち自犯罪や連帯罪や遺伝罪を罪の本質と見間違えるのではなく、

それらは一見本質のように見えても、現象にすぎず、さらに遡れば一つの本当の本質が見つかる。

この罪の根である原罪が何であり、どのように生じたか、またどのように解決するか。

究極の第一原因を求めることが真の解決の道だということにつながる。

 現象を本質と見まがうことが多いのである。

 

KON667「豊洲汚染問題・豊洲移転問題 ~小池氏のやり方は、謀略政治スタイル。決して都民ファーストではない」 より引用

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小池氏のやり方は、謀略政治スタイル。決して都民ファーストではない


豊洲市場の安全性について検討している東京都の専門家会議が19日、地下水モニタリングの再調査の結果を公表し、29箇所の調査地点の多くで、環境基準を上回るベンゼンやシアン、ヒ素などが検出されたことがわかりました。

しかし、平田座長は「地上と地下は別」とし「地下水対策をすれば将来環境基準を満たすことは可能」との見方を示しました。参加者からは「一般消費者はそうは思ってくれない」など、豊洲の安心に批判的な声が相次いだとのことです。

私が考える最も大きな問題は、この移転問題に小池都知事が「謀略政治スタイル」で取り組んだことです。豊洲市場への移転は11月に決定していた事項でした。本来なら、予定通り移転を完了し、その上で自分が感じている疑問点、懸念点について専門家に調査を依頼するべきだったと思います。そして必要であれば、解決策を講じれば良かったのです。これが「経営スタイル」の解決法です。

ところが、小池都知事は移転を止めてしまいました。結果として、移転予定だった人たちへの補償費も発生し、豊洲市場へ移転することで費用が安くなるはずだったのに、一層高い負担をする羽目になっています経済性の議論から言っても、小池都知事の言う「都民ファースト」からは程遠い結果です。私に言わせれば、稚拙な意思決定だと言わざるを得ません。

さらには、地下水モニタリングの再調査といって、あちこち掘り返していますが、豊洲に限らずどこの土地であっても、掘り返せば何かしら問題はあります。そうではなくて、豊洲市場を機能させる上で、現実的なオペレーションレベルで何か問題があるのか、という点に目を向けるべきしょう。

例えば、豊洲のコンクリートの上を調査した結果、汚染レベルが基準値を超えるというならば、それは問題として取り上げるべきです。その上で、「裸の魚は直にコンクリートの上に置かない」といったオペレーションにするなど、解決策を考えていけば良いだけです。

小池都知事のやり方は、いたずらに都民を不安にさせています。昨年、日経ビジネスオンラインに「豊洲市場の土壌汚染問題、健康被害はあるのか」という記事が掲載されました。産業技術総合研究所の中西氏と、京都大学の藤井氏に、土壌汚染の考え方についてインタビューした内容でした。

・有害物質が地下水に入っているといっても、どのくらい人体に入るのか確認が必要
・有害物質そのものが拡散することは考えにくい
・地下水の水質管理の環境基準は、毎日2リットルの水を70年間飲み続けた場合に健康被害が出ることをふせぐための飲料水基準と同じ設定であり、今回の件に当てはめるべきか疑問
・過剰リスクを報道することで、それに怯えてゼロリスクを国民が要求するのは問題
・一連の騒動で風評被害が懸念される

など、中西氏と藤井氏の回答はほぼ私と同意見でした。

今の小池都知事のやり方、報道は「汚染の全ては石原都政の問題」として追求しています。そこまで言うなら、築地の地下も調査してみればよいでしょう。小池都知事は決して「都民ファースト」ではなく、「小池ファースト」だと私は感じます。

ポイントは豊洲利権ではなく、築地利権


日経新聞は21日、「石原氏追及は空振り」と題する記事を掲載しました。20日の東京都議会百条委員会の証人喚問に石原元都知事が登場したことを紹介。石原氏は、市場移転の決定責任を認める一方、「記憶にない」「報告を受けていない」を連発し、議員側の追及も決め手を欠いたと指摘。

前日の浜渦元副知事に続き、真相が明らかにならない展開に、傍聴した都民らからは不満や失望の声があがったとしています。

石原氏が「記憶にない」「報告を受けていない」を連発したとのことですが、おそらく覚えていないだけでしょう。私も何度となく、石原氏に報告をしたことがありますが、「それはよくわからないから、誰それに言っといて」と言われました。報告を受けていても、基本的にすぐに他人に振っていたので、自分の記憶に残っていないのだと思います。

石原氏の対応はさておき、本件の中核は浜渦氏であり、ここを理解していないと事実を見誤ってしまいます。元々、浜渦氏は「青年作家・石原慎太郎を総理に」という運動に参加していた人物で、その頃からの付き合いです。2000年石原氏のもとで東京都副知事になり、一度は罷免されたものの、石原氏によって都の参与に任命されています。

重要なポイントは、浜渦氏が「築地の利権」を握っている人物である、ということです。豊洲利権ではなく、「築地の跡地利用の利権」です。浜渦氏は、副知事を辞職した後、東京交通会館の副社長も務めたこともありますが、ここも跡地利用に含まれます。

今回の都議会百条委員会で質問した議員の人たちは、この点について追求すれば、もっと別の結果を得られただろう、と思います。

石原氏が3期務めた都知事を辞した後、石原氏と浜渦氏が「築地利権」の後継者として選んだのが、神奈川県知事の経験のあった松沢氏でした。ところが、東国原氏が立候補するとなって問題が起こりました。世論調査の結果、東国原氏が圧倒的な優勢を示したのです。東国原氏が都知事になれば、「築地利権」は失われます。当時、石原氏は本当に辞めたがっていましたが、「築地利権」を確保するため、致し方なく再度立候補しました。

その後のことも含め、浜渦氏と築地利権という点に焦点を当てていれば、質問内容も代わっていたでしょう。浜渦氏はおそらく偽証もしておらず、堂々と全ての質問を弾き返していましたが、そもそも質問のポイントがズレていたと指摘したいと思います。

東京には多くの「利権」があります。オリンピック利権もその1つです。今回の問題で言えば、ポイントは豊洲ではなく築地だったということです。極端なことを言えば、豊洲でなくても移転先はどこでも同じです。このポイントを抑えていなかったので、問題を見誤り、追求するものも追求できない形になってしまいました。
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※この記事は3月26日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています

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元同僚の政策に対しては正面から話すことはないようである。

 

さて、小池知事には5人のキーマン、参謀がいるという。

それについては以下に記事がある。

 

小池百合子を支える「キーマン5人衆」時給7300円の実力 - エキサイトニュース(2/2)

より引用

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「私も助力を仰いでいた信頼できる政策マンです。小島さんのイデオロギー環境主義。東京を環境都市にするための政策を次々に打ち出すと思います」



小島氏起用の段階で、土壌汚染が問題視される、豊洲市場への移転延期の肚(はら)は決まっていたと言えそうだ。



毛修弁護士は国立競技場の解体工事をめぐり、公正さに欠けるとして入札のやり直しを求めた、内閣府の政府調達苦情検討委員会の委員長だ。



「『五輪関連の不正は見逃さない』という小池氏の合図だろう。加毛氏は第一東京弁護士会会長も務めた法曹界の重鎮だ」と都内の弁護士は評する。



坂根義範弁護士は、元名古屋地検特捜部検事で小池氏の「軍師」若狭勝衆院議員と同じ弁護士事務所に所属した。「証拠品分析能力が高い」(司法担当記者)と評判で、都の入札プロセスなどを精査する。



公認会計士須田徹氏は、大手税理士法人トーマツの理事長を務めた。



「実務派の有名な会計士で、会計資料の分析に力を振るうでしょう」(鈴木氏)



小池氏に近い元国会議員は言う。



「2011年度には3926億円にすぎなかった豊洲新市場の総事業費が、今年2月時点で5884億円まで膨れ上がっている。小池氏は都政改革本部で、膨大な事業費が適正に計上されたかどうかを徹底精査するつもりだ」



都政史上初の大顧問団による小池流改革の成否はいかに。

 

週刊FLASH 2016年9月20日号)

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さて、自民党はどこまで議席を伸ばせるだろうか?

 

 


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