原理講論を読む

日常生活の中で 考える糸口を求めて

EUの難民定数という問題を扱った記事から各種数字を見てみよう

欧州委員会、「難民定数」を遵守しない国に制裁の可能性 より引用

 

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欧州委員会のディミトリス・アプラモプロス移民・内務・市民権担当委員は、ベルギーの首都ブリュッセルでメディアに行った発表で、

「難民を一切受け入れない、またはここ1年で難民に対し再定住の機会を一切与えていない加盟国について、違反を提訴することを検討している。我々はこの協定に最初からともに署名したはずだ。」と語った。 

欧州委員会の警告は、チェコミラン・ホバネツ内務大臣が、同国の治安を理由にさらなる難民を受け入れないとする発表をしたことを受けて発せられた。

チェコの難民定数は2691人なのにもかかわらず、チェコ政権は、ギリシャから12人の難民を受け入れた後に積極的な難民受け入れを中止した。

チェコの他にも、ポーランドオーストリアハンガリースロバキアが、難民定数を遵守していない国となっている。

構造の一環として、ハンガリーが1292人、ポーランドが6082人、オーストリアが1953人の難民を受け入れる必要があるが、この国々は1人として受け入れていない。

欧州連合(EU)の各首脳は、難民のうち16万人を、制定された定数の枠内で加盟国の間で分配する件について、去年9月に合意に至っていた。

 

(2017年6月7日)

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難民定数 昨年9月にEU各国が16万人の難民に対して受け入れ枠を合意した

チェコ:2691人 実行12人で中止

ハンガリー:1292人 実行0

ポーランド: 6082人 実行0

オーストリア:1953人 実行0

 

イギリスはと言うと、2015年でおよそ10000人です。

1000人に1人のテロリストが紛れ込めば10人。

2000人に1人なら5人となります。

仮定の話ですが、ISの拠点となる国での掃討作戦が進めば、そこから逃げ出したテロリストは当然ヨーロッパにも押し寄せてくることでしょうから、以下のブログのような主張が本当にまかり通るのかわからないのではないでしょうか?

単なる難民という視点では、たしかにもともと暮らしていた国民との間で軋轢が生じて、それらの問題の解決も期待されるところでしょうが、テロリズムについての視点がないのは残念な気がします。

だが、とても面白い報告なので全文を読まれることをおすすめします。

 

「移民・難民の大量受け入れに反発してイギリスがEU離脱した」の「ウソ」 | 橋本直子

より引用

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イギリスに辿り着いた庇護申請者のうち、イギリスが(第一次審で)難民認定したのは2012年が5135人、2013年が5736人、2014年が7266人、2015年が9975人

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同ブログには、イギリス国民の構成について書かれていて、興味深い。

そのあたりも引用しておきます。

 

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まずは移民の数。イギリスの人口(約6500万人くらい)のうち、「外国生まれでイギリスに住んでいる人」が大体13%(約830万人)、「外国籍を有してイギリスに住んでいる人」が大体8%(約500万人)。日本的な感覚では恐らく後者「外国籍を有してイギリスに住んでいる人」が「移民」のイメージに近いと思うので、この数字で話を進めます。

外国籍を有する住人」が人口に占める割合は、EU諸国では大体7%~15%くらいが「普通」です(ルクセンブルクに至っては45%)。なので、EU諸国内で比べると「イギリスに住んでいて外国籍を持つ人」の割合が突出して多い訳ではありません。しかも「外国籍を有してイギリスに住んでいる人」のうち、半分くらいは他のEU諸国出身ですが、常に半分くらいがEU域外の出身なので、EUから離脱したからといって突然インド人やパキスタン人がイギリスから居なくなるわけではありません。ヒースロー空港では相変わらずターバンのおじさんが出迎えてくれるでしょう。

更にそもそもイギリスは(EU域内での移動の自由を保障している)「シェンゲン協定」に入っていないので、EUに入っているから他のEU諸国から移民が何の管理もなく自由にジャンジャン流入しているというのも被害妄想です。もちろんEU域内出身者には域外出身者にはない「就労の自由」や社会保障の権利などが認められていますが、今までもこれからも、EU域内・域外身出を問わず出入国管理はしっかり行われるでしょう。ちなみに、離脱派が声高に訴えていた「ポイント制度」も、(EU域外出身者を対象に)既に2008年から導入されています。

「イギリスに住んでいるEU諸国出身の人」の国籍は、多い順にポーランドアイルランド、イタリア、ルーマニアリトアニアポルトガル、フランス、ドイツですが、そのうち多数(といっても全人口の1%強)を占めるポーランド人の多くが、地元のイギリス人がいずれにせよ就きたくないような農業・建設業・清掃業・介護の分野、あるいは自営業(エスニック・スーパーなど)で働いています。なので、仮に彼ら全員が居なくなったからと言って、地元民が就きたいと思っている「良い」仕事が突然空くわけではない。

しかも、EU域内から来ている移民の多くが若くて元気でスキルがあって勤勉でハングリー精神あふれる人達なので、雇用主が彼らの後任としてスキルもやる気もない地元民をすぐに雇うという保障もありません。もちろん、後任募集の際に「英国籍を持つ人に限る」といった国籍条項を設けることは理論上は可能ですが、普通に考えれば、空いた雇用はEU域外出身者に流れておしまいかと。

次に難民ですが、2012年~2014年のイギリスでの庇護(難民)申請者数は毎年2万人強。2015年は3.2万人に増えましたが、ドイツの44万人やスウェーデンの16万人と比べたら少数ですし、ギリシアやイタリアにやってきた庇護申請者と比べたらもう霞むような数字です。しかもイギリスは「EUのダブリン制度」(ごく簡単に言うと、庇護申請者が他のEU諸国を通過してきたら、最初の通過国が庇護申請の責任を負うという取り決め)に入っているので、そのような庇護申請者は他のEU諸国(例えばフランス)に追い返せることになっています。

その一方で、去年の9月にEC(欧州委員会)が決めた「イタリアとギリシアにいる庇護申請者のEU諸国間での緊急分担制度」などの「EU内での義務的痛み分け制度」には入ってないので、「EUによって庇護申請者が押し付けられている」というのもウソ。かえってダブリン制度から抜けざるを得なくなることで、庇護申請者は微増するのではないか、というのが私の読みです。

イギリスに辿り着いた庇護申請者のうち、イギリスが(第一次審で)難民認定したのは2012年が5135人、2013年が5736人、2014年が7266人、2015年が9975人。この数字は他のEU諸国やOECD諸国と比べて極端に大きい訳ではありません。単純な国際比較はできませんが、私の感覚でいうと「中堅どころ」といった感じです。

実はイギリスは、難民認定制度について様々な最低基準を定めたいくつかの「EU指令」にも入っていないので、「EU規則によって難民認定制度が左右されている」というのも完全な濡れ衣。恐らく大きな「ハードル」の一つになっているのが欧州人権条約に定められている人権基準ですが、これはストラスブールにある欧州評議会欧州人権裁判所による基準と判決であって、EUとは全く別の組織です。なので、EUから離脱したからと言って「欧州人権条約」の基準を無視できるようになるわけでもない。

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図録▽ヨーロッパ諸国の移民人口 より以下を引用する。

EUの各国の構成について難民が占める割合や増加などがよくわかると思います。

わが国も、アジアなどから語学生が訪れ、さらに大学に進学し、日本に将来は住んで暮らしたいという人々を町で見かけることが多くなった。

中国や韓国を始め、ベトナム、タイ、ネパール、フィリピンなど今日では多国籍に及んでいる。

わが国もどのように新しい日本という国家を築いていくべきか考えなければならないときが来ている。

天皇憲法上の位置づけなども課題でしょう。

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上記の図表の解説を以下に示すと

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 2016年6月の国民投票で多数とはいえ51.9%という僅差で英国がEU離脱を選択した。背景として挙げられるのは英国における移民問題の深刻さであった。意識調査では英国民が移民に仕事を奪われていると感じている割合は51.3%とフランスの27.8%などと比べて高いことを図録1174aで見た。ここでは、実際に移民が多いかどうかを見てみよう。OECDの報告書におけるデータはすでに図録1171などで示しているが、年次がやや古い。ここではEUの統計機関(EUROSTAT)が公表しているヨーロッパ諸国の新しい年次の移民人口データを整理した。

 国の並びは移民人口(外国生まれの人口)の規模の大きさによっている。移民人口規模による移民大国はヨーロッパではドイツ、英国、フランスの順であり、それぞれ、1千万人、840万人、790万人となっている。これにスペイン、イタリアの500万人台が続いている。

 移民人口の総人口比では、これら移民大国はイタリアが9.5%と10%を切っているのを例外として、いずれも12~13%といった同レベルの水準となっている。

 移民人口のうち東欧などEU域内からの移民人口の比率を見るとこれら5カ国のうちフランスとイタリアでは3%台前半であるのに対してドイツ、英国は5%弱とやや多い。スペインは両者の中間レベルである。

 移民人口の規模が30万人以上でこれらの国より小さい国では、移民人口比率がもっと高い国が多い。スイスの27.4%は例外的に高いが、オーストリア、ベルギー、スウェーデンアイルランドノルウェーでは14~17%と高い水準となっている。

 ヨーロッパの小国ではルクセンブルクの移民人口比率が44.2%と非常に高いのが目立っているが、このうちEU域内からも33.0%と多くを占めている。しかしこれは東欧からの移民というより高度都市機能を担う人材の周辺の高所得国からの移住が多いと考えられる。スイスへの移民はEU域内からを中心に人口の4分の1以上を占めて多くなっているが、これも、ドイツ、フランス、イタリアといった周辺の先進国からの移民が多く(2013年に3割以上)、ドイツや英国、フランスとは内容が異なっている。税率を低くしているため本社機能が集まるアイルランドも似たことがいえよう。

 2014年を通じた英国の移民人口の増加については、総数はドイツの40万人を下回る38万人であるが、ポーランドなど東欧からが中心のEU域内からの移民人口の増加は28万人とEU諸国の中でも特段に多くなっている。ここらへんが、英国民にとって、EUに所属しているゆえのデメリットと感じられる大きな原因になっていることがうかがわれる。なお、緊縮財政が強いられ景気が落ち込み、失業率も高止まりしているスペインやギリシャでは移民人口はむしろ減少しており、英国が、代わりに移民の受け皿になっている側面もあろう。フランスはEU域内と言うより、アフリカ・中東などEU域外からの移民の増加が多くなっている点が異なっている。

 このように見てくると英国の移民人口が特段多いということではなく、ただ、最近の東欧からの増勢が目立つ程度である。それでも移民への反発は大きいので今回のEU離脱に結びついてしまったといえよう。

 主要国の移民人口の出身地別割合、また近年いずれの国からの移民が増加したかについては、図録1171a参照。

 この図録でふれたデータについては、ダイヤモンド・オンラインのコラム記事「英国以外にEU離脱しそうな国をデータであぶり出す」でも言及したので参照されたい。

 

図で取り上げた国は、移民人口の多い順に、ドイツ、英国、フランス、スペイン、イタリア、スイス、オランダ、ベルギー、スウェーデンオーストリアギリシャポルトガルアイルランドノルウェーポーランドデンマーククロアチアハンガリーチェコフィンランドルーマニアラトビアルクセンブルクスロベニアエストニアスロバキアキプロスリトアニアブルガリア、マルタ、アイスランドリヒテンシュタインの32カ国である。

(2016年7月3日収録)

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二年半前の記事だが以下の記事はフランスの情況を説明している。

参考まで、

フランス移民政策の失敗:人口の1割弱600万人がイスラム系移民! ( ヨーロッパ情勢 ) - 始源流原始占い - Yahoo!ブログ

 

 


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