原理講論を読む

日常生活の中で 考える糸口を求めて

カインとアベルの物語 「二人の兄弟」

マーガレット・シルフが編集された

「世界から集めた 深い知恵の話100」という本の中に、

カインとアベルが本来どのようであるべきかを、

深く考えさせられる易しい物語が紹介されています。

皆様と共有したいと思います。

 

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「二人の兄弟」(出典不詳)

 

  二人の兄弟があるとき家伝来の農場で働いていました。

とても仲のいい兄弟で、兄は弟のことを、弟は兄のことをいつも心にかけていました。農場で収穫されたものはいつも等分に分けました。仕事も公平に分担していました。

 けれども兄は家庭持ちで、弟は独身でした。

独身の弟はあるとき、収穫物を等分に分けるのは公平とは言えないのではないかと考えました。

「おれは独り者だ。でも兄さんには家族がいる。家族を養っていかなければならないのだ。」

 それで弟は、兄のほうが収穫物をたくさん取るべきだと考えました。

ある晩、弟はそっと起き出して自分の分け前のうちから穀物を一袋取って、兄の貯えに加えました。

これはその後、習慣になり、弟はいつも穀物一袋を兄の貯えにそっと加えることにしていました。

こうして何年かが経ちました。

 一方、兄も思いをめぐらしていたのです。

「おれには妻も子どももいる」と彼はひとりごとを言いました。

「息子たちはやがておれの仕事を手伝うようになるだろう。だが、弟は独り者だ。年を取っても養ってくれる者はいない。収穫物を二つに分けるのは不公平だ。」

そう考えて、兄は自分の分け前のうちから穀物一袋を取って、弟の貯えに加えました。

 さらに数年が経ちました。

兄も、弟も、なぜ、自分の貯えがあまり減らないのか、不思議でなりませんでした。

 ある暗い夜、二人は同時に穀物の袋を持って出かけました。

そしてめいめいの家に行く途中でぱったりと出会ったのです。

はじめ、二人は間の悪い思いで顔を見合わせました。

でも次の瞬間、相手が何をしようとしているのか、

いえ、長い年月のあいだ、何をしてきたのか、ハッと悟りました。

二人は手にしていた穀物の袋を下に置き、かたく抱きあいました。

 

 

世界中から集めた深い知恵の話100

世界中から集めた深い知恵の話100

 

 

 


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