原理講論を読む

日常生活の中で 考える糸口を求めて

創造原理 相対思考 普遍性と特殊性(個別性)を意識して考える生活習慣 目立たないと目立つ

① 消費税と軽減税率

政治の世界が随分にぎやかである。

今回は相対思考の普遍性と特殊性を念頭に三つの話題を取り上げてみたいと思う。一つ目は消費税で、これと軽減税率のお話。

消費税というのはいろいろある税の中でも公平性(平等性)の高い仕組みであると言われている。所得が高い人は一般により多く消費すると考えられるので、消費税も多く支払うようになり、所得の低い人はそれなりに消費するので、消費税の支払いはより低く抑えられると考えられるので、公平性から見れば他に類を見ない珍しい税体系であると言われている。しかも分かりやすい。

ところでどのような種類の税金でも上がれば、限られた少ない予算の中でやりくりをする低所得者にとっては、その影響が見過ごすことができないことは予想される事実である。

そこで政権与党の公明党は新聞・雑誌・本や基本的な食品の税率を低く抑える、軽減税率の導入を主張している。弱者対策と言うことである。公明党は創価学会の支持を母体として、広く庶民の意見や抱えている問題を、市議会・県議会・国会の各層あわせて2000人程の議員が吸い上げて、それをもとに政治的に努力しているとのことである。

それは大いに結構であり今後も活躍して頂きたいと思うのではあるが、消費税の長所である公平性を骨抜きにするような軽減税率というものは如何なものであろうか?

どこかのお酒の宣伝のように脇役が主役の前にしゃしゃり出て、振り回すことにはなりはしないであろうか?このように主客が逆転することを統一原理では主管性転倒と称して誡めている。

故竹下総理はいずれは所得税を廃止して、消費税に移行していくことを考えていたそうである。いろんな所得層に公平な制度であるからである。

しかし、軽減税率の導入はせっかくの消費税の利点を骨抜きにしかねないのである。低所得者層という特殊性をもって全体としての公平という普遍性を踏みにじる結果になりかねないのであり、何のための消費税導入か、その視点が失われかねないのである。これは問題である。

我々は特殊性に眼を奪われがちなものであり、それ故に普遍性を見失いがちになりやすいものである。

目立つ特殊性と目立たない普遍性。目立つと目立たないという視点と、目立つものから目立たないものへという視点の移動は重要である。

税の問題を議論しているところには、時々逆進性という言葉が出てくる。所得が増えるに従って、それに比例して税負担も増えていくことが公平上望ましいという考えに反して、左から右に所得が上がっていくグラフで縦軸は税負担の割合とすると、右肩上がりにグラフが現れてほしいところであるが、実際にはその逆に所得が上がっていくほど負担は減って右下がりになっているのである。

これは消費税8%導入後でも10%導入語後かわらず、それどころか公明党の軽減税率を導入しても全く変わらないのである。

また先に実施してきた各国の適用か非適用かの判断基準がばらばらである。ココアが50%を境に多いか少ないかでチョコレートの適用・非適用が決まる国あれば、店で食べたときとテイクアウトで違ってきたり、食品の一部を指定したりである。

先駆けて導入してきた国々でも随分頭を悩まされてきたのが軽減税率であるようだ。我が国においては先例を熟慮して、戦術によって戦略を決めるような愚を為してはならないであろう。

これは一部の方々が言われているように、消費税とは別途、社会保障などで低所得者を支援するなどする方法をとることが、消費税の本来の長所を活かし維持する道であると思うのである。

日蓮宗は私見では教義において妥協はないという性格が他の仏教組織に比べても強いと思われる。あるとき他の仏教の様々な立場を批判するサイトをたまたま見たが、その徹底ぶりは凄まじいものであったことを記憶している。

キリスト教の正統・異端論争の歴史を思い浮かべるところである。信仰的に考えれば間違った仏教の信仰観では正しい救いに至らないので見過ごすことができないということである。

さて、消費税を一つの教義と見れば、どうしてこのような貴重な性格を持つ税の妥協を測るのであろうか?創価学会を母胎としているので公明党の判断は私には不思議に思える。

国防においても日蓮なら積極的であろうと誰でも想像すると思うが、牧口常三郎戸田城聖の不敬罪による投獄や獄死を鑑みても不思議な気がする。トラウマなのかも知れぬ。残念ながら現世では極善人と極悪人が行くところが牢獄である。

終わりに、考察は特殊性から出発するのではなく、普遍性から出発せよと統一原理は語っているように思われるのである。

自然界に共通する普遍的共通事実の存在の考察から神の存在問題を扱っていることが思い出される。

そして、特殊性と普遍性を対で考えるときに、目立つ(特殊性)と目立たない(普遍性)という視点が役立つようである。お試しあれ!

次回は続いて、社会保障、さらに軽自動車の税金に話を進めてみたいと思う。誰でも知ることができるニュースなどの報道で知らされている程度の情報を土台に普遍性と特殊性をめぐるお話を続けられないかと考えている。