原理講論を読む

日常生活の中で 考える糸口を求めて

マクロンが大統領になることが確実になったが フランス大統領選挙の記事は今後の難しい状況を伝えている

 

マクロンとルペンは「防衛政策」に大差がある | ヨーロッパ | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準 より引用

吉田 彩子 :S.Y.International 2017年05月0)

 
いよいよ5月7日に決選投票が行われるフランス大統領選。4月23日に行われた第1回投票は、投票率78.7%で、社会党予備選挙には参加せず、「左派でもなく右派でもない」という新しい政治運動「前進」を立ち上げたアウトサイダー的存在であるエマニュエル・マクロン前経済相が、24%を獲得し、得票率21.3%を獲得した極右政党「国民戦線(FN)」のマリーヌ・ルペン氏とともに決選投票へ進むことになった。
 

エマニュエル・マクロン
(中道「En Marche! 前進」): 24.01%(大統領選第1回投票における上位6人の得票率
マリーヌ・ルペン (極右「Front National 国民戦線」): 21.30%
フランソワ・フィヨン(右派「Les Republicains, LR 共和党」): 20.01%
ジャンリュック・メランション(急進左派「France Isoumise 服従しないフランス」): 19.58%
ブノワ・アモン(左派「Parti Socialiste, PS 社会党」):6.36%
ニコラ・デュポンエニャン(右派「Debout la France, DLF 立ち上がれフランス」): 4.70%

 

この第1回投票では、現在までの2大政党である共和党(LR)と社会党(PS)が敗退し、極右(ルペン氏)と極左(メランション氏)が台頭したこと、そして1年前に立ち上げられた「前進」が、影響力のある政治・経済界人の支持を次々と集めたことが注目された。国民が今までのシステムに不満を抱いており、反システムへと票が流れたと言える。

「2つに分断されたフランス」が明確に

フランス大統領選第1回選挙で、得票率トップになった候補者(県別) ピンク:マクロン氏、紺:ルペン氏、青:フィヨン氏、オレンジ:メランション氏

また、「2つに分断されたフランス」が明確となり、失業率の高い地方や労働階級層におけるルペン支持が台頭していることや、北東部や南部ではルペン氏、西側や都会ではマクロン氏、という構図が明確になった。

4月28日夜には、第1回投票において4.7%の得票率で6位となったデュポンエニャン氏が、「マリーヌ・ルペンを支持する」と述べ、翌29日には両氏が合同記者会見を開いて政治的合意に至ったと表明。ルペン氏が大統領になった場合、デュポンエニャン氏が首相に任命されることが伝えられた。

元UMP(国民運動連合:現在の共和党)で、ド・ゴール主義・国家主権主義のデュポンエニャン氏が率いるDLF(立ち上がれフランス)が、FNと手を組んだことはショックな事件となった。が、DLFとの提携はルペン氏にとって、父親の時代から受け継ぐ「危険な極右政党」というレッテルを貼られているFNのイメージ改善につながる。また、デュポンエニャン派だけでなく、決選投票でマクロン氏に投票することを躊躇するフィヨン派を取り込むことも期待できる。

反グローバリゼーション、反EU(DLFとの提携により、ユーロ離脱に関しては優先的課題ではなくなっている)、保守主義、そして愛国主義を掲げるFNは、メランションの支持者にも決選での投票を呼びかけ、マクロン氏のエリート主義やグローバリゼーション主義を批判しながら5月7日に向かって攻勢をかけている。

一方、現在議員数がデュポンエニャン下院議員1人であるDLFとしては、FNとの提携を通じて議席数を増やす考えで、6月の国民議会選挙が視野に入った戦略である。

また今回、選挙運動費用に関する規定の中には、第1回選挙の支出上限は1685万1000ユーロで、費用の還付は得票率が5%以下の候補者には上限額の4.75%(約80万ユーロ)となっているため、支出170万ユーロで、得票率が4.7%だったデュポンエニャン氏は、ルペン氏と協力することにより資金的に困難な状況を乗り越える目的もあるとされる。

さて、テロの脅威が続き、世界情勢がめまぐるしく変わる中で、注目されるのは、マクロン、ルペン両候補の安保・防衛政策である。似通った政策案もあるが、大きく異なるのはEU、北大西洋条約機構NATO)に対する立場だ。マクロン氏は新EU、ルペン氏は反EU・反NATOである。

ルペン、マクロンの防衛政策の内容は

マクロン氏は、“「ゴーリスト(ド・ゴール主義)でミッテラン派」であると述べており、「親欧州、人間主義ヒューマニスト)で独立したフランス」を目指している。そして、独立した国家のキーポイントは抑止力であり核戦力の維持・近代化だと述べ、国民を守るためには独自の能力と同時に、国家・欧州・NATO国連の4つのレベルにおける戦略的アライアンスの強化が必要だと説明する。

このほかにも、国防予算を2025年までにGDPの2%に増やすことや(現在は1.7%)、徴兵制(1カ月間)の導入、サイバー防衛・サイバーセキュリティの強化案を掲げるほか、欧州防衛強化に向けて、NATOと連携しながらオペレーションの企画やコーディネートなどを行うことを提案している。一方、NATOについては、これ以上の拡大はせずに、フランス権益に直接関係するケース以外の介入は限定的にするとしている。

一方、ルペン氏は、国家主権を取り戻すために行なうべき政治的任務として、「核抑止力の存続」、「領土の保護」、「同盟関係の改革」の3つの分野があると述べている。

NATOの統合軍事機構からの脱退を掲げ(フランスはNATO創立メンバーの一国であったが、ド・ゴールの時代の1966年にNATOの統合軍事機構から脱退。その後2009年のサルコジ政権下で復帰している)、国防予算は2018年にはGDP2%、そして2022年までにGDP3%(600億ユーロ)へと増加させるとしている。これには2隻目の空母、人員5万人増強、核戦力の維持、軍装備の近代化などが含まれる。また徴兵制(3カ月間)の導入も提案している。

ルペン氏とマクロン氏を比べると、マクロン氏は防衛やセキュリティ問題を全体の政策の中で特に優先的課題としていないことがうかがえるが、ルペン氏の「国防予算を5年間でGDP3%まで上げる」という案は、現在のフランスの厳しい経済状況において現実的とは言えない。

もっとも、今回の大統領選では、防衛・セキュリティ問題に関する議論は多くなかった。イスラム過激派テロの台頭を背景に、ルペン氏とフィヨン氏は積極的にフランスが直面している危機に対抗する姿勢を見せていたが、1月にはフィヨン氏のスキャンダル事件が発覚、昨年11月の共和党予備選挙で選ばれ有力候補であった同氏は大きなダメージを受けた。

その後は、メディアでも選挙に関する話題がスキャンダル事件へ集中する中、フィヨン氏は辞退することなく選挙活動を続けたが、人々の関心は次々とマクロン氏へ集中。投票意向を示す統計でトップだったルペン氏とともに決選投票へ進出した。

4月20日にシャンゼリゼ通りで起きた警察官殺害テロ事件後には、有権者がセキュリティに関して敏感になり、選挙に影響するのではないか、という見方もあったが、結果として大きな影響はなかった。

マクロン優勢だが、勝っても前途多難

5月1日付のOpinionWay-ORPIの予想によると、マクロン氏61%対ルペン氏39%で、決選で有力なのはマクロン氏と見られているが、浮動票、白紙投票及び棄権票の行方にもより、予断を許さぬ状況になっていることも確かである。もしマクロン氏が勝っても、その後6月11日と18日に控えている国民議会選挙で、「前進」が過半数を取るのは難しいとされる。

しかし、マクロン氏は29日のフィガロ紙のインタビューで、共和党社会党との連立はない」と述べている。そして、現在のフランスの政界が、FN、社会民主主義から社会的ド・ゴール主義を含む進歩派の前進、そして抗議的政治運動であるFrance Insoumise(服従しないフランス)の3つの動きにより構成される方向へ向かっていることや、今までの2大政党である共和党社会党は分裂した状態であることを説明している。

大統領選が終わっても今後のフランス政界は再構成されていくと見られ、不安定な時期が続きまだまだ目が離せない状態だといえるだろう。

===

 

<コメント>

ルペンが討論の中で、EU離脱を明言できなかったことは大変残念であった。

フランスのEU離脱は、EUの解体を促進したことだろう。

また、NATOの解体も始まったかもしれない。

日本では一部に日本のNATO加盟を求める意見もあるようだが、

トランプがプーチンとISISの一掃に協力する方向である現在、

また、ロシアの紛争地域への介入は、天然ガスと石油と武器の輸出がロシアの主要な輸出品目であることを考えれば、武器輸出が意図であり。

共産主義国家を繁殖していた大昔とは性格が違ってきている事が重要だと思われる。

 

NATOワルシャワ条約機構は、冷戦から何十年も経った今、その存在目的を再考する時が来ている。

むしろこの二つの機構は、手を結んで中共北朝鮮など共産主義を捨てていない国家群に対峙して、何らかの役割を世界平和のために果たして欲しいものである。

今日の世界では、依然として世界征服を目論む勢力共産主義国家中国であり、覇権主義国家中国であり、国家資本主義中国である。

世界に必要なものは、国家間の紛争を起こさせない平和軍とテロリストにテロをさせない平和警察である。

テロリズム撲滅を目的にした世界的組織がどのような姿で現れなければならないのであろうか?

安倍総理は法による秩序と航行の自由を訴えアジアの安全保障の連携を築いてきた。

その先を見据えて、トランプ大統領とともに世界平和の枠組みを整備して行くべきであろう。

期待したい。

 


にほんブログ村

 応援して下さる方は上のロゴをクリックして下さい。