損益分岐点という言葉がある。
損益分岐点の公式もある。
実は覚えていない。複雑ではないが一見してイメージがわかりにくいからである。
西順一郎という人が戦略会計というのを考えて、分かりやすい公式にして、さらに図解したのでイメージで把握しやすくなった。以下に説明しているところを見つけたので、参考にして頂きたい。
http://www.its-mx.co.jp/mxkaikei/a1.php
単品の販売で考えると分かりやすい。販売価格から仕入れ原価をさし引けば、販売一個当たりの利益が出てくる。この利益で固定費を回収していく時、何個売れたら固定費に追いつくのか。採算を利益による固定費の回収と見たのである。
そこで経費という言葉を使う人よりも固定費という言葉を使う人の方が概して、丼勘定ではなく採算を意識しているようである。私が出会った人でただ独りだけ、事業計画書に固定費と変動費を分けて記述していたが、区別は知っているが何故分けなければならないのか良くご存じではないと思われる経理の方がいたことはあった。
使いにくい数式を G(利益) = MQ(粗利総額) - F(固定費)とシンプルにしてしかも図解して(空間展開)して直感的に理解可能にした功績は大きい。
さて損益分岐点を空間的に理解可能な表現をされた訳であるが、この時損益分岐点の時間的表現は無いだろうかと考えるのが、空間展開と時間展開を一緒に考えると言うことである。ここではそのような手順で見つけたのではないが、時空をセットで考えることが有効である可能性があると思える例を挙げたいと思う。
90年代初め頃、ヒューレット・パッカードがBET(break even time)、つまり損益分岐時間という概念を用いたチャートを開発している。これはある製品に投入した資金を回収するまでの期間を指し示し、それ以降は利益に転じる事を表している。
具体的にはBET(損益分岐点到達時間)とTM(製品開発時間)とBEAR(製造開発後損益分岐点到達時間)の三つの指標をもって判断するとのことである。
関連する情報のサイトは以下にある。
http://www.bbt757.com/servlet/content/2406.html
自社だけの採算を見る場合は空間展開した戦略会計が有効であるが、競合する他社との製品開発の生き馬の目を抜く戦いの中では、この時間展開したヒュレット・パッカードの概念チャートは今でも価値があると思われる。
有斐閣アルマの経営戦略という共著で山田英夫が書いた部分で知ったが、私が読んだのは旧版である。そこにはハウス=レイモンドを出所としてチャートが描かれている。
上記のリンクは大前研一のアタッカーズ・スクールで十数年前に山田氏が講義したようである。