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北朝鮮への石油ストップに、何故中国が躊躇するのか、理由が分かる記事

北朝鮮に対する制裁では、中国の口座を凍結するという方法が出てきたりするが、これも、北朝鮮がロシアの口座を使うということで逃げ道があると言う。

実際上、北朝鮮にとって一番キツイ制裁は、中国からの石油をストップされることのようだ。

だが、中国がこれに躊躇するのは、パイプラインとそこを流れる石油の性質にも理由があるようだ。

そのことは以下に詳しい。

 

【コラム】中国は対北朝鮮石油カードを使うべき(1) | Joongang Ilbo | 中央日報

より引用

2017年02月24日16時26分

[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]

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中国丹東の郊外にある八山原油貯蔵所から北朝鮮平安北道ピヒョン郡白馬里のボンファ化学工場まで29.4キロのパイプラインが敷設されている。北朝鮮鴨緑江(アムノッカン)の川底を横切るこのパイプラインを通じて中国の原油を輸入し、ボンファ化学工場で精油して軍事・輸送・発電用として供給する。2000年代に入って年間50万トンを超える規模であり、北朝鮮が消費する石油の95%程度を占める。不足分はロシア産と密輸入で補充する。原油ではなく石油製品として輸入する分も年間20万トンほどある。2015年の韓国の石油消費量1億1000万トンと比較すると、北朝鮮の「石油飢饉」がどれほど深刻かが分かる。

  北朝鮮の市場では軍・国家輸送機関・発電所が抜き取った石油と、石油を基盤とする製品が活発に取引されている。特に人気があるのは石炭や薪より火力が強く煙が出ない液化石油ガス(LPG)だ。液化石油ガスというものも中国から輸入した原油から作る。北朝鮮がタンク1台を動かすのに、軍用機1機を飛ばすのに、ミサイル1発を発射するのに、軍隊を移動するのに、農産品と工業製品を消費地まで運ぶのに、また住民が日常生活をするのに、全面的に中国の石油に依存している石油なしには戦争もできない。

  中国の石油は北朝鮮にとって、救急室の患者がつけている酸素マスクのような生命線だ。このような事情をエネルギー経済研究院の研究員キム・ギョンスル博士が分かりやすく説明した。原油の100%、石油製品の90%を中国に依存している現実で、中国がパイプラインを閉めてしまえば、北朝鮮は数日間しか持ちこたることができない。あっという間に国家システムが崩れ、社会全体が心理的恐慌状態に陥る」。

  中国が朝中石油コネクションを断つこと、それだけが猟奇的な金正恩キム・ジョンウン労働党委員長を懐柔できる近道だ。その答えを中国も知り、我々も知っている。問題は中国がその手段を使わないところにある。中国が北朝鮮の核に反対すると述べ、親中派の叔母の夫と一時中国が保護した異母兄を暗殺した金正恩委員長に怒りながらも、対北朝鮮石油供給を中断しない理由は何か。

  中国問題専門家の李熙玉(イ・ヒオク)成均館大教授の診断だ。「そのカードは結果があまりにも重大だ。パイプラインは一度閉めれば回復が難しい。中国は核心の利益が侵害されたと判断する時、最後の手段としてそのようなカードを使う。石油は戦略的なカードだが、それを今使うのは戦略的なカードを戦術的に使うことだ」。キム・ギョンスル博士の説明によると、大慶産石油にはパラフィン成分が多く、流れていなければ固まるパラフィン粒子がパイプラインにつく。使用を再開するにはパラフィン粒子を溶かす必要がある。時間がかかるということだ。

 

  結局、中国は石油を最後のカードとして残すということだ。それよりも先の段階の措置が北朝鮮産石炭の輸入中断決定だ。北朝鮮の輸出の40%を占める石炭の輸出の道がふさがることは、間違いなく北朝鮮には深刻な打撃だ。中国としては国連安保理北朝鮮制裁決議2321号に対する前例のない参加だ。安保理が定めた北朝鮮の今年の石炭輸出上限ラインは金額基準で4億ドル、物量基準で750万トン。しかし中国が北朝鮮産石炭の輸入中断を来年とその後にも続けるかは未知数だ。より重要なのは北朝鮮が石炭輸出の道をふさがれたという理由で素直に核・ミサイル開発を中断するかだ。おそらく北朝鮮は屈服しないだろう。

  中国はワシントンの尋常でない雰囲気をよく読み取らなければいけない。北朝鮮が12日に移動式発射台から固体燃料で「北極星2」弾道ミサイル試験をしたことが、米国を極度に刺激した。トランプ大統領はこの問題が「非常に、非常に」深刻であり強力に扱うと宣言した。議会も連日、対北朝鮮超強硬措置を促している。超強硬措置には北朝鮮の核・ミサイル施設に対する先制打撃が含まれる。猟奇的な金正恩委員長と乱暴なトランプ大統領が向き合って衝突軌道を走る状況だ。

  正常な思考回路がふさがった金正恩委員長がさらにどんな妄動をすれば、中国は最後のカードを抜くのだろうか。米国が北極型2に緊張するのには合理的な理由がある。北朝鮮のミサイル技術が一歩でも前進すれば、射程距離1万キロ以上となり米国本土に到達する大陸間弾道ミサイルICBM)の登場は時間の問題という判断だ。このためトランプ政権のネオ-ネオコンは先制打撃を真剣に考慮している。

  先制打撃は戦争を意味する。中国はTHAAD(高高度ミサイル防衛)ばかり話すのではなく、対北朝鮮石油カードを取り出す時だ。まず北朝鮮に最後通告をし、3-6カ月以内に核・ミサイルを凍結しなければ、1カ月に5万トンまたは10万トンずつ北朝鮮への石油供給を減らせばよい。それでも北朝鮮が核・ミサイル開発で挑発を続ける場合、その時は対北朝鮮パイプラインを完全に閉めてしまうべきだ。

  金永熙(キム・ヨンヒ)コラムニスト・論説委員

 

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