原理講論を読む

日常生活の中で 考える糸口を求めて

ヤジは塩村文夏議員に対するセクハラか? STAP幹細胞解析による判断は正しいのか?

客観的事実に基づいて全ての論理は組み立てられるものであるが、その事実であると思っていたことが、万一そうではなく思い込みであったとしたら、結論は全く違うものになってしまうであろう。

客観的事実思考は考えるということの基本であるが、前提を疑って見ることが、物事の吟味には必要なことがある。

都議会でセクハラのヤジがあったということで、大変な騒ぎとなっている。なんと日本ばかりか、ウォールストリート・ジャーナルを通じて外国からも顰蹙を買っているという。

マスコミの論調は毎度のことながら一色に染まっているが、非常に興味深い指摘をされている方がいる。

「自分が早く結婚した方が・・・」というヤジがあったという前提のもと、多くの人が持論を展開しているのであるが、その中で、そもそも本当にそんなことが言われたのか、いくつかの動画を検証された方がいた。

以下に詳しい。

http://bylines.news.yahoo.co.jp/fuwaraizo/20140622-00036628/

つまり実際は「みんなが結婚した方がいいんじゃないか」ではなかったのかという意見である。

そこでご指摘のようにNHKのニュースの動画で音声を何度か聞くと、私にも上記のようにしか聞こえなかったのである。

「自分」つまり「あなた」が早く結婚した方がいいんじゃないか、というのとでは全然意味が違ってくる。

個人攻撃をしているというまでには、至らないであろう。

NHKの動画は以下である。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140619/k10015348641000.html

是非ご確認あれ!

さて、少し前にSTAP細胞の論文共著者である若山照彦山梨大教授が、論文に使ったSTAP幹細胞の8株について、解析を依頼した。

すると、若山教授が小保方さんに渡したはずのものは、蛍光タンパク質の遺伝子を18番目の染色体に組み込んでいるはずなのに、8株全てが15番目に組み込まれていたのである。

その他の2株についても解析され、結局全てが若山教授が渡したマウスとは別の種類のマウスであったという。

この論文の肝は短命で不安定なSTAP細胞が作製されたことではなく、安定したSTAP肝細胞が作製されたことであった。

ところがこれが根底から崩壊したというのが、若山教授の記者会見の内容であった。

ところが、理研が41機関に178匹の間違ったマウスを提供していたとの報道があったのである。

http://www.asahi.com/articles/ASG5Y7T26G5YPTIL03P.html

ということは、若山教授がAという種類のマウスであると思っていたのに、解析してみたらBというマウスであったとしても、意図的に小保方さんがES細胞やTS細胞を隠れて使っていたかも知れないなどの推測は、通常であれば一つの推理としては成り立つかも知れないが、その前提である、そもそものマウスが伝え聞いていたものと違っていたのでは、という推測も可能ではある。

研究を支えているはずの基本的な約束事が管理不備のため崩壊しているかも知れない。

仏教では、凡夫が真実であると思っていることが実はそうではないにも拘わらず、思い込みによってそれに振り回され、幻想の中でああでもないこうでもないと漂っていることを「迷い」という。

われわれ庶民の日常ばかりか、議会や科学の研究のなかでも、人間が主人公である限り、時にこのように不可思議な迷路に我々は彷徨い続けるのであろうか?

事実とは何か?

誰もがわかっているようで、意外に分かっていないものなのかも知れない。

客観的事実に基づく思考を求め、また、その事実と思っている前提条件を今一度確かめて、迷いの道を避けたいものである。

 

(追加 )

23日の報道で

「今回の『セクハラやじ』騒動。私は一切関係ございません」と自分のホームページで釈明していた自民党鈴木章浩議員が塩村文夏議員に対して、自分であったことを認め謝罪したという。後に記者会見するそうである。

私には「みんなが」というふうに聞こえるが、ご本人が非を認めておられるので、わたしが間違っていて、迷いの中にいたのも私のようである。