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原理講論を読む

日常生活の中で 考える糸口を求めて

パエジの物語 ある女性の美しい回心

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   愛の死を遂げた懺悔女の物語

 

 不幸にも罪に身をゆだねるようになったある娘の回心は、その愛徳の結んだ実でした。この物語は人々を啓発し、どのような大罪人も、まごころから立ち返る罪人に慈しみ深い主を信頼する心を起こすでしょう。この娘は名をパエジといい、まだ若いとき父母を失いました。彼女は、遺産を何らかの善業に用いたく思って、家をステの隠者たちの宿泊所に当てました。彼らは仲間の作ったものを売るために、そのあたりにたびたび来ていたのです。しかし、パエジはこの愛徳の業にあまりに費用がかかると思うようになりました。これによってどれほどの宝を天に積むことになるかを考えず、続けるのがまったくいやになってしまいました。そのうえ、彼女をそそのかす人々がいて、しだいに悪事を勧め、彼女は徳をまったく嫌うようになりました。こうして彼女はすっかり罪におぼれるようになってしまいました。

 ステの隠者たちは、パエジの堕落を聞いて非常に憂い悲しみ、愛徳によって思いついたありとあらゆる手段を尽くして、彼女をその落ちこんでいる深淵から救い出そうとしました。そしてヨハネ・ル・ナインのところに行き、パエジに会って、神が彼に与えた知恵の賜物によって、彼女をイエス・キリストのもとに連れ戻してくれるよう願ったのです。そこでヨハネはパエジのところへ急ぎましたが、家の戸口で人々に阻まれました。人々は、隠者たちが女主人の財産を食いつぶしたとののしったのです。しかし彼は少しも動じないで、パエジに会わせてほしいとしつこく願い続け、彼と話したことを、パエジは決して後悔しないだろうと言いました。

 そこで人々は、ついにヨハネを彼女の部屋に案内しました。パエジのそばに座って、彼は、イエス・キリストに対してどんな苦情があってこのように主を見捨て、これほどあさましい状態になり果てたのかと尋ねました。この最初の言葉は彼女を打ちのめし、心は強く揺さぶられました。ヨハネは恵みの働くに任せてしばらく黙し、さめざめと泣きました。パエジはどうして泣くのかとたずねました。「これほどあなたが悪魔にだまされ、たぶらかされているのを見て、どうして泣かずにいられましょう?」この言葉を聞いて、娘は今さらのように自分の罪が恐ろしく、忌まわしくなりました。

「神父さま、私にもまだ償いの余地があるのでしょうか?」

「ありますとも。請け合います。」

「では、どうぞそのためによいと思われるところへ、私を連れて行ってください」

 ヨハネがただちに立ち上がると、パエジは家のことを取りまとめもせず、だれにもひとことも言わず、彼についていきました。これを見て、ヨハネは、パエジがすっかり回心するつもりでおり、償いの苦業に身をゆだねるためすべてを捨て去ったことを認めて、非常に慰められました。

ヨハネがパエジをどこに連れて行くつもりであったかはよくわかりません。たぶんどこかの女子修道院であったかもしれません。とにかく彼らが砂漠まで来たときは、すでに夜でした。ヨハネは砂を固めて枕のようなものを作り、それに十字架のしるしをして、パエジにそこに眠るように言いました。それから彼はさらに先に進み、祈りを済ませて眠りにつきました。真夜中に、ヨハネがふと目を覚ますと、パエジの上に天から光線が降り注ぎ、多くの天使がその光の道を通って、パエジの霊魂を天国に運んでいくのが見えました。彼はこの幻に驚き、すぐさまパエジのもとに行き、彼女が死んでいるかどうかを調べるために、足で押してみました。彼女はすでにその霊魂を神に返していました。するとそのとき、ある不思議な声が聞こえました。

「彼女の1時間の償いは、ほかの者が長期間行う償いよりも、はるかに神の気に入った。なぜなら彼らは彼女ほどの熱心をもって行わないからである」と。

ミシェル・アンジュ・マラン師著 「東洋の砂漠の教父伝」より(上記同書による)

 

 

引用は以下の本に依ります。

今回は全文です。

幼いイエスの聖テレーズ自叙伝―その三つの原稿

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